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相続相談:遺留分減殺請求と裁判所

事例
被相続人の相続が開始し、遺言公正証書によって、法定相続人(子)ではない親戚の人に、被相続人名義の財産が移転してしまいました。
被相続人の相続開始を知った時から1年以内です。

質問

遺言公正証書でも、家庭裁判所の検認手続をする必要がありますか?

遺言という場合、通常、?自筆証書遺言(遺言者が自分で全部書きます。)と?公正証書遺言(公証人役場で作ります。)があります。
自筆証書で遺言書を作成した場合は遺言自筆証書といい、公正証書で遺言書を作成した場合を遺言公正証書といいます。

遺言自筆証書は家庭裁判所の検認手続が必要ですが、遺言公正証書の場合は、家庭裁判所の検認手続を経ることなく、相続が開始すれば直ちに、相続手続をすることができます。

法定相続人としてこの親戚の人に、なにか請求することができますか?

事例の場合は、遺言公正証書によって、法定相続人ではない親戚の人にすでに移転されていることを被相続人名義だった不動産を管轄する登記所で、登記申請書類も含めて法定相続人が確認しているので、被相続人の遺産がどのくらいあったのかを把握できます。

民法では、一定範囲の法定相続人(兄弟姉妹を除く)に対して、一定割合の相続分が保証されています。
この一定割合の保証された相続分のことを遺留分といいます。
事例の場合、被相続人の子であるので、子の法定相続分の1/2の1/2=1/4が保証されています。
この持分1/4は、遺言によってすでに移転の手続が完了した後であっても、取戻しを請求することができます。
この遺留分の取戻しのことを遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)といいます。

事例の場合、法定相続人が被相続人の相続開始を知ってから1年以内ですので、この遺留分減殺請求をすることができます。

請求する場合、家庭裁判所の手続が必要でしょうか?

遺留分減殺請求は、家庭裁判所の手続でするのではなく、遺留分を侵害された法定相続人から受遺者(遺言に基づいて遺産の贈与を受けた人)に対して直接、請求します。
この遺留分減殺請求は、通常、郵便局の内容証明郵便という方法で、受遺者に対して請求します。この請求方法によって、いつ請求したかを後日証明することができるからです。

内容証明郵便によって受遺者が遺留分に相当する遺産を返してくれれば問題ありませんが、受遺者が話に応じない、返還しないなどの場合は、裁判によって取り戻すしかありません。

裁判する場合、どこの裁判所ですか?

裁判によって取り戻す場合は、受遺者の住所地や被相続人の最後の住所地の裁判所になります。

弁護士さんに依頼する場合の費用はどのくらいかかりますか?

弁護士さんに依頼する場合、着手金と成功報酬を支払いますので、仮に100万円取り戻したとすると、弁護士さんには数十万円を支払うことになります。そのほか裁判所に支払う手数料もかかります。

まずは、地元の法テラスで紹介された弁護士さんに、いくら費用がかかるのかをお尋ねして、もし、費用が高いようでしたら(弁護士さんは裁判も含めて最終的に取り戻すことまで考えていますので。)、地元の司法書士に、まずは、遺留分減殺請求の内容証明を作成してもらい、受遺者の対応を見るのがよいと思われます。