相続が開始した時の生命保険契約を確認する方法:生命保険契約照会制度
執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)
【相続相談】
(質問)父が亡くなり、生命保険契約があったかどうかを確認する方法を教えてください。生命保険会社の証券もありません。証券番号も分かりません。
契約者または被保険者が、次の状態になったときは、生命保険契約の内容を確認する必要があります。
- 契約者または被保険者が、死亡したとき
- 契約者または被保険者が、認知症等で認知能力が低下したとき
- 契約者または被保険者が、災害時に(災害により)、死亡・行方不明となったとき
生命保険契約の内容を確認する必要性
前述の場合
- 契約者については、契約者変更の手続が必要となります。
- 被保険者については、生命保険契約に従って、受け取れる保険金などがある場合は、保険金などを請求することになります。
生命保険契約の確認方法
次の手順で、生命保険契約があったかどうかを確認します。
- 自宅等で確認する方法
次の方法で、生命保険会社が判明すれば、直接、生命保険会社に問い合わせることができます。
(1)生命保険証券を探す
(2)保険会社から送付された通知書などを探す
(3)預金通帳で、保険料の口座振替履歴を確認する - 自宅等で確認ができない場合
生命保険契約照会制度を利用して、生命保険契約があるのかどうか(有無)を確認します。
この方法で、生命保険会社が判明すれば、生命保険会社に問い合わせることができます。
以下、生命保険契約照会制度(書面申請の場合)について解説します。
- 一般社団法人 生命保険協会 生命保険相談所(照会制度事務局)(以下、「生命保険協会」といいます。)に対し照会します。照会方法は、後述します。
- 生命保険協会から「照会結果のご回答について」の文書が郵送されます。
- 照会結果の「契約有無」で、生命保険会社に「〇」が記載されていれば、「〇」の生命保険会社に、個別に「契約内容の開示請求」をします。
- 生命保険会社から「契約内容の開示結果」が郵送されましたら、生命保険会社に対し生命保険金などの請求、契約者変更手続をします。
「照会結果のご回答について」見本

実例 2025年 生命保険協会に照会
生命保険会社2件が判明
1.生命保険金あり
2.過剰保険料の支払いあり
生命保険契約照会制度
生命保険契約そのものが不明(契約があったかどうか)で、次の三通りの場合に、生命保険契約の照会をするとができます。
- 契約者または被保険者が、死亡したとき
- 契約者または被保険者が、認知症等で認知能力が低下したとき
- 契約者または被保険者が、災害時に(災害により)、死亡・行方不明となったとき
以下の内容については、生命保険協会の「生命保険契約照会制度 ご利用の手引き」を参考にしています。
照会対象者(契約者または被契約者)と照会者(照会請求ができる人)
照会対象者(契約者または被契約者)が死亡したとき
照会者(照会請求ができる人)
- 法定相続人
- 法定相続人の任意代理人(司法書士など)
任意代理人は、照会対象者の財産管理を適切に行うために生命保険協会の有無を照会するに相応しいと生命保険協会が認めた者として、弁護士、司法書士、行政書士に限られます。 - 法定相続人の法定代理人(成年後見人など)
- 遺言執行者
- 遺言執行者の任意代理人(司法書士など)
任意代理人は、照会対象者の財産管理を適切に行うために生命保険協会の有無を照会するに相応しいと生命保険協会が認めた者として、弁護士、司法書士、行政書士に限られます。
照会対象者(契約者または被契約者)が、認知症等で認知能力が低下したとき
照会者(照会請求ができる人)
- 成年後見人など
- 任意後見人
- 任意代理人(司法書士など)
任意代理人は、照会対象者の財産管理を適切に行うために生命保険協会の有無を照会するに相応しいと生命保険協会が認めた者として、弁護士、司法書士、行政書士に限られます。 - 3親等以内の親族
- 3親等以内の親族の任意代理人(司法書士など)
任意代理人は、照会対象者の財産管理を適切に行うために生命保険協会の有無を照会するに相応しいと生命保険協会が認めた者として、弁護士、司法書士、行政書士に限られます。
生命保険契約照会制度の手順
生命保険協会のホームページにアクセスし、次のいずれか(どちらか)の方法で、申請します。
- Web申請:Webフォームから申請する。
- 書面申請:Webフォームから書面申請の申請書を取り寄せ、書面で申請する。
以下、「書面申請」の方法について解説します。

- Webフォームで、書面による申込みをします。
照会代表者(実際に照会をする人)の氏名などを入力し、送信します。 - 生命保険協会から「申請書類」が、郵送されます。
- 必要事項の記入と必要書類の(全部)コピーを、生命保険協会に郵送します。
利用料:3,000円をコンビニで支払います。 - 生命保険協会が、生命保険会社(42社)に対し、生命保険契約の「有無」を紹介します。
- 生命保険会社(42社)が、生命保険協会に対し、「照会対象者(保険契約者または被保険者)」の契約の有無を回答します。
- 生命保険会社(42社)の全部の回答が出揃ったら、生命保険協会が、照会代表者(実際に照会をする人)に回答書(照会結果のご回答について)を郵送します。(申請から回答書到着までの期間は、約3週間)
- 生命保険契約「有〇」が記載された生命保険会社に対し、個別に、契約内容の開示請求をします。
- 契約内容の開示結果の後、生命保険金などの請求、または、契約者変更手続をします。
生命保険協会に提出する書類
「申請書兼同意書」のほか、次の書類全部のコピーを生命保険協会に提出します。
照会対象者(契約者または被契約者)が死亡したとき
照会者(照会請求ができる人):法定相続人
- 生命保険契約照会依頼 申請書 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)
- 照会代表者(法定相続人)の本人確認書類:本人確認書類の例(いずれか・どれか)
運転免許証(または運転経歴証明書)コピー(裏表)
健康保険証コピー(住所変更の記載がある場合、裏面も)
マイナンバーカードのコピー(表面のみ)
住民票コピー(本籍記載なし、発行日から3か月以内)
印鑑証明書コピー(発行日から3か月以内) - 法定相続人であることが確認できる書類
法定相続情報証明書(一覧図の証明書)または、照会対象者と照会者の「戸籍関係を証明する戸籍除籍謄本」コピー - 照会対象者の死亡が確認できる書類:除籍戸籍謄本(または死亡診断書)コピー
照会対象者(契約者または被契約者)が死亡したとき
照会者(照会請求ができる人):法定相続人の任意代理人(司法書士など)
任意代理人は、照会対象者の財産管理を適切に行うために生命保険協会の有無を照会するに相応しいと生命保険協会が認めた者として、弁護士、司法書士、行政書士に限られます。
- 生命保険契約照会依頼 申請書 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)(任意代理人が記入)
- 生命保険契約照会依頼 委任状 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)(法定相続人が記入)
- 照会代表者(任意代理人)の本人確認書類:本人確認書類(の例、いずれか・どれか)
運転免許証(または運転経歴証明書)コピー(裏表)
健康保険証コピー(住所変更の記載がある場合、裏面も)
マイナンバーカードのコピー(表面のみ)
住民票コピー(本籍記載なし、発行日から3か月以内)
印鑑証明書コピー(発行日から3か月以内) - 任意代理人の資格を証明する書類(の例)
司法書士の場合:司法書士会の会員証コピー - 法定相続人であることが確認できる書類
法定相続情報証明書(一覧図の証明書)または、照会対象者と照会者の「戸籍関係を証明する戸籍除籍謄本」コピー - 照会対象者の死亡が確認できる書類:除籍戸籍謄本(または死亡診断書)コピー
照会対象者(契約者または被契約者)が死亡したとき
照会者(照会請求ができる人):法定相続人の法定代理人(成年後見人など)
- 生命保険契約照会依頼 申請書 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)(成年後見人などが記入
- 照会代表者(成年後見人など)の本人確認書類:本人確認書類(の例、いずれか・どれか)
運転免許証(または運転経歴証明書)コピー(裏表)
健康保険証コピー(住所変更の記載がある場合、裏面も)
マイナンバーカードのコピー(表面のみ)
住民票コピー(本籍記載なし、発行日から3か月以内)
印鑑証明書コピー(発行日から3か月以内) - 法定代理権の確認書類
登記事項証明書などコピー - 法定相続人であることが確認できる書類
法定相続情報証明書(一覧図の証明書)または、照会対象者と照会者の「戸籍関係を証明する戸籍除籍謄本」コピー - 照会対象者の死亡が確認できる書類:除籍戸籍謄本(または死亡診断書)コピー
照会対象者(契約者または被契約者)が死亡したとき
照会者(照会請求ができる人):被相続人の遺言執行者
- 生命保険契約照会依頼 申請書 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)(遺言執行者が記入)
- 照会代表者(遺言執行者)の本人確認書類:本人確認書類(の例、いずれか・どれか)
運転免許証(または運転経歴証明書)コピー(裏表)
健康保険証コピー(住所変更の記載がある場合、裏面も)
マイナンバーカードのコピー(表面のみ)
住民票コピー(本籍記載なし、発行日から3か月以内)
印鑑証明書コピー(発行日から3か月以内) - 照会対象者(遺言者)の除籍全部事項証明書(死亡日の記載があるもの)コピー
- 遺言執行者の印鑑証明書コピー(本人確認書類を印鑑証明書としないとき)
- 遺言書
照会対象者(契約者または被契約者)が死亡したとき
照会者(照会請求ができる人):遺言執行者の任意代理人(司法書士など)
任意代理人は、照会対象者の財産管理を適切に行うために生命保険協会の有無を照会するに相応しいと生命保険協会が認めた者として、弁護士、司法書士、行政書士に限られます。
- 生命保険契約照会依頼 申請書 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)(任意代理人が記入)
- 生命保険契約照会依頼 委任状 兼 同意書(生命保険協会の指定用紙)(遺言執行者が記入)
- 照会代表者(任意代理人)の本人確認書類:本人確認書類(の例、いずれか・どれか)
運転免許証(または運転経歴証明書)コピー(裏表)
健康保険証コピー(住所変更の記載がある場合、裏面も)
マイナンバーカードのコピー(表面のみ)
住民票コピー(本籍記載なし、発行日から3か月以内)
印鑑証明書コピー(発行日から3か月以内) - 任意代理人の資格を証明する書類(の例)
司法書士の場合:司法書士会の会員証コピー - 照会対象者(遺言者)の除籍全部事項証明書(死亡日の記載があるもの)コピー
- 遺言執行者の印鑑証明書コピー
- 遺言書
生命保険契約照会制度を利用して、当司法書士事務所に依頼する場合の費用
- 生命保険協会の「回答書」のみを取得する場合の費用
報酬:11,000円(税込み)+実費(生命保険協会の手数料):3,000円=14,000円 - ①生命保険協会の「回答書」+②生命保険会社に開示請求
①報酬:11,000円+実費(生命保険協会の手数料):3,000円+②報酬:11,000円=25,000円(税込み) - ①生命保険協会の「回答書」+②生命保険会社に開示請求+生命保険金など請求(または保険契約者の変更手続)
①報酬:11,000円+実費(生命保険協会の手数料):3,000円+②報酬:11,000円+③報酬:33,000円=58,000円(税込み)
まとめ:相続が開始した時の生命保険契約を確認する方法:生命保険契約照会制度
(回答)生命保険契約について、自宅等で確認できない場合は、前述の生命保険契約照会制度を利用して、生命保険会社が判明すれば、生命保険会社に対し生命保険契約の内容の開示請求をします。その後、生命保険金などの請求、または、保険契約者変更手続をすることができます。
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