相続登記情報館トップ相続事例集被相続人名義の不動産を売却するときの譲渡所得税

被相続人名義の不動産を売却するときの譲渡所得税(基本説明)

事例
相続不動産を売却して、相続人姉妹2名で売却代金を平等に分けたいと考えています。
どういう名義変更の方法、相続登記の方法がありますか。
売買代金は3,000万円で、土地と建物、不動産を所有していた期間が20年、不動産を買った時の値段を1,000万円とします。
建物が建築されたのが40年前の昭和55年です。
姉妹ともに、不動産を所有していた被相続人と一緒に暮らしていなかった場合です。
姉妹は、被相続人と一緒に暮らしていなかったので、不動産を売却して、売却代金を平等に分けたいと考えています。

ここでの問題点、検討すべきことは、次のとおりです。
1)不動産を売却するときの譲渡所得税の問題。
2)相続不動産の名義変更、相続登記をどうしたらよいかという問題。

不動産を売却するときの譲渡所得税の問題について
ここでは、不動産を売却するときの譲渡所得税の基本的な計算方法について説明します。
後の方で、相続人が相続した不動産を売却した場合、何か特例、税金がかからない方法があるのかどうかを説明します。

不動産を売却したときには、売主は譲渡所得税の課税対象となります。
課税対象となるという意味は、不動産を譲渡することによって、利益があれば、譲渡所得税を納め、利益がなければ、譲渡所得税を納める必要がないということです。
また、利益があったとしても、税務上の特例、利益から控除できる価額があれば、計算上、譲渡所得税を納める必要がないということになります。
ただし、利益があり税務上の特例を使うのであれば、譲渡所得税を納める必要がない場合であっても、譲渡所得税の申告は必要です。
これは、利益があれば、譲渡所得税を納めるのが基本ですが、税務上の特例を使うことによって、無税となることを税務署に対して証明する必要があるからです。

利益があるのかどうか、税務上の特例を使えるのかどうか、その結果、譲渡所得税を納める必要があるのかどうかを検討することが課税対象となるという意味です。

譲渡所得税の基本的な考え方は次のとおりです。
買った時の値段よりも売った時の値段が高いときは、利益が出るので、儲けがあったので、この利益が出た部分について、税務署が課税するというものです。
反対に、買った時の値段よりも売った時の値段が低いときは、利益が出ないので、儲けがないので、譲渡所得税がかからないということになります。

それでは、亡くなった人、被相続人が所有していた不動産を売却した場合の譲渡所得税を考えてみます。
譲渡所得税は、基本的に、買った時の値段と売った時の値段を比較します。
相続人が相続した不動産を売却した場合の、「買った時の値段」は何を基準とすればよいでしょうか。

それは、相続の場合、最初に不動産を買った人、被相続人の「買った時の値段」を基準とします。
ということは、最初に不動産を買った人、被相続人が不動産を買った時の売買契約書や領収書で、「買った時の値段」を証明する必要があります。
売買契約書や領収書には、売買代金が必ず記載されているからです。
まずは、売買契約書や領収書を探すことになります。
最初に不動産を買った人、被相続人が不動産を買った時がいつなのかによって、売買契約書や領収書を探すことが簡単な場合と難しい、見つからないことがあります。

また、売買契約書や領収書が見つかったとしても、最初に不動産を買った人、被相続人が買ったのが、例えば、買った時が50年前であれば、今よりも相当安かったと思われます。
こういう買った時が相当昔の場合と売買契約書や領収書が見つからない場合は、買った時の値段よりも売った時の値段の方が高いと考え、譲渡所得税を計算することになります。

そこで、譲渡所得税の基本的な計算方法は次のとおりです。
所有期間が5年以下か、5年を超えているかによって、売却代金の利益で税率が異なります。
相続の場合は、被相続人が最初に不動産を買った時から所有期間を計算します。
譲渡所得税の税率は次のとおりです。
所有期間が5年を超えるときは、長期譲渡所得の税率で、国税15%、住民税5%、合計20%
所有期間が5年以下のときは、短期譲渡所得の税率で、国税30%、住民税9%、合計39%

譲渡所得税を計算する場合は、基本的には、次の計算式で課税譲渡所得金額を算出します。
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=課税譲渡所得金額
譲渡価額から取得費と譲渡費用を足した金額を引いて課税譲渡所得金額を計算します。
譲渡価額というのは、譲渡した価額、売った値段、売却代金のことをいいます。
取得費とは、取得した時の費用、最初に買った時の値段などをいいます。ただし、建物については、所有期間が長ければ長いほど、建物の減価償却費として所有期間で相当額を差し引くことになります。

譲渡費用とは、譲渡したときに掛かった費用、売った時に掛かった費用をいいます。例えば、仲介業者に支払った仲介手数料や土地を測量するために掛かった測量代などです。

最初の事例で、売買代金が3,000万円で、不動産を所有していた期間が20年、不動産を買った時の値段が1,000万円とした場合を考えてみます。所有期間に応じた建物の減価償却費は0円として計算します。
そうすると、
3,000万円-1,000万円=2,000万円
2,000万円が課税譲渡所得金額となります。
所有期間が20年なので、長期譲渡所得の税率で、国税15%、住民税5%、合計20%で計算します。
そうすると、
2,000万円×20%=400万円
400万円が譲渡所得税となります。

事例で、姉妹二人で売却代金を半分ずつ分けたいので、譲渡所得税は、課税される人ごとに計算しますので、
売却代金3,000万円の半分1,500万円を譲渡価額として計算し、取得費は1,000万円の半分500万円として計算します。
そうすると、
1,000万円×20%=200万円
姉妹一人当たり200万円が譲渡所得税となります。二人合わせて400万円で、姉妹二人合わせて計算した税額と同じになります。
このことは、次回で説明します相続で名義変更をどういう方法にするのかということと関係があります。

もし仮に、買った時が何十年も前で、売買契約書や領収書が存在していなくて、取得費、買った時の値段を証明できないときは、取得費を譲渡代金の、売った時の値段の5%で計算して、譲渡所得税を算出することになります。
例えば、事例で、売った時の値段が、譲渡代金が3,000万円であれば5%で、取得費が150万円となります。
そうすると
3,000万円-150万円=2,850万円
2,850万円×20%=570万円
570万円が譲渡所得税となります。

このように、被相続人が買った時の値段よりも、相続人が売った時の値段が相当高いときは、基本的に、譲渡所得税が相当高くなってしまいます。

そこで、次に、不動産を売却したとき、利益が出てしまうとき、税務上の特例、利益から控除、差引くことができるものがあるのかどうかを検討します。

参照
2回目:被相続人名義の不動産を売却するときの譲渡所得税(特例3000万円控除)
3回目:被相続人名義の不動産を売却するときの名義変更(換価分割と遺産分割協議書)

譲渡所得税については、税理士または税務署にご確認ください。