海外在住日本人の「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記の方法(令和6年4月1日施行)

海外在住日本人の「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記の方法(令和6年4月1日施行)

執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)

海外在住の日本人:国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)
海外在住の日本人:国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)

海外在住の日本人(日本国籍)が不動産の所有権名義変更(相続登記など移転登記・保存登記)をするときは、基本的には、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記します(令和6年4月1日施行)。
もし、どうしても、「日本国内における連絡先となる人」がいても、この人の承諾が得られない場合、あるいは、この人がいない場合は、「国内連絡先 なし」とする登記をする必要があります。どちらかを選択して登記します。
海外在住の外国人(外国籍)の方も、同様に、この登記をする必要があります。

海外在住の日本人(日本国籍)が、日本にある不動産を購入するときや、相続登記などで不動産を取得するときは、海外在住日本人の登記する住所を海外の住所で登記することになります。不動産を取得した人は、基本的に、市区町村役場の固定資産税や都道府県の不動産取得税(相続の場合は不要)の対象となります。
海外在住の日本人(日本国籍)が不動産を取得した時(所有している時)は、これまでも、日本国内の人を「納税管理人」とする届け出がありましたが、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記することで、税金以外についても連絡することが可能となります。

例えば、日本国内のアパートなど賃貸物件を所有している海外在住日本人の場合、税務申告を税理士に依頼している場合は、この税理士を「国内連絡先」とすることもできますし、賃貸物件を管理している管理会社を「国内連絡先」とすることもできます。もっとも、「国内連絡先」が変更した場合には、「国内連絡先」の変更登記をする必要があります。

不動産登記法 第73条の2第1項第2号
(所有権の登記の登記事項)
第七十三条の二 所有権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
二 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

不動産登記法 | e-Gov法令検索

不動産登記規則 第156条の5、第156条の6
(国内連絡先事項)
第百五十六条の五 法第七十三条の二第一項第二号の法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 所有権の登記名義人の国内における連絡先となる者(以下この条、次条第一項及び第百五十六条の八第一項において「国内連絡先となる者」という。)があるときは、次に掲げる事項
イ 国内連絡先となる者(一人に限る。)の氏名又は名称並びに国内の住所又は国内の営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地及び名称
ロ 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人であるときは、当該法人の会社法人等番号
二 国内連絡先となる者がないときは、その旨
(国内連絡先事項を申請情報の内容とする登記の添付情報)
第百五十六条の六 前条各号に掲げる事項(次条第一項及び第二項、第百五十六条の九並びに第百五十七条第三項において「国内連絡先事項」という。)を申請情報の内容とする登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて提供しなければならない。
一 国内連絡先となる者があるときは、次に掲げる情報
イ 前条第一号イに掲げる事項を証する情報
ロ 国内連絡先となる者の承諾を証する当該国内連絡先となる者が作成した情報
二 国内連絡先となる者がないときは、前条第二号に掲げる事項を証する情報
2 前項第一号ロに掲げる情報を記載した書面には、令第十九条第二項に規定する印鑑に関する証明書に代えてこれに準ずる印鑑に関する証明書を添付することができる。

不動産登記規則 | e-Gov法令検索

「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記

「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記は、不動産の所有権名義変更(相続登記など移転登記・保存登記)のほか、所有権登記名義人住所変更登記をする場合にも適用されます。

「日本国内における連絡先となる人」の有無の登記をする必要がある人

日本国内に住所がなく海外に住所がある日本人(日本国籍)が所有権に関する登記をするときは、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記をする必要があります。「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」がいない場合であっても、「国内連絡先 なし」とする登記をする必要があります。

  1. 不動産の所有権名義変更(売買・贈与・相続登記など移転登記・保存登記)の場合
    → 国内に住所を有しないとき所有権の登記名義人となる人
  2. 所有権登記名義人住所変更(更正)登記をする場合
    → 変更(更正)後の住所が国内にない人

「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記事項

「日本国内における連絡先となる人」を登記するとき(がいるとき)は、国内連絡先となる者(一人に限る。)の次の事項を登記します。

  1. 氏名(または名称)
  2. 国内の住所(または国内の営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地・名称)
    国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人であるときは、会社法人等番号

登記申請の方法

「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記するとき
   (例)登記申請書(一部省略)
登記の目的 所有権移転
原   因 〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 父)
      (海外の住所)○○○○
      (氏名)○○
国内連絡先 【住所】
      【氏名】
添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報 承諾証明情報 評価証明情報
課税価格  金1,000万円
登録免許税 金40,000円(評価価格の0・4%)
不動産の表示(省略)

国内連絡先となる人を登記するときの必要書類
国内連絡先となる人を登記するときは、次の書類が必要です。
① 承諾書(日本国内にいる人・承諾者の署名・実印)
② 承諾者の印鑑証明書1通

国内連絡先の承諾書
国内連絡先の承諾書
「国内連絡先」の登記事項
「国内連絡先」の登記事項
「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記しないとき(「国内連絡先 なし」として登記する。)
   (例)登記申請書(一部省略)
登記の目的 所有権移転
原   因 〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 父)
      (海外の住所)○○○○
      (氏名)○○
国内連絡先 なし
添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報 上申書 評価証明情報
課税価格  金1,000万円
登録免許税 金40,000円(評価価格の0・4%)
不動産の表示(省略)

国内連絡先となる人を登記しないときの必要書類
国内連絡先となる人を登記しないときは、次の書類が必要です。
① 上申書(登記名義人の署名記名・認印(拇印)(サイン拇印証明書が不要)

上申書:国内連絡先なし
上申書:国内連絡先なし
「国内連絡先なし」の登記事項
「国内連絡先なし」の登記事項

まとめ:海外在住日本人の「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記の方法

令和6年4月1日から、海外在住の日本人(日本国籍)が不動産の所有権名義変更(相続登記など移転登記・保存登記)をするときは、基本的には、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」を登記することになりました。
もし、どうしても、「日本国内における連絡先となる人」がいても、この人の承諾が得られない場合、あるいは、この人がいない場合は、「国内連絡先 なし」とする登記をする必要があります。どちらかを選択して登記します。

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相続登記相談風景(イメージ)
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