限定承認申立て:知らない相続人がいるときの対処方法
執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)
限定承認申立て:知らない相続人がいるときの対処方法について解説します。
【限定承認申立て相談】
被相続人父の相続について、兄弟二人で、ほかに債務があることに備えて限定承認しようとしたところ、前妻との子がいることが判明しました。
この場合、どのように限定承認の手続を進めたらよいか教えてください。
なお、遺産については、預金が400万円、債務が100万円です。
限定承認の基本
限定承認は、被相続人の財産の範囲内でのみ債務(遺贈を含む)を弁済することができます。
限定承認の申立てをするには、(基本的には)被相続人の死亡を知った日(自己のために相続開始を知った日)から3か月以内(熟慮期間)に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述すること(申立書などを提出)が必要です。
この「相続人全員での申述(申立て)」と「被相続人の死亡を知った日(自己のために相続開始を知った日)から3か月以内(熟慮期間)」いう要件があるため、相続人らの「知らない相続人」がいる場合には、対応が必要となります。
相続人の調査
当初は、自分たちだけが相続人と思って戸籍除籍謄本を取得したところ、自分たち相続人の「知らない相続人」がいることが判明した場合は、熟慮期間の「3か月以内の制限」がありますので、早急に「知らない相続人」への対応が必要となります。
相続人の調査方法:戸籍除籍謄本・「戸籍の附票」の取得
被相続人の出生から死亡までの除籍謄本をすべて取得することで、戸籍上の相続人を確定します。この際、養子縁組や認知の有無も確認します。
「知らない相続人」がいる場合:「戸籍の附票」を取得
被相続人の出生から死亡までの除籍謄本すべて取得する過程で、戸籍上の「知らない相続人」がいる場合、「知らない相続人」の「戸籍の附票」も併せて取得します。
「戸籍の附票」を取得することで、「知らない相続人」の住所が判明します。
「知らない相続人」への連絡
「知らない相続人」に連絡するときは、この時点で、連絡先電話番号が分かりませんので、手紙文を作成し、郵送で連絡することになります。
手紙文に記載する要点
手紙文に記載する要点は、次のとおりです。
- ○○が逝去したこと
- 相続手続に必要な戸籍除籍謄本・戸籍の附票を取得する過程で、○○○○(知らない相続人)が相続人であることが判明したこと
- 限定承認の申立てをしようとしていること及びその理由
- 限定承認の申立ては、相続人全員で申立てることが必要であること
- このため、○○○○(知らない相続人)にも協力してもらう必要があること
- 被相続人の遺産の内容
- 最終的に分配できる遺産の有無(と金額)
- 返答書の送付のお願い
- 限定承認申立ての期限
(以上、東京家庭裁判所で完了)
場合によって、熟慮期間伸長の申立て
「知らない相続人」との対応の仕方によって、熟慮期間の3か月以内に限定承認申立てが難しい場合は、熟慮期間伸長の申立てをした方がよいでしょう。
これについては、限定承認:相続人が複数いる場合の熟慮期間の伸長申立てを参考にしてください。
まとめ:限定承認申立て:知らない相続人がいるときの対処方法
限定承認申立ては、次の要件があります。
1.限定承認は、相続人全員が共同して申立てる。
2.限定承認は、熟慮期間内(自己のために相続開始を知った日から3か月以内)に申立てる。
「知らない相続人」がいるときは
1.熟慮期間内に限定承認申立てができるように、「知らない相続人」と連絡を取り、協力してもらう。
2.熟慮期間内に限定承認申立てが難しい場合は、熟慮期間伸長の申立てを相続人全員でする。
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