遺産分割協議書作成と「不動産の表示」記載方法

遺産分割協議書作成と「不動産の表示」記載方法

相続により不動産の名義変更(相続登記)を行うため、遺産分割協議書を作成する場合があります。
この場合、遺産分割協議書に記載する「不動産の表示」は、どのように記載したらよいでしょうか。

遺産分割協議書の「不動産の表示」を記載する方法の基本

相続による不動産の名義変更(相続登記)を申請する役所は、登記所(法務局)です。
登記所に提出しますので、その内容、表示が登記所の審査を通るものでなければなりません。

「不動産の表示」は、登記所が管理する登記記録で確認します。一般的には、「登記事項証明書」を取得して確認します。
この登記記録に記載されているとおりに記載すれば間違いありません。

「不動産番号」について
登記記録情報には、「不動産番号」が記載されています。これは、その不動産を特定するための番号です。不動産すべてについて異なる「不動産番号」が割り振られています。
遺産分割協議書の「不動産の表示」には「不動産番号」を、記載してもしなくても問題ありません。不動産番号は、長い数字だけの羅列のため間違えやすいです。当司法書士事務所では、遺産分割協議書に「不動産番号」を記載しておりません。記載する事項が多くなればなるほど間違える確率が高くなるからです。

土地

土地の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿謄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
 所 在 横浜市○○町○○丁目
 地 番 ○○○○
 地 目 宅地
 地 積 ○○・○○平方メートル(㎡)

建物

建物の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿謄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
 所  在 横浜市○○町○○丁目 ○○番地○○
 家屋番号 ○○○○
 種  類 居宅
 構  造 木造スレート葺2階建
 床 面 積 1階 ○○・○○平方メートル(㎡)
      2階 ○○・○○平方メートル(㎡)

マンション(敷地権の表示が書かれている(敷地権付き)区分建物)

マンション(敷地権の表示が書かれている(敷地権付き)区分建物) の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿抄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
一棟の建物の表示
 所    在 横浜市○○町○○丁目 ○○番地○○
 建物の名称  横浜ダイヤモンドマンション
専有部分の建物の表示
 家 屋 番 号  ○○丁目 ○○○○の201
 建物の名称  201
 種    類 居宅
 構    造 鉄筋コンクリート造1階建
 床  面  積 2階部分 ○○・○○平方メートル(㎡)
敷地権の表示
 所在及び地番 横浜市○○町○○丁目○○○○
 地    目 宅地
 地    積 ○○・○○平方メートル(㎡)
 敷地権の種類 所有権
 敷地権の割合 ○○万分の○○

マンション(敷地権の表示が書かれていない(敷地権付きではない)区分建物)

マンション(敷地権の表示が書かれていない(敷地権付きでない)区分建物) の場合、遺産分割協議書には、「登記記録(登記簿抄本)」に記載されているとおりに次のように(例)記載します。
一棟の建物の表示
 所    在 横浜市○○町○○丁目 ○○番地○○
 建物の名称  横浜ダイヤモンドマンション
        (建物の名称が記載されていない場合は、次の「構造」「床面積」を記載します。
 構    造 鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
 床  面  積 1階 ○○・○○平方メートル(㎡)
        2階 ○○・○○平方メートル(㎡)
        3階 ○○・○○平方メートル(㎡)
        4階 ○○・○○平方メートル(㎡)
専有部分の建物の表示
 家 屋 番 号  ○○丁目 ○○○○の201
 建物の名称  201
 種    類 居宅
 構    造 鉄筋コンクリート造1階建
 床  面  積 2階部分 ○○・○○平方メートル(㎡)

 所    在 横浜市○○町○○丁目
 地    番 ○○○○
 地    目 宅地
 地    積 ○○・○○平方メートル(㎡)
        持分○○万分の○○

遺産分割協議書の「不動産の表示」が不明瞭な場合

遺産分割協議書の「不動産の表示」が不明瞭な場合とは、例えば、次のような事例が、ごく稀にあります。

相続人の間で遺産分割協議書を作成し、署名、実印も押印し、印鑑証明書も揃えたが、名義変更(相続登記)をしていなかった場合です。
通常、ここまで進めたにもかかわらず、名義変更(相続登記)をしないことは、ごく稀です。
ですが、このごく稀なことも、実際にはあります。

このごく稀な事例では、名義変更(相続登記)をしないまま、時が過ぎ、遺産分割協議書で不動産を相続した人が死亡してしまった場合は、どうでしょうか。

この場合であっても、すでに作成された遺産分割協議書を次の名義変更(相続登記)で使用することができます。

ところが、すでに作成された遺産分割協議書の「不動産の表示」が登記所の登記記録と一致していない場合は、どうでしょうか。

遺産分割は、そもそも、相続人の誰が「何を」相続取得する、という内容です。
この「何を」、が特定されなければ、そもそも、名義変更(相続登記)することができません。

例えば、マンションの場合、敷地がいくつかの土地に分かれている場合があります。
マンションの専有部分の建物を特定するためには、家屋番号が記載されている必要があります。
この家屋番号が記載されず、土地も1個のみ記載され、他の土地が記載されていない場合は、どうでしょうか。

このように、過去に作成された遺産分割協議書を使用する場合、遺産分割協議書作成の相続人が、すでに死亡している場合は、作成しなおすことができません。

そこで、このような場合、遺産分割協議書の不動産の表示を補完する書面を提出します。
例えば、その当時、相続税の申告をしていたのであれば、これを提出し、また、他に被相続人の不動産が存在していなかったことを証明するために、被相続人名義の「名寄帳」を取得することも必要な場合があります。(実際、過去には、これで登記が完了しました。)

現在の相続人が、新たに遺産分割協議書など書面を作成し直すことができ、これを提出すれば問題ありませんが、現在の相続人の間で、過去に作成された遺産分割協議書などに代わる書面を作成することが困難な場合は、上記のような補完する書類を取得、提出することしかできなくなります。

そういう意味で、たかが不動産の表示、されど不動産の表示、不動産の表示は正確に記載する必要があります。
不安な場合は、作成した遺産分割協議書を専門家に見てもらうことをお勧めします。

税理士作成の遺産分割協議書の「不動産の表示」記載方法

遺産分割協議書の「不動産の表示」を記載する場合、司法書士が記載する場合は、登記所の登記記録に記載されているとおりに記入するのが普通です。
税理士が遺産分割協議書を作成する場合は、市区町村役場の固定資産税課税明細書に記載されている内容(現況)で記載するのが普通です。
例えば、土地であれば、地目、地積を、建物であれば、種類、構造、床面積は、課税明細書に記載されている内容(現況)で記載しているようです。過去、何回も経験があります。
例えば、登記上の地目が「田」であるところ、課税地目が「宅地」であれば、司法書士は、登記記録と同じ「田」で記載し、税理士は、課税地目の「宅地」で記載します。
税理士は、相続税申告の関係で、「不動産の表示」の実質的な内容(現況)で記載すべきだと考えていると思います。このどちらの方法であっても、登記できます。

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