代襲相続の遺産分割協議をする相続人

代襲相続の遺産分割協議をする相続人

被相続人死亡の前に相続人が死亡している場合、この相続人にさらに相続人がいる場合に、代襲相続といいます。例えば、
被相続人の死亡日:平成20年1月1日
相続人(例えば、子)の死亡日:平成10年1月1日(被相続人の前に死亡)
この相続人(子)にさらに相続人(被相続人から見て孫)がいる場合、孫が代襲相続人となります。代襲相続人は「法定相続人」として相続人全員での遺産分割協議に参加する資格があります。
また、代襲相続人は法定相続人であるので、家庭裁判所の相続放棄限定承認の手続をすることができます。

代襲相続の場合の遺産分割協議

被相続人の子が先に死亡している場合

第1順位の相続人の子が被相続人よりも前に死亡している場合、その子(孫)が代襲相続人となります。

代襲相続(だいしゅうそうぞく)は、例えば、A(被相続人)さんが亡くなったとき、法定相続人は、Aさんの子であるBさんとCさんで、Bさんは、Aさんが亡くなる前に、すでに亡くなっている。
Bさんには、Dさんという配偶者がいます。また、Bさんには、EさんとFさん、二人の子(成人)がいます。

この事例の場合、Bさんは、A(被相続人)さんが亡くなる前に、すでに亡くなっていますので、Bさんの代わりに、Bさんの子であるEさんとFさんが、(直接的に)相続人(代襲相続人)となります。
この相続を代襲相続といいます。

代襲相続の場合、Bさんの配偶者Dさんは、相続人とはなりません。

この事例の代襲相続の場合、遺産分割協議は、Cさん、Eさん、Fさんの3人でします。
その結果、遺産分割協議書には、その3人が署名、実印を押印し、印鑑証明書をつけます。

相続手続きには、被相続人であるAさんの戸籍の証明書を、基本的に出生から死亡までの記載のあるものを取得します。

また、Aさんの子で、すでに亡くなったBさんについても、Bさんの戸籍の証明書を、出生から死亡までの記載のあるものを取得します。
Bさんについては、Aさんの戸籍の証明書と重複する部分もありますので、Aさんの戸籍の証明書(除籍謄本や改製原戸籍謄本)の記載を援用できます。重複する部分については、各1通取得すれば足ります。二重に取得する必要はありません。

被相続人の兄弟姉妹が先に死亡している場合

第1順位の相続人(子)がすでに死亡している場合、子全員が家庭裁判所の相続放棄をした場合、その相続権は第2順位の相続人(父母・祖母)に移ります。第2順位の相続人がすでに死亡している場合、その相続権は被相続人の兄弟姉妹に移ります。
この場合、第3順位の兄弟姉妹が被相続人よりも前に死亡している場合、その子(甥姪)が代襲相続人となります。例えば、
被相続人の死亡日:平成20年1月1日
兄弟姉妹の死亡日:平成10年1月1日(被相続人の前に死亡)

第3順位の相続人(兄弟姉妹)に相続権がある場合、被相続人に配偶者がいる場合は、遺産分割協議は、配偶者と兄弟姉妹、甥姪とで行います。
配偶者がいない場合は、兄弟姉妹と甥姪とで遺産分割協議を行います。

兄弟姉妹が相続人となる場合、被相続人が同じ兄弟姉妹の場合であっても、被相続人の出生から死亡までの戸籍証明書(除籍謄本など)のほかに、兄弟姉妹の父母の出生から死亡までの戸籍証明書(除籍謄本など)が必要となります。
この理由は、被相続人の兄弟姉妹が遺産分割協議を行う場合、遺産分割協議に参加できる兄弟姉妹全員であることを証明するためです。そのためには、被相続人の父母の除籍謄本などで父母の子(被相続人の兄弟姉妹)が全部で何人いるのか(誰がいるのか)を証明する必要があるからです。

このように、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合、被相続人の父母の出生から死亡までの除籍謄本などが必要となることから、被相続人の父についての「出生から死亡まで」の除籍謄本などを取得するのと同時に、被相続人の母についての「出生から死亡まで」の除籍謄本などを取得することになりますので、相続手続としては複雑になります。

配偶者の相続権は不動で、相続権が第1順位の相続人から第2順位の相続人、第3順位の相続人へ相続権が移った場合でも、配偶者には常に相続権があります。

数次相続の場合の遺産分割協議

数次相続とは、相続が連続して開始する場合のことをいいます。この間、被相続人の相続手続(不動産など名義変更)をしていなかった場合のことをいいます。

最初の事例の場合、A(被相続人)さんの子Bさん(長男)が、Aさんの死亡後(第1の相続)に亡くなった場合(第2の相続)、子Bさん(長男)の配偶者Dさんは、その子Eさん・Fさんとともに相続人となります。これを数次相続といいます。

例えば、
被相続人の死亡日:平成10年1月1日
配偶者の死亡日:平成15年1月1日
相続人(例えば、子)の死亡日:平成20年1月1日

数次相続の場合、通常の相続よりも相続人が増える可能性が高くなります。相続関係が複雑になる可能性が高くなります。
この例の場合、
配偶者が被相続人の後に死亡すると、配偶者の子が相続人となります。
この場合、配偶者と被相続人の子は当然、相続人ですが、被相続人との子でない配偶者の子(前配偶者の子)も相続人となります。例えば、次にような相続関係の場合です。

この事例の場合、被相続人の法定相続人は、長男A、二男の配偶者B、二男の子C、被相続人の配偶者の子D、子Eの5名となり、この5名で被相続人の遺産について遺産分割協議を行うことになります。

この場合、相続登記の必要書類としては、被相続人の出生から死亡までの除籍謄本などのほかに、配偶者について出生から死亡までの除籍謄本なども取得する必要があります。
もし、被相続人の死亡時に、配偶者に再婚前の子がいることを知らなかった場合、相続手続をするために配偶者の出生から死亡までの除籍謄本などを取得しますので、この過程で、再婚前の子がいることが判明することになります。

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