相続財産管理人(相続人不存在)

相続人が誰もいないとき(相続人不存在)の相続財産管理人の選任

例えば、不動産の名義人が亡くなり、その名義人は、亡くなった当時、配偶者もいない、子供もいない、一人っ子で兄弟姉妹もいない、その父母も亡くなっていない、お祖父さんお祖母さんも亡くなっていない。
こういう場合に、相続人がいない、相続人不存在ということになります。
では、相続人が誰もいない場合、この人が持っていた不動産などの遺産は、どうなるのでしょうか。
この場合、最終的に、この人の遺産は、国に移ることになります。国庫に帰属する、ということになります。

相続関係図(相続人不存在)

相続人不存在の事例

相続人不存在の事例:被相続人の配偶者、子(孫)、父母(祖父母)、兄弟姉妹がいない場合

被相続人に、配偶者がいない場合(最初からいない、死亡、離婚)、子(孫)がいない場合(最初からいない、死亡)、父母(祖父母)が死亡、兄弟姉妹が最初からいない、死亡の場合です。

一人暮らしをしていた人には、相続人は誰もいません。自己所有のマンションに住んでいました。
身体が弱く、病院通いをしており、生活費にも困っていました。
マンションの管理費も払えず滞納し、サラ金に借金もありました。貯金はほとんど残っていませんでした。
この人はこういう状態で亡くなり、相続人でない親族が、葬儀をしお墓を手配しました。この親族が葬儀費用を立て替えました。

ということで、この人は、借金を残したまま亡くなり、唯一、残ったのがマンションです。
マンションもこのままにすることはできず、親族は、なんとか解決したいと考えています。
親族としては、このマンションを売却して、現金にし、借金を返済し、自分が立て替えた費用を返してもらいたいと考えています。
さらに、お墓については、永代供養料として、お寺に数百万円支払わなければならない、ということです。
もし、永代供養料を支払うことができなければ、この人は無縁仏として扱われるということです。
親族としては、無縁仏では忍びがたく、なんとかしたいと考えています。

相続人不存在の事例:被相続人の配偶者、子(孫)、父母(祖父母)、兄弟姉妹が相続放棄した場合

被相続人の相続人が家庭裁判所の手続で相続放棄をした場合です。
被相続人(父)の子(A・B)は、約40年以上、疎遠(音信不通)であった父の親族から父の死亡を知らされました。父が住んでいた場所は、子A・Bが住んでいる場所から約1,000㎞離れています。
この父には、死亡当時、配偶者がいません。父母(祖父母)も兄弟姉妹もいません。父との日頃の付き合いは、父の本家の親族(法定相続人ではない)です。
父には、父が住んでいた土地と建物があります。時価にして500万円ほどです。預貯金は、ほとんどありません。
こういう状況で、親族から子A・Bが父の死亡を知らされ、これと同時に、親族が父のために支払った費用(車の購入代金・葬儀費用など約200万円)を支払うよう請求されました。

子A・Bは、土地・建物所在地の役所から相続人の届けをするよう通知が郵送されて、自分たちが確定的に相続人であることを知りました。
そこで、子A・Bが種々検討した結果、家庭裁判所の相続放棄をすることにしました。このことにより、被相続人父の相続人が誰もいないこと(相続人不存在)となりました。

このことにより、父の親族が立て替えた費用は、この親族が利害関係人として相続財産管理人を家庭裁判所に申立てて回収することになります。

この事例では、子A・Bが相続放棄をしたことにより相続人不存在となりましたので、本来であれば、子A・Bが相続財産管理人選任を申立てることになります。相続放棄をした人は、相続財産管理人が選任されるまで、被相続人の財産についてその管理をしなければならないからです。
しかし、後述するように、相続財産管理人選任の申立てをするには、お金がかかります。子A・Bには、これを申立てるお金がありません。
結局、父の親族が立替費用を回収するには、自らが相続財産管理人選任を申立て、回収するしかありませんので、子A・Bは相続財産管理人選任を申立てることはしませんでした。

被相続人に相続人がいない場合、相続財産はどうなるのか

こういうときに、民法では、相続人の不存在として、相続財産法人という規定を設けています。

民法(相続財産法人の成立)
第九百五十一条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

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相続人不存在の場合、被相続人の相続財産を法人として、親族などの利害関係人が、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをします。
この相続財産管理人が、この人の相続財産について整理します。

事例の場合、親族が立て替えた費用は、相続財産管理人が選任された後、相続債権者として相続財産管理人に請求することになります。

特別縁故者への分与
家庭裁判所が行う相続人捜索で相続人がいない場合、亡くなった人と一緒に暮らしていた人、療養看護をしていた人など、亡くなった人と特別の縁故があった人に、相続財産の全部または一部を与えることができます。

相続財産の国庫帰属
最終的に残った相続財産は、国に、国庫に帰属することになります。

相続人不存在の場合の相続財産管理人選任の申立方法と費用

  1. 申立書を家庭裁判所に提出する
    申立先:被相続人の最期の住所地の家庭裁判所
    申立をする人:相続財産について法律上の利害関係がある人(相続債権者、特定遺贈の受遺者など)
  2. 家庭裁判所に予納金を納める。金額は家庭裁判所から連絡がある。金額は事案によって異なる。約30万円以上。
  3. 家庭裁判所が相続財産管理人を選任した旨の公告をする。(2か月の期間)
  4. (2か月の期間経過後)相続財産管理人が、相続債権者、受遺者、特別縁故者などに対する公告と催告をする。
    相続債権者、受遺者、特別縁故者などに対して、2か月以上の期間内に請求することの公告をする。わかっている債権者などには、個別に催告する。
  5. (2か月の期間経過後)さらに、相続人捜索の公告をする。(6か月の期間)
    この催告期間内に相続権を主張する相続人がなければ相続人不存在が確定する。
    相続財産管理人に申し出なかった相続債権者、受遺者などは権利を行使できなくなる。
  6. 相続財産の換価
    原則は、競売。家庭裁判所の許可を得て、任意売却
  7. 相続財産管理人による精算行為

相続財産管理人選任申立の必要書類

被相続人
(1)被相続人本人の出生から死亡までの除籍謄本など
    → 配偶者と子(孫)がいないことを証明
   被相続人の父母(祖父母)の出生から死亡までの除籍謄本など
    → 父母(祖父母)の死亡と、兄弟姉妹がいないことを証明
(2)戸籍の附票(または住民票の除票)
    → 最期の住所地を証明
(3)被相続人の遺産目録
(4)不動産登記事項証明書(あれば)

申立人(利害関係人)
(1)戸籍謄本
(2)戸籍の附票(または住民票)
(3)利害関係を証する書面

相続財産管理人候補者
1)戸籍謄本
2)戸籍の附票(または住民票)
 ただし、現在、神奈川県内の家庭裁判所では、相続財産の金額にもよりますが、通常、相続財産管理人を家庭裁判所の指定する弁護士または司法書士とする取扱いです。

申立の費用

家庭裁判所に支払う費用
(1)申立手数料    −     800円(収入印紙代)
(2)切手代      −  約3,000円
(3)官報公告料    −  約5,000円
(4)予納金      ー約300,000円以上(事案によって異なる。)
官報公告掲載手数料   − 約50,000円
当事務所司法書士報酬  − 110,000円(税込み)
費用については、相続登記費用追加報酬でご確認ください。

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