遺産分割協議書作成と「不動産の表示」記載方法
相続により不動産の名義変更(相続登記)を行うため、遺産分割協議書を作成する場合があります。
この場合、遺産分割協議書に記載する「不動産の表示」は、どのように記載したらよいでしょうか。
遺産分割協議書の「不動産の表示」を記載する方法の基本
相続による不動産の名義変更(相続登記)を申請する役所は、登記所(法務局)です。
登記所に提出しますので、その内容、表示が登記所の審査を通るものでなければなりません。
「不動産の表示」は、登記所が管理する登記記録で確認します。一般的には、「登記事項証明書」を取得して確認します。
この登記記録に記載されているとおりに記載すれば間違いありません。
税理さんなどが作成した遺産分割協議書で、例えば、登記記録に記載されている土地の「地積(例えば100㎡)」ではなく、評価証明書(固定資産税納税通知書・課税明細書)に記載されている現況地積(例えば120㎡)」で記載されている場合、相続登記を申請する管轄の法務局によっては、遺産分割協議書に記載されている地積(現況地積120㎡)が、登記記録に記載されている地積(例えば100㎡)と相違するので、遺産分割協議書の地積を訂正するように指示される場合があります。このため、このようなときは、登記されている地積(登記地積)と課税地積を併記した方が間違いないでしょう。
「不動産番号」について
登記記録情報には、「不動産番号」が記載されています。これは、その不動産を特定するための番号です。不動産すべてについて異なる「不動産番号」が割り振られています。
遺産分割協議書の「不動産の表示」には「不動産番号」を、記載してもしなくても問題ありません。不動産番号は、長い数字だけの羅列のため間違えやすいです。当司法書士事務所では、遺産分割協議書に「不動産番号」を記載しておりません。記載する事項が多くなればなるほど間違える確率が高くなるからです。
土地
土地の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿謄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
所 在 横浜市○○町○○丁目
地 番 ○○番○○
地 目 宅地
地 積 ○○・○○平方メートル(㎡)
建物
建物の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿謄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
所 在 横浜市○○町○○丁目 ○○番地○○
家屋番号 ○○番○○
種 類 居宅
構 造 木造スレート葺2階建
床 面 積 1階 ○○・○○平方メートル(㎡)
2階 ○○・○○平方メートル(㎡)
マンション(敷地権の表示が書かれている(敷地権付き)区分建物)
マンション(敷地権の表示が書かれている(敷地権付き)区分建物) の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿抄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
一棟の建物の表示
所 在 横浜市○○町○○丁目 ○○番地○○
建物の名称 横浜ダイヤモンドマンション
専有部分の建物の表示
家 屋 番 号 ○○丁目 ○○番○○の201
建物の名称 201
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 2階部分 ○○・○○平方メートル(㎡)
敷地権の表示
符 号 1(← 「符号」書かなくても問題ありません。ただし、符号が2以上ある場合は、
順番と敷地権の個数を分かりやすくするために書いた方がよいでしょう。)
所在及び地番 横浜市○○町○○丁目○○番○○
地 目 宅地
地 積 ○○・○○平方メートル(㎡)
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 ○○万分の○○
マンション(敷地権の表示が書かれていない(敷地権付きではない)区分建物)
マンション(敷地権の表示が書かれていない(敷地権付きでない)区分建物) の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿抄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
一棟の建物の表示
所 在 横浜市○○町○○丁目 ○○番地○○
建物の名称 横浜ダイヤモンドマンション
(建物の名称が記載されていない場合は、次の「構造」「床面積」を記載します。
構 造 鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
床 面 積 1階 ○○・○○平方メートル(㎡)
2階 ○○・○○平方メートル(㎡)
3階 ○○・○○平方メートル(㎡)
4階 ○○・○○平方メートル(㎡)
専有部分の建物の表示
家 屋 番 号 ○○丁目 ○○番○○の201
建物の名称 201
種 類 居宅
構 造 鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積 2階部分 ○○・○○平方メートル(㎡)
所 在 横浜市○○町○○丁目
地 番 ○○番○○
地 目 宅地
地 積 ○○・○○平方メートル(㎡)
持分○○万分の○○