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限定承認と死因贈与

相続事例
被相続人には、生前の債務の他に、生前、相続人以外の人との不動産について死因贈与契約があります。
相続人は、限定承認の申述を考えています。(相続開始から3か月以内の申立てが必要)
この場合の手続について、説明いたします。

限定承認の申述手続と死因贈与の相手方との関係

限定承認の申述手続中に、死因贈与の相手方と裁判になった場合であっても、この裁判と限定承認の申述手続は、別の手続となります。

ですので、限定承認の申述手続中であっても、死因贈与の裁判とは別に、限定承認の申述手続は進行します。

限定承認の効果

限定承認の手続での相続財産の精算後、相続人がその存在を知らなかった別の請求が後から来た場合、
あるいは、債務の清算後も死因贈与の対象である不動産がまだ残っている場合で、死因贈与で所有権移転登記せよとの判決があった場合、次のようになります。

限定承認の効果は、
限定承認の手続が完了した後、積極(プラス)財産が多い場合、相続人は、精算後の財産を取得できます。ただし、その後に現れた債権者には、精算後の被相続人の残余財産で精算します。
死因贈与で所有権移転登記せよとの判決があった場合も同様です。

限定承認の効果は、万能ではありません。

精算後の被相続人の残余財産で債務者に支払うことになります。
死因贈与で所有権移転登記せよとの判決があった場合は、基本的に、土地の移転登記をされてしまいます。(ただし、債務の支払いの順番は下記に記載しました。)

(限定承認)
第922条  相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
第935条  第九百二十七条第一項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。

限定承認の精算(支払い)の順番

限定承認の精算段階では、支払う債務者の順番が決まっています。

(受遺者に対する弁済)
第931条  限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。

民法上、死因贈与は、遺贈に関する規定に従う旨の定めがあります。
(死因贈与)
第五百五十四条  贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

限定承認での精算は、まず、ほかの債権者に支払い、その後に、受遺者に支払う、渡す、という順番になるものと思われます。

実際の支払い手続きは、相続人(相続財産管理人)が行いますが、この点間違いのないように、家庭裁判所の指示を仰いで行います。

不動産を含めた遺産について、限定承認の手続完了後、通常の課税とは異なる国税の課税問題がありますので、事案によっては注意する必要があります。