被相続人名義の所有権が持分で登記されているときの相続登記の方法

被相続人名義の所有権が持分で登記されているときの相続登記の方法

被相続人名義が所有権全部で登記されているときの相続登記の方法

被相続人名義が所有権全部で登記されているときは、次の登記の方法となります。

登記記録情報(登記簿)(例)
権利部(甲区)(所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日売買
所有者(住所)○○○○○○
(氏名)横浜太郎

被相続人名義が所有権全部で登記されているときは、相続人1人が相続取得する場合、「登記の目的」を「所有権移転」として、相続人の住所・氏名を登記します。

(登記申請書)
登記の目的 所有権移転
原   因 〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 横浜太郎)
      (住所)○○○○○○
      (氏名)○○○○

登記完了後、登記記録情報(登記簿)には、次のように登記されます。

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日売買
所有者(住所)○○○○○○
(氏名)横浜太郎
2番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
所有者(住所)○○○○○○
(氏名)○○○○

被相続人名義の所有権が持分で登記されているときの相続登記の方法

被相続人名義の持分を合計すると所有権全部となるときの相続登記の方法

登記記録情報(登記簿)(例)
権利部(甲区)(所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日売買
共有者(住所)○○○○○○
持分2分の1
(氏名)横浜太郎
(住所)○○○○○○
2分の1
(氏名)川崎花子
2番横浜太郎持分全部移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
所有者(住所)○○○○○○
持分2分の1
(氏名)川崎花子

上記の登記記録情報(登記簿)には、順位番号1番で、横浜太郎と川崎花子の持分が登記されています。この場合、横浜太郎には「持分」の記載がありますが、川崎花子には「持分」の記載がありません。これは、共有者が2人以上いる場合、登記上、2番目以降の共有者には「持分」を記載しない(省略する)取り扱いとなっているためです。

上記の登記記録情報(登記簿)には、順位番号1番で、「共有者」と記載されています。順位番号2番で、「所有者」と記載されています。
これは、川崎花子が順位番号1番で持分2分の1を有し、順位番号2番で持分2分の1を有することになったため(合計1)、「所有者」と記載されています。
このように「所有者」と記載されるのは、順位番号1番の住所(・氏名)と順位番号2番の住所(・氏名)が同じ場合に「所有者」と記載されます。
順位番号1番の住所(・氏名)と順位番号2番の住所(・氏名)が異なる場合には「共有者」と記載されます。これは、登記上の名義人を特定するのが「住所及び氏名」であるので、これが異なって登記されている場合、登記上は別人扱いとなるためです。

この事例の場合、被相続人の川崎花子は、持分2分の1と2分の1、合計1で所有権全部を持っているので、相続人1人が相続取得する場合、登記の方法は、「被相続人名義が所有権全部で登記されているとき」の方法と同じとなります。

(登記申請書)
登記の目的 所有権移転
原   因 〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 川崎花子)
      (住所)○○○○○○
      (氏名)○○○○

登記完了後、登記記録情報(登記簿)には、次のように登記されます。

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日売買
共有者(住所)○○○○○○
持分2分の1
(氏名)横浜太郎
(住所)○○○○○○
2分の1
(氏名)川崎花子
2番横浜太郎持分全部移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
所有者(住所)○○○○○○
持分2分の1
(氏名)川崎花子
3番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
所有者(住所)○○○○○○
(氏名)○○○○

被相続人名義の持分が数回に分けて登記され、合計すると「持分」であるときの相続登記の方法

登記記録情報(登記簿)(例)
権利部(甲区)(所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日売買
共有者(住所)○○○○○○
持分2分の1
(氏名)横浜太郎
(住所)○○○○○○
2分の1
(氏名)川崎花子
2番横浜太郎持分全部移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
共有者(住所)○○○○○○
持分4分の1
(氏名)川崎花子
(住所)○○○○○○
8分の1
(氏名)川崎二郎
(住所)○○○○○○
8分の1
(氏名)川崎向日葵

この事例の場合、被相続人川崎花子は、持分2分の1と4分の1、合計4分の3(2/4+1/4=3/4)を持っています。この持分を川崎二郎と川崎向日葵が各2分の1を相続取得する場合、登記の方法は、次のとおりです。
登記する持分
川崎二郎:8分の3
川崎向日葵:8分の3

(登記申請書)
登記の目的 川崎花子持分全部移転
原   因 〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 川崎花子)
      (住所)○○○○○○
       持分8分の3
      (氏名)川崎二郎
      (住所)○○○○○○
       持分8分の3
      (氏名)川崎向日葵

登記完了後、登記記録情報(登記簿)には、次のように登記されます。

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1番所有権移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日売買
共有者(住所)○○○○○○
持分2分の1
(氏名)横浜太郎
(住所)○○○○○○
2分の1
(氏名)川崎花子
2番横浜太郎持分全部移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
共有者(住所)○○○○○○
持分4分の1
(氏名)川崎花子
(住所)○○○○○○
8分の1
(氏名)川崎二郎
(住所)○○○○○○
8分の1
(氏名)川崎向日葵
3番川崎花子持分全部移転〇年〇月〇日
第○○○○号
原因 〇年〇月〇日相続
共有者(住所)○○○○○○
持分8分の3
(氏名)川崎二郎
(住所)○○○○○○
8分の3
(氏名)川崎向日葵

登記完了後、川崎二郎と川崎向日葵が有する持分は、次の計算で算出することになります。
川崎二郎:2番で登記された持分(8分の1)+3番で登記された持分(8分の3)=8分の4
川崎向日葵:2番で登記された持分(8分の1)+3番で登記された持分(8分の3)=8分の4

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