債権者代位で相続登記後の遺産分割登記と錯誤で更正登記

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債権者代位で相続登記後の遺産分割登記と錯誤で更正登記

裁判上の争いがあり、裁判の原告から債権者代位で、法定相続分で相続登記(不動産名義変更)をされた後、この裁判が被告である相続人の勝訴となり、その後、相続人の間で遺産分割協議が成立した場合、どのような登記をすればよいでしょうか。

債権者代位登記の例
(登記)「原因」:年月日相続
(相続人):A持分3分の1、B持分3分の1、C持分3分の1
代位者:C
代位原因:年月日売買代金請求権

法定相続分での登記が、A持分3分の1、B持分3分の1、C持分3分の1の場合、遺産分割でCが土地所有権全部を相続すると決定したときは、どのようにCに所有権の登記をすればよいでしょうか。

このような場合、当職は、「遺産分割」を原因として、持分全部移転で行います。

登記の目的 A、B持分全部移転
原   因 平成○年○月○日(遺産分割協議成立の日)「遺産分割」
権 利 者 持分3分の2 C
義 務 者 A、B

この申請の場合、A、Bには、登記識別情報(権利証)が発行されていませんでしたので、登記申請後、登記所からA、B2名に通知する方法で行います。(権利証がない場合の事前通知)

上記の例で、「錯誤で所有権更正」の方法については、当職は行ったことがありません。
そもそも相続登記で、当職が間違った登記をした経験がないからです。
また、誤りのあった相続登記のやりなおしも受託した経験がありません。

「錯誤で所有権更正」の方法で登記する場合、そもそも最初にした登記の内容が誤りであったことが前提条件となります。最初にした登記の内容が誤りであった場合、「錯誤で所有権更正」の方法で登記をすることはできます。この場合、「錯誤で所有権更正」で登記をすることについての根拠が必要です。その根拠を「登記原因証明情報」に記載して登記所に提出します。

ところで、債権者代位で相続により法定相続分での所有権移転登記は、相続人にとっては、あずかり知らないことなので、錯誤で所有権更正としてもよさそうですが。

しかし、債権者代位による法定相続分で登記をした内容それ自体、誤った登記ではありません。
また、そもそも、債権者代位で登記した申請人と今回申請しようとしている相続人が異なります。
今回申請しようとしている相続人が、誤った内容の相続登記をしたわけでもありません。
「錯誤で所有権更正」で登記をする場合、その根拠を「登記原因証明情報」に記載して登記所に提出します。

錯誤で所有権更正登記の場合は、その登記された内容が、まったく違っていた場合です。
例えば、法定相続分で登記をしたが、その法定相続分に誤りがあった場合、相続人に誤り(名義人として誤り)があった場合、遺産分割で登記したが、遺産分割の内容に誤りがあった場合です。

また、もし仮に、相続人全員での遺産分割協議が債権者代位登記の前に成立していたのであれば、「錯誤で所有権更正」も可能と思われます。ただし、他の担保権など「所有権更正」を阻害する登記がないことが前提です。

通常、一旦、法定相続分で登記をし、その後、遺産分割が成立したので、「遺産分割」を原因として持分移転登記をすることはよくあることです。(「遺産分割」の登録免許税は固定資産評価価格の0・4%で「相続」の場合と同じ税率です。)

今回、他人様が行った法定相続分での所有権移転登記を認めたうえで、「遺産分割」を原因として持分移転登記をすることは問題ありません。

「遺産分割」で持分全部移転登記をした場合、Cの権利証(登記識別情報)は、後から登記した分のみ発行されます。
法定相続分で登記をした前の分は、それ以降存在しないことになります。
債権者代位によって登記された場合、その登記の権利証(登記識別情報)は発行されないことになっています。
すなわち、後から登記する持分3分の2のみ権利証(登記識別情報)があるだけです。

もし、Cの権利証として、完全なものが必要であれば、前にした登記を「錯誤で所有権抹消」し、改めて相続(相続証明書一式や遺産分割協議書を添付)による所有権移転登記をすることも考えられます。
前述したとおり、「錯誤で所有権更正」は、誤った登記であることが前提です。
もし、仮に、相続人全員での遺産分割協議が債権者代位登記の前に成立していたのであれば、「錯誤で所有権抹消」も可能と思われます。ただし、他の担保権など「所有権抹消」を阻害する登記がないことが前提です。

「錯誤で所有権更正」か「錯誤で所有権抹消」は、実際どういうことだったのかということで考える必要があります。この実際がどういうことだったのかを「登記原因証明情報」に記載することになります。

権利証(登記識別情報)は、その後の所有権移転や抵当権設定登記に必要なものですが、もし、一部でも登記識別情報が存在しない場合は、別の手続でカバーできますので、一部が存在しないからと言って、特に問題はありません。登記識別情報については、こちらを参考にしてください。

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