相続登記情報館トップ相続事例集登記義務者が亡くなっている場合の登記手続き

登記義務者が亡くなっている場合の登記手続き

例えば、不動産の売買契約をし、売買代金の精算は済んでいるけれども、まだ、買主に所有権を移転登記していない場合、売主である所有者が、すでに亡くなっているときは、どうしたらよいでしょうか。

通常の不動産取引では、こういうことは、ほとんどありません。
通常の不動産取引では、売買代金の精算をするときには司法書士が立会い、売買代金の精算と同時に、司法書士が売主、買主を代理して、所有権移転登記をするのが普通だからです。

ですが、身内の間で不動産取引をするときは、登記のことまで考えが及ばないこともあります。
このような場合に、代金の精算は済んでいるけれども、登記の手続きをしていないということは、ありえることです。

このように登記の手続きをしないうちに、登記義務者である売主が亡くなってしまった場合は、どうすればよいでしょうか。

この場合、不動産の登記記録は、元の売主名義のままです。

この売主の相続人は、不動産の所有者、すなわち、亡くなった所有者を相続して、この不動産を取得することはできません。

実体上、この不動産の所有権は、売買契約の買主に移転しているからです。

売主の法定相続人は、買主に移転登記する義務を相続するだけです。

ですから、実際、買主に移転登記するときには、売主の法定相続人が登記義務者となって、売主の法定相続人であることを証する戸籍の証明書や印鑑証明書などを買主に提供する義務を負うことになります。

ですが、売主の法定相続人は、買主に移転登記する義務を負っているにもかかわらず、登記手続きに協力したくない、と思い、その結果、実際、協力しない、ということもありえます。

この法定相続人が10名もいる場合など、法定相続人の数が多くなればなるほど、登記に協力しない人が出てくる確率は高くなります。

法定相続人の一部は登記に協力するけれども、ほかの人は協力しないという場合は、どうしたらよいでしょうか。

こういう場合は、買主が最終的に裁判所に訴えを提起することになります。

裁判で、買主に所有権移転登記手続きをせよ、という勝訴判決をもらって、買主が単独で登記を申請することになります。

もっとも、裁判で勝訴するには、売買契約があったこと、売買代金の精算が終わっていること、を買主が証明しなければなりません。

証拠書類として、不動産の売買契約書、売主の領収書、振り込んだのであれば、振込みの受取書など用意します。

このように証拠書類が揃っていて裁判で勝訴する確立が非常に高い場合は、弁護士に依頼しなくても自分で裁判をすることは十分可能です。

反対に、買主の勝訴の確立が非常に高い場合、売主の法定相続人は、弁護士に依頼してまで裁判に勝とうする考えは低くなります。

この場合、売主の法定相続人は、弁護士や法律相談などで相談することはあっても、結局、裁判で勝てる確立が非常に低いときは、弁護士に依頼することなく、裁判にも欠席するということで、最終的には、買主の勝訴に終わることになります。