相続分譲渡

相続分譲渡とは、法定相続人の有する相続分の全部または一部を他の法定相続人あるいは法定相続人以外の第三者に譲渡することをいいます。

相続分の譲渡は有償(売買)または無償(贈与)で行われます。
無償で行われる相続分譲渡の場合、法定相続人の間で譲渡が行われる場合は、贈与税が課税されませんが、法定相続人以外の第2の相続人や第三者への譲渡の場合には、譲渡を受けた人に贈与税が課税されます。
有償で行われる相続分譲渡の場合、譲渡をした法定相続人には、譲渡したことによる利益に対して譲渡所得税が課税されます。

これら国税の課税の問題がありますので、通常、相続分の譲渡はあまり行われず、相続人の間で協議する遺産分割によることが一般的です。

相続分の譲渡があった場合、他に相続人がいる場合は、譲渡を受けた相続分に基づいて、他の相続人と遺産分割協議を行います。

第1の相続が開始した場合の相続分譲渡の場合

被相続人の法定相続人が実子3名ABCの場合(各持分3分の1)
実子Aが持分3分の1を実子Bに無償で譲渡した場合、遺産分割協議は、実子Bと実子Cが行います。
この場合、相続分の譲渡を受けた実子Bに贈与税は課税されません。
課税されない理由は、譲渡の当事者が法定相続人だからです。

第1の相続が開始した後、続いて第2の相続が開始した場合の相続分譲渡の場合(数次相続の場合)

第1の相続開始で被相続人の法定相続人が実子3名ABC(各持分3分の1)、第2の相続開始で被相続人Aに実子2名DE(各持分6分の1)、第2の相続開始で被相続人Bに実子2名FG(各持分6分の1)の場合
Gがすべての相続人CDEFから無償で相続分の譲渡を受けたときは、CDEから受けた相続分譲渡について贈与税が課税されます。

この場合の名義変更登記は次のようになります。

  1. 所有権移転(原因 相続)
    相続人 持分1/3亡A、持分1/3亡B、持分1/3C
  2. A持分全部移転(原因 相続)
    相続人 持分1/6D、持分1/6E
  3. B持分全部移転(原因 相続)
    相続人 持分1/6F、持分1/6G
  4. CDEF持分全部移転(原因が同じ日付の場合 相続分譲渡による贈与)
    相続人 持分5/6G

贈与した日付が異なる場合は、さらに登記する件数が増加します。
このように、登記する件数が多数の場合は、登記費用も必然的に、登録免許税と司法書士報酬が通常よりもかかります。
数次相続(第1、第2の相続の開始)の場合は、登記の方法が複雑になるという点、費用がかかるという点、無償譲渡の場合は贈与税が課税されるという点から相続分譲渡によることはお勧めできません。

このような数次相続の場合は、遺産分割協議を行うことにより登記の方法を単純にすることができます。
例えば、上記の事例の場合、最終的にGがすべてを相続したい場合は、次のように遺産分割をします。
第1の相続では、現在の相続人CDEFGの協議により、Gの親亡Bが相続するという内容の遺産分割をします。
次に、第2の相続では、相続人FGの協議により、Gが相続するという内容の遺産分割をします。

この場合の名義変更登記は次のようになります。

  1. 所有権移転(原因 B相続、相続)
    相続人 G

このように登記件数1件で登記することができます。贈与税の問題も生じません。

上記の結論に至る相続分譲渡について、東京国税局電話相談室に確認した内容は、次のとおりです。
上記事例で、GがFから相続分譲渡(無償)を受ける場合は、亡・Bについての法定相続人間での相続分譲渡なので、贈与税がかかりません。
GがDEから相続分譲渡(無償)を受ける場合は、Gが亡・Aの直接の法定相続人ではないことから、贈与税がかかるという解釈です。

GがCから相続分譲渡(無償)を受ける場合も、GがCとは法定相続関係ではないことから、贈与税がかかるという解釈です。

これに対する考察
被相続人についての相続で、ABCDEFGは被相続人と法定相続関係があり、全くの第三者ではないので、相続分譲渡(無償)があっても贈与税がかからない、と考えることができるかもしれません。

上記事例で、最終的に取得するのがGであることが共通しているにもかかわらず、
登記上と国税上、遺産分割による取得と相続分譲渡(無償)による取得で、差異が生ずるのは、一般の人には理解できないのではないかと思います。

法律的には、遺産分割による取得と相続分譲渡(無償)による取得とでは、その性質が異なることから、登記上と国税上の差異が生ずるものと思われます。

詳しくは、最終的な結論、判断は、所轄の税務署で確認されるのがよいと思います。