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相続登記と内縁の妻に遺贈

遺贈による登記

事例:遺言者は、所有する不動産を○○に遺贈する。遺言者は、遺言執行者として、□□を指定する。
という遺言書があり、遺言者の相続開始後、どのように登記手続をすればよいでしょうか。

遺贈とは、遺言書により、相続開始後、遺言者の財産を受遺者に贈与することをいいます。
相続させる、との違いは、相続させるが、遺言者の法定相続人に対する場合に、この言葉を使います。

事例で、○○は遺言者の内縁の妻(受遺者)であり、□□は遺言者と内縁の妻との間の子(遺言執行者)の事例です。
内縁の妻とは、戸籍上、法律上の妻ではなく、配偶者ではありません。
内縁の妻は、通常、使われている言葉です。

そこで、この場合の登記申請の方法は、内縁の妻(受遺者)と遺言者と内縁の妻との間の子(遺言執行者)が、共同で登記申請します。

戸籍上、法律上の妻である配偶者の場合、遺言書に、相続させる、と記載されていれば、配偶者単独で相続登記をすることができます。
これに対し、遺贈する、の場合は、配偶者が法律上の妻であれ、内縁の妻であれ、単独で登記申請することができません。

登記申請に必要な書類、印鑑は、次のとおりです。

内縁の妻(受遺者)

  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 認印

遺言執行者

  • 不動産の権利証(登記済権利証または登記識別情報
  • 遺言書
  • 遺言執行者の印鑑証明書
  • 遺言執行者の実印
  • 遺言者の除籍謄本
  • 遺言者の住民票の除票
  • 不動産の固定資産税・評価証明書
  • 登記原因証明情報

遺贈による登記の登録免許税

遺贈による登記の場合、受遺者が、法定相続人であるかいなかによって、税率が異なります。
受遺者が法定相続人の場合は、登録免許税の税率が、相続の場合と同様に、評価価格の0・4%です。(2012年7月1日現在)
受遺者が法定相続人以外の場合は、登録免許税の税率が、評価価格の2%です。(2012年7月1日現在)

例えば、不動産の評価価格が1,000万円の場合は、どうでしょうか。
受遺者が法定相続人の場合は、登録免許税の税率が、相続の場合と同様に、評価価格の0・4%ですから、4万円となります。

これに対し、受遺者が法定相続人以外の場合は、登録免許税の税率が、評価価格の2%ですから、20万円となります。

遺贈による場合の不動産取得税(都道府県税)

遺贈により登記をした場合、不動産取得税(都道府県税)がかかるでしょうか。
受遺者が法定相続人の場合は、不動産取得税がかかりません。

これに対し、特定の不動産の遺贈(特定遺贈)の場合で、受遺者が法定相続人以外の場合は、不動産取得税がかかります。
居住用の建物であれば、固定資産税の評価価格に対し税率は3%です。
居住用の土地であれば、評価価格の2分の1が課税価格となり、税率は3%です。
土地の評価価格が1,000万円であれば、不動産取得税は、15万円となります。

このように、特定遺贈の場合、内縁の妻のように、法定相続人以外に遺贈する場合には、遺言の内容が、相続させる、や、法定相続人に対する遺贈よりも、登録免許税と不動産取得税が余計にかかることになります。

そこで、遺言者と内縁の妻との間に子(認知された子)がいる場合には、特段、親子間で問題のない場合、内縁の妻に遺贈するよりも、認知された子に、相続させる、とする遺言書を作成した方が、登録免許税と不動産取得税の節約になると思われます。

遺言書作成で不動産の記載漏れに注意

遺言書で不動産を遺贈する場合で、その不動産を特定する場合には、遺贈する不動産の記載漏れのないようにします。
記載漏れのあった不動産は、遺贈の登記ができないことになり、記載漏れのあった不動産は、他の相続財産に含まれ、相続の対象となりますので、注意が必要です。

もし仮に、遺言書に記載漏れの不動産がある場合、いざ売却したいときに、すぐに売却できない場合もあるからです。

特に、その不動産が私道など固定資産税が免除されているような場合には、遺言書に記載漏れする可能性が高くなります。
戸建ての場合には、敷地と公道との位置関係に注意し、登記所で公図など取得して確認するとよいでしょう。

このことは、公証人役場で遺言書を作成する場合にも、注意する度合いは同じです。