遺贈の放棄

事例:遺言者が、法定相続人以外の人に不動産を遺贈する、という遺言書を作成しており、遺言者が亡くなった後、受遺者(遺贈を受ける人)がこの不動産をいらない、という場合、どのような手続が必要でしょうか。

遺言書で、あなたに遺贈する、あげる、と記載されている場合、このあなた(受遺者、遺贈を受ける人)は、ほとんどの場合、遺贈を受けます、もらいます、というのが普通です。

ところが、受遺者に特殊な事情があって、遺贈を受けない、いらない、と受遺者が言う場合、この不動産は、法定相続人が相続することになります。

民法第995条(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)には、次の規定があります。
遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

受遺者が、遺贈を受けない、いらない、と言う場合、遺贈を受ける権利を法定相続人に対して放棄してもらうことになります。

受遺者が遺贈を受ける権利を放棄する場合、法定相続人に対して、遺贈放棄証書を作成し、法定相続人に渡すことになります。
通常、受遺者が自ら進んで遺贈放棄証書を作成することはないので、法定相続人としては、後々の証拠として、遺贈放棄証書を作成し、受遺者に、署名、実印(印鑑証明書付)の押印をもらうのがよいでしょう。

遺贈の放棄は、家庭裁判所の手続ではないので、このような方法をとります。

法定相続人としては、この不動産について、通常の相続登記(法定相続分または遺産分割協議)をすることになります。