相続登記情報館トップ相続事例集遺留分減殺請求による移転登記

遺留分減殺請求による移転登記

過去の事例から(平成21年、横浜地方法務局栄出張所で登記完了)
(過去の事例のため、現在、以下の内容がそのまま適用されるとは限りません。)

遺言公正証書に基づき、すでに、登記記録上、遺贈、相続を原因として、遺言書に記載された持分で移転登記がなされた。
その後、遺留分を侵害された遺留分権者(法定相続人)から遺贈、相続により名義人となった者に対し、遺留分減殺請求がなされた。
当事者の話し合いの結果、遺留分を侵害された相続人に、名義変更された不動産の一部を取得させ、遺留分を侵害された相続人に取得させる持分が、その者の遺留分を超えるため、その者からすでに名義人となっている者に対し、清算金(価格賠償)を支払う旨の合意がなされた。この合意に基づき、公正証書を作成する。

遺留分減殺の問題点

上記事例の場合、移転登記の原因を遺留分減殺だけにした場合の問題点とその結論

  1. 譲渡所得税、贈与税など国税の問題
  2. 不動産取得税の問題
  3. 移転登記の登録免許税の税率の問題

上記、税務上の問題があるので、必ず、遺産の価格と侵害された相続人の遺留分の価格を正確に計算する必要がある。

  1. 譲渡所得税、贈与税など国税の問題
    遺留分減殺だけを登記原因にして移転登記をした場合、譲渡所得税、贈与税など国税は、基本的に、かからない。(国税庁の相談センターと戸塚税務署に確認)
    理由:遺留分減殺も相続の一環として国税上考えるから。したがって、遺産分割における代償金の支払いと同様に、遺留分減殺において清算金の支払いがあっても、それが法定遺留分の範囲内の額であるならば、贈与税はかからない。
  2. 不動産取得税の問題
    遺留分減殺だけを登記原因にして移転登記をした場合、不動産取得税は、基本的に、かからない。
    理由:遺留分減殺も相続の一環として県税上考えるから。
    ただし、遺留分を超える持分については不動産取得税がかかる、というのが県税事務所の見解。
    国税の場合と比較して、多少、見解の相違がある。
    この場合、遺留分を超える持分について不動産取得税の納付通知が来た場合、異議を申し立てるべきでしょう。
    理由:遺産分割における代償金の支払いと同様に、遺留分減殺において清算金の支払いがあっても、それが法定遺留分の範囲内の額であるならば、不動産取得税はかからない、と考えるべきであり、国税におけるそれと異なる解釈になるから。
  3. 移転登記の登録免許税の税率の問題
    遺留分減殺による移転登記の税率は、1000分の4(0・4%)。これは、相続による移転登記の税率と同じ。
    遺留分減殺だけを登記原因とした場合、実際は(上記の事例では)、遺留分侵害持分を超えた持分も含んでいるので、この超えた持分に対しても、税率の1000分の4(0・4%)を適用することができるか、という問題。
    結論は、移転登記する持分全部に、税率1000分の4(0・4%)を適用。(平成21年、横浜地方法務局栄出張所で登記完了)

登録免許税について登記所に問い合わせ内容

以下の内容は、念のため、必ず、登記所に確認する必要がある。

  • 相談の要旨
    遺留分減殺による持分移転登記の登録免許税の税率について、
    侵害された遺留分を超えて、遺留分減殺による持分移転登記をする場合の登録免許税の税率は、1000分の4(0・4%)を適用してよいでしょうか。
  • 具体的事情
    遺言公正証書に基づき、すでに登記簿上、遺贈、相続を原因として、それぞれ持分移転登記がなされております。
    他の相続人ら(遺留分を侵害された者)は、名義人らに対して遺留分減殺請求をしております。
    そこで、他の相続人(遺留分を侵害された者)と名義人らは、公正証書により、侵害された遺留分を含めて移転登記された持分について遺留分減殺を原因として移転登記をする旨の合意書を作成中です。
    この公正証書の中で、侵害された遺留分を超えて、持分を移転登記することになるので、他の相続人(遺留分を侵害された者)から名義人に対して、清算金を支払うことになっております。
  • 相談者の意見
    別紙???資料によると、遺留分の割合を超えて移転登記の申請があった場合であっても、これを却下できない、と記載されております。
    遺留分減殺を登記原因として登記の申請があった場合、この登記申請を却下することができない以上、登録免許税の税率も1000分の4(0・4%)を適用せざるをえないものと考えます。

参照:遺留分
   相続登記後の遺留分減殺請求権の行使