外国に居住する(住所を有する)外国人(外国籍)の住所証明情報(住所証明書):実例(具体例)
執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)
外国に居住する外国人(外国籍)の住所証明情報(住所証明書)は、令和6年4月1日から次の取り扱いとなります。(法務省通達)
次の(1)または(2)のいずれかの住所証明書が必要です。(外国語は日本語への翻訳が必要)
(1)登記名義人となる者の本国または居住国(本国又は居住国の州その他地域を含む。以下「本国等」という。)の政府(本国等の領事を含み、公証人を除く。以下「本国等政府」という。)の作成に係る住所を証する書面(これと同視できるものを含む。(「政府」と「地方の役所」とは異なる。?)← 公証人の証明書(宣誓供述書)のみは認められない。
政府(本国等の領事を含む)発行の住所証明書が、どのようなものであればよいのか、現時点では判然としていない。
そこで、次の公証人作成の住所証明書とパスポート(政府発行の身分証明書と上申書)コピーで対応することになると思われる。
(2)登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面で行う場合は、次のアまたはイの書面を併せて提出する。(公証人の証明書(宣誓供述書)のみは認められない。)
ア:登記名義人となる者が旅券(パスポート)を所持しているとき
次のすべての要件を満たす旅券の写し(パスポートのコピー)
① 住所を証明する書面が公証人作成日において有効な旅券(有効期間のあるパスポート)
② 登記名義人となる者の氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示
③ 当該住所を証明する書面と一体となっていない旅券の写しにあっては、原本と相違がない旨の記載と登記名義人となる者の署名又は記名押印
イ:登記名義人となる者が旅券(パスポート)を所持していないとき
登記名義人となる者の作成に係る旅券を所持していない旨の上申書及び登記名義人となる者の本国等政府の作成に係る書面(政府発行の身分証明書)又は電磁的記録(以下「書面等」という。)の写し等(写し又は電磁的記録の内容を書面に出力したものをいう。以下同じ。)であって、次の要件を満たすもの
① 登記名義人となる者の氏名の記載又は記録がある書面等の写し等であること。
② 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。
③ 当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。
外国に居住する(住所を有する)外国人が、不動産の名義人となるときは
- 氏名をカタカナ(中国人・台湾人は漢字)のほか、ローマ字を併記する。
- 外国居住地の住所を証明する。
- 「国内の連絡先(日本国内の連絡先となる人)」を登記する(しない場合もある)。
台湾に居住する(住所を有する)台湾人の住所証明情報(住所証明書)
台湾には、戸政事務所(各市区で戸籍事務を行っている)発行の戸籍証明書(住所証明書を兼ねる)がありますので、この戸籍証明書を住所証明書として使用することができます。
- 戸政事務所発行の戸籍証明書(住所証明書を兼ねる)
- 旅券(パスポート)のコピーに「これは、原本の写しに相違ありません。」と記入し、署名、実印で押印。
外国人の場合は、氏名をカタカナ(台湾人は漢字)とローマ字を併記する必要がありますので、旅券に記載の氏名がローマ字であることを証明する必要があります。
以上、2024年 東京法務局港出張所で登記完了
ブラジルに居住する(住所を有する)ブラジル人の住所証明情報(住所証明書)
日本における住民票に相当するものは、ブラジルには存在しません。公の機関が住所証明書を発行しません。また、ブラジルでは、住所を証明するために、通常は、銀行の取引明細書や、公共料金の請求書(電気、水道、ガス、インターネットなど)が使われます。これには、氏名と住所が記載されています。
ブラジルにも身分証明書(RG)がありますが、これには、氏名、生年月日、写真、親の名前が記載されていますが、住所は記載されていません。
次の事例は、パスポートがない(パスポートはあるが、有効期限を過ぎている)場合の事例です。法務局には、身分証明書コピー(原本に相違ない。署名サイン)のほか、次の内容をブラジル公証人に宣誓供述書を作成してもらいます。身分証明書も日本語に翻訳します。
内容としては、委任行為の他、①氏名のローマ字表記、②住所、③パスポートを所持していない、④国内連絡先 についての宣誓供述書です。
【日本語訳(原文はポルトガル語)】
(スタンプ 公証人証明)
宣誓供述書
私(苗字)カタカナ(名前)カタカナ (苗字)ローマ字(名前)ローマ字 は、公証人の面前において、以下の内容を陳述し、間違いのないことを宣誓します。
1 住所と氏名
私の現在住んでいる住所は、次の場所です。
ブラジル連邦共和国 ○○○○
私の氏名は、(苗字)カタカナ(名前)カタカナ、(苗字)ローマ字(名前)ローマ字 です。
2 委任行為
私は、次の者を代理人と定め、日本にある不動産について、後記の登記申請に関する権限および本件登記申請に係る登記識別情報(toukishikibetujouhou)(法務局から発行される所有権の権利に関する証書)の受領に関する権限を委任します。
神奈川県横浜市中区元浜町三丁目21番地2 ヘリオス関内ビル4階
代理人 司法書士 芦川京之助(Kyounosuke Ashikawa)
記
登記の目的 所有権移転
原 因 令和〇年〇月〇日売買
権 利 者
(苗字)カタカナ(名前)カタカナ
(苗字)ローマ字(名前)ローマ字
義 務 者 ○○ ○○
不動産の表示
1 横浜市中区○○ 〇番〇 土地
2 横浜市中区○○ 〇番地〇
家屋番号 〇番〇 建物
(サイン)
3 日本国内における連絡先の登記について
2に記載の登記をするに当たり、日本においては、「日本国内の連絡先となる人」を登記することが決められています。
しかし、「日本国内における連絡先となる者」の承諾を得ることができず、他に「日本国内における連絡先となる者」がいないため、「日本国内における連絡先となる者」の事項を登記することができません。以上の内容について、日本の不動産を管轄する法務局に上申します。
4 私の氏名のローマ字表記について
2に記載の登記をするに当たり、私の氏名のローマ字表記をする必要があります。このローマ字表記は、基本的に、旅券(パスポート)に記載されているローマ字で登記することが決められています。
しかし、私の旅券(パスポート)の有効期限が経過していますので、これを日本の法務局に提出することができません。
私の氏名のローマ字表記が、(苗字)ローマ字(名前)ローマ字 であることに相違ありません。以上の内容について、日本の不動産を管轄する法務局に上申します。
(サイン)2024年〇月〇日
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(スタンプ 公証人証明)
○○州○○地区の文書、異議申し立て書、登記の公証人
○○州○○市・・・ 郵便番号○○、電話○○
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私は、○○ ○○ ○○ ○○により署名された宣言が類似性により有効である事を認めます。
2024年〇月〇日、○○市
真実の証として、公証人氏名○○
認証番号:○○
費用:○○レアル 認証されたスタンプが添付されてのみ有効
【日本語訳(原文はポルトガル語)】
【身分証明書】
ブラジル連邦共和国
○○州
公共安全局
○○身分証明局
名前
○○ ○○ ○○ ○○
両親
父:○○ ○○ ○○ ○○
母:○○ ○○ ○○ ○○
生年月日
〇年〇月〇日
出生地
○○州
備考
発行機関
SSP-○○(○○州公共安全局)
ID番号
○○
略名
○○ ○○ ○○ ○○
本人署名
身分証明書
・・・・・・・・・・
これは、原本の写しに相違ありません。(署名)
以上、2024年 横浜地方法務局で登記完了
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