共有名義の相続登記の方法(共有者2名が被相続人の場合)

共有者2名が被相続人の場合の遺産分割協議と相続登記の方法

(事例)不動産がA・B共有名義(各持分2分の1)で登記されている場合、Aが平成20年に死亡し、Bが平成23年に死亡した場合の相続登記です。
A・Bは夫婦で、その子供C・Dがおり、A・Bどちらの遺産もCが遺産分割で相続取得します。

この場合、どういう遺産分割協議を行い、どういう遺産分割協議書を作成したらよいでしょうか。
また、登記申請書は、どういう申請方法がよいのでしょうか。

登記事項(甲区欄:所有権に関する事項)
 共有者:「A(父):持分2分の1」と「B(母):持分2分の1」→ ともに死亡(被相続人2名)

登記申請では「相続関係説明図」を登記所に提出しますが、被相続人父Aの登記と被相続人母Bの登記では、「相続関係説明図」を別々に作成して、登記所に提出します。この理由は、登記の対象となる被相続人が異なるからです。

遺産分割協議の方法と遺産分割協議書の作成方法

この場合、次のように遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、被相続人父Aと被相続人母Bについて別々に、2種類の遺産分割協議書を作成します。被相続人父Aの遺産についての遺産分割協議書と被相続人母Bの遺産についての遺産分割協議書を作成することになります。

遺産分割協議書を、父と母別々に作成する理由は、本来、被相続人の遺産は、それぞれ父と母とで異なるからです。父には父の固有の遺産があり、母には母の固有の遺産があります。
事例では、たまたま不動産が同じで持分も同じという、不動産が共通しているにすぎません。

ですから、元々父と母で遺産そのものが異なるものを、厳密にいえば、例えば、父と母の遺産についての分割を同時に協議することはできないし、1枚の遺産分割協議書で作成できないということになります。ただ実際は、父と母の遺産を同じタイミングで協議(話し合う)するでしょうが。

  1. まず、被相続人父Aの遺産について分割協議を子CとDで行います。
    この場合、母Bはすでに死亡しているので、CとDが死亡した母Bの相続人としての資格と父Aの相続人としての資格を兼ねて協議することになります。
    遺産分割協議書は、被相続人父Aの遺産は、不動産の所有権の2分の1ですので(事例の場合)、父の持分2分の1をCが取得するという遺産分割協議の合意に基づいて、遺産分割協議書を作成します。
    遺産分割協議書には、CとDが死亡した母Bの相続人としての資格を兼ねて協議しているので、母Bの氏名と死亡日を遺産分割協議書に記載しておきます。例えば、「・・・遺産分割協議をし、次のとおり決定した。」の後に、「ただし、母Bは、〇年〇月〇日死亡している。」
  2. 次に、被相続人母Bの遺産について分割協議を母の相続人としての資格で子CとDで行います。
    遺産分割協議書は、被相続人母Bの遺産は、不動産の所有権の2分の1ですので、母の持分2分の1をCが取得するという遺産分割協議の合意に基づいて、遺産分割協議書を作成します。

相続登記の方法

上記の遺産分割協議書に基づいて、相続登記は2件で申請します。2件の登記申請書を作成します。
この共有名義の登記を2件ではなく、1件で登記できない理由は、「登記の目的」と登記の「原因の日付」が異なるからです。

  1. 登記の目的 父A持分全部移転
    原   因 平成20年A死亡日・相続
    相 続 人(被相続人 父A)
          持分2分の1 子C
    (以下、登記申請書の記載を省略)
    「添付書類」の登記原因証明情報として、次の書類が必要となります。
    ① 戸籍謄本・除籍謄本など相続証明書一式のほかに、
      被相続人の死亡時の住民票(除票)または戸籍の附票(除かれた)
       → これは、登記されている人(登記名義人)と今回申請する被相続人が同一人物であることを証明するために必要となります。
         ただし、これは、市区町村役場の保存期間(5年間)の経過により、取得できない場合もあります。この場合、被相続人名義の権利証(登記済権利証・登記識別情報通知)や「上申書」などを登記所に提出することになります。
    ② 遺産分割協議書
    ③ 子CとDの印鑑証明書
     ①の戸籍謄本・除籍謄本など相続証明書一式を登記所から返却してもらうために相続関係説明図を作成して、登記所に提出します。
     ②③と①の「被相続人の死亡時の住民票(除票)または戸籍の附票(除かれた)」を登記所から返却してもらうために、それぞれコピーして、「これは原本の写しに相違ありません。」と記入し、氏名の記入と印鑑を押印します。
    これらの作業は、登記申請を司法書士に依頼すれば、すべてやってくれます。
  2. 登記の目的 母B持分全部移転
    原   因 平成23年B死亡日・相続
    相 続 人(被相続人 母B)
          持分2分の1 子C
    (以下、登記申請書の記載を省略)
    上記の①②の作業は同じですが、③の子CとDの印鑑証明書は、2件の登記で共通しているので、各1通を登記所に提出します。この場合、添付書面の「登記原因証明情報」に(一部前件添付)と記載します。

この2件の登記をすることによって、子Cは、各持分2分の1を取得し計2分の2となり、不動産を単独所有することになります。
また、これらの登記が完了しますと、登記所から登記識別情報通知(いわゆる権利証)が発行されます。上記の場合、2件で登記しますので、子Cには登記識別情報通知が2通発行されます。
上記の例では、不動産全体の権利証としては、子Cに発行された登記識別情報通知2通で不動産全体の権利証となります。この2通は、今後、不動産を売却する際の権利証として必要となりますので、大切に保管しておく必要があります。

登記費用(司法書士報酬)について

上記のように、登記名義人の被相続人が2名いる場合、登記を2件で申請することになりますので、司法書士に申請を依頼する場合は、通常の登記の場合に比べて、登記費用のうち司法書士報酬が多少高くなるのが普通です。
この理由は、被相続人が1名追加となる場合、追加となる被相続人の戸籍事項の確認、相続人の確認や遺産分割協議書の作成・確認などをするための作業が増えることになるからです。

当事務所の場合、被相続人2名の場合は、基本報酬:55,000円(税抜き)に20,000円(税抜き)を追加させていただいております。
依頼される場合は、それぞれの司法書士事務所にご確認ください。

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