相続登記と共有物分割:名義人が被相続人と相続人の場合
不動産登記事例
土地1筆(登記上1個):持分1/2(亡被相続人)A(親) 持分1/6B 持分1/6C 持分1/6D、(亡)Aの子がB、C、D
現在の土地の共有者名義は、亡くなった被相続人A(親)が持分2分の1、子Bが持分6分の1、子Cが持分6分の1、子Dが持分6分の1で共有しています。
土地1個(筆) | (亡)A持分2分の1 | B持分6分の1 | C持分6分の1 | D持分6分の1 |
この土地を3つに分割して、B、C、D単独名義にするには、次の登記手続が必要です。
以下の手順では、登記完了まで約2か月を要します。
相続登記、土地分筆登記、共有物分割登記を同時に申請することができません。
ひとつひとつの登記が完了しなければ、次の登記を申請できません。
次の登記を順番に行います。
第1:相続登記
第2:土地分筆登記
第3:共有物分割登記
第1:相続登記(司法書士が代理申請)
登記申請から登記完了まで2週間。
(亡)Aの持分2分の1をB、C、Dがそれぞれ6分の1とする相続登記をします。
この相続登記をすることによって、自分の持分と合わせて、B、C、Dの持分は、それぞれ3分の1となります。
土地1個(筆) | (亡)A持分2分の1 | B持分6分の1 | C持分6分の1 | D持分6分の1 |
👇
土地1個(筆) | B持分6分の1 | C持分6分の1 | D持分6分の1 | |
(亡)A持分2分の1➡ | B持分6分の1 | C持分6分の1 | D持分6分の1 | |
各持分合計 | B持分3分の1 | C持分3分の1 | D持分3分の1 |
第2:土地分筆登記(土地家屋調査士が代理申請)
登記申請から登記完了まで2週間。
土地を3つに分割するための土地分筆登記をします。
この登記は、土地家屋調査士が代理して手続をします。
土地の分筆登記は、公道の道路査定や隣接所有者の承諾を得なければならない場合があります。(時間がかかる場合があります。)
土地1個(筆) | B持分6分の1 | C持分6分の1 | D持分6分の1 | |
(亡)A持分2分の1➡ | B持分6分の1 | C持分6分の1 | D持分6分の1 | |
各持分合計 | B持分3分の1 | C持分3分の1 | D持分3分の1 |
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土地(B) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の | D持分6分の1 D持分6分の1 |
土地(C) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 |
土地(D) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 |
第3:共有物分割登記(司法書士が代理申請)
登記申請から登記完了まで2週間。
土地を3つに分筆(分割)した後、それぞれの土地を単独所有とするために、次の登記を同時にします。
- C、Dの持分6分の4を、「共有物分割」を登記原因として、Bに移転登記
- B、Dの持分6分の4を、「共有物分割」を登記原因として、Cに移転登記
- B、Cの持分6分の4を、「共有物分割」を登記原因として、Dに移転登記
この3つの登記をすることにより、土地は、B、C、D単独名義となります。
土地(B) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 |
土地(C) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 |
土地(D) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 |
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土地(B) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 | |
B持分6分の4 | CとDの持分6分の4をBに移転登記する | |||
合計持分 | B持分6分の6 | |||
土地(C) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 | |
C持分6分の4 | BとDの持分6分の4をCに移転登記する | |||
合計持分 | C持分6分の6 | |||
土地(D) | B持分6分の1 B持分6分の1 | C持分6分の1 C持分6分の1 | D持分6分の1 D持分6分の1 | |
D持分6分の4 | BとCの持分6分の4をCに移転登記する | |||
合計持分 | D持分6分の6 |
共有物分割の登録免許税は、移転する持分の固定資産税評価価格の0・4%です。
ただし、等価でない場合は、増加した部分について税率は2%(登録免許税法施行令第9条)です。この場合、計算方法が少し複雑になります。通常、計算ソフトを使用します。
共有物分割は、相続登記後の持分割合と分割後の土地面積が等価でない場合には、金銭で補充します。
金額が少額で(110万円以内)、BCDが合意すれば、金銭での補充は必要ありません。
等価交換の共有物分割の場合、贈与税の問題は生じません。
ただし、金銭での補充のない上記110万円を超えると贈与税の問題が生じます。
また、相続による取得、等価での共有物分割による取得の場合は、不動産取得税がかかりません。
登記費用について
土地分筆登記費用
土地分筆登記費用は、土地家屋調査士事務所により、土地面積、分筆の方法により、異なります。
おおよそ、20万円から50万円ほどです。
相続登記費用 (登録免許税)
相続登記費用のうち登録免許税について
登録免許税の計算方法は、移転する持分の評価価格の0・4%
評価価格を3,000万円と仮定して計算。
(亡)Aの土地持分2分の1の評価価格は1,500万円。
1,500万円×0・4%=6万円
共有物分割の登記費用(登録免許税)
共有物分割の登記費用のうち登録免許税について
登録免許税の計算方法は、移転する持分の評価価格の0・4%
ただし、分筆登記後の土地が等価でない場合、増加した部分については、登録免許税の税率が2%となります。(登録免許税法施行令第9条)この場合、計算方法が少し複雑になります。通常、計算ソフトを使用します。
分筆前の土地(1筆)の評価価格を3,000万円と仮定して計算。
BCDそれぞれに、持分6分の4を移転登記します。
分筆登記後は、土地が3個(筆)となります。
分筆する3つの土地の面積が同じ場合(等価)
3分割後の土地価格:3,000万円×1/3=1,000万円(1筆当たりの価格)
1,000万円×4/6(移転する持分)×0・4%=26,600円(一人当たりの登録免許税)
合計約8万円(3人分の合計)