相続放棄・限定承認の相談事例(必要書類・手順)
相談内容
法定相続人:母と子らの4名
実際に相続(限定承認)したい人:母と子の2名
相続人4名のうち、2名は相続放棄をして2名で限定承認をしたいと考えています。
まず、限定承認の申立て(申立書類を家庭裁判所に提出(持参又は郵送))の期限は、お父様が亡くなってから3か月以内、であることをご確認ください。
お父様の出生から亡くなるまでの戸籍証明書を取得しますので、これに要する期間は、約2週間です。
次に、限定承認は、基本的に、法定相続人全員(母と子らの4名)で申立てます。
限定承認をする人を母と子の2名で行う場合、他の子2名は、別途、相続放棄の申立てをする必要があります。
この場合、相続放棄の申立てと限定承認の申立てをすることになりますので、費用が余計にかかることになります。
費用が余計にかかりますので、限定承認の申述のみでよろしいと思います。
法定相続人4名のうち、1名を相続財産管理人としますので、この相続財産管理人が精算行為を行い、他の相続人は何もする必要がありません。
費用については、次を参考にしてください。
限定承認の申述
相続放棄の申述
〇 休業補償金について(調べましたところ、次のとおりです。)
労災保険の給付として
①被相続人が本来であればご自身で受け取るべきもの(実際は相続人)は、「休業補償金」として、相続財産となります。
②法律上遺族が直接受け取るべき「遺族特別給付金」は、遺族が取得する財産になりますので、相続財産とはなりません。
①②の区別で、ご確認ください。
必要書類と手順について
書類の準備
限定承認の手順について(最終申述期限 令和 年 月 日)
(基本的に、被相続人の死亡日より3か月以内に限定承認申立書を裁判所に提出すれば問題ありません。その後の裁判所の審査期間を含みません。)
裁判所への申立てをするには、まず、次の書類をご準備いただく必要があります。
(依頼者様)
次の書類をご用意ください。(先にご準備ください。)
① 被相続人の戸籍(除籍)証明書1通、住民票(本籍などすべて記載のあるもの))1通をご用意ください。→その他、被相続人の出生まで取得する必要があります。
不足の証明書は、当職が職権で取得させていただきます。(実費のみご負担いただきます。例えば、除籍謄本1通750円)
②相続人全員の戸籍証明書の取得
戸籍証明書1通と住民票(本籍などすべて記載のあるもの))1通
次に、次の書類をご準備ください。
〇遺産のすべての内容
銀行預金 口座番号ごとの金額
→①銀行名、支店名 ②普通、定期の別 ③口座番号 ④残高(金額)
を財産目録として裁判所に提出します。
通帳(コピー)をご用意ください。
次のページをコピーしてください。
通帳コピー(表紙、口座番号が記載された次ページ、「被相続人が亡くなられた前後半年分」を確認できるページ)
通帳など財産の内容は、簡単で結構ですので、財産目録を作成してください。
当職が正式な財産目録を作成します。(当職が家庭裁判所に提出します。)
→その他、遺産がありましたら、資料をご用意ください。
○債務の確定しているものがありましたら、資料をご用意ください。
相続財産管理人(候補者)の決定
限定承認をする法定相続人のうち、お一人を「相続財産管理人」としますので、相続財産管理人(候補者)を決定していただきます。相続財産管理人候補者として、申立書に記載します。
相続財産管理人には、債権者への連絡、精算行為をしていただきます。
その他の限定承認の手順
(当事務所)
限定承認申述書(申立書)の作成、依頼者様に郵送
(依頼者様)
法定相続人全員が限定承認申述書に署名・押印のうえ、当事務所にご返送(郵送)
(当事務所)
限定承認申述書(申立書)を○○家庭裁判所に郵送で提出( 月)
当職の職務は、申立書の作成と裁判所への提出のみです。
依頼者様を代理して裁判所とのやり取りをする権限はありません。これができるのは弁護士だけです。
(家庭裁判所)
家庭裁判所が法定相続人全員に対してお尋ね通知(照会書を郵送)
(依頼者様)
法定相続人全員が、家庭裁判所に回答書を郵送
記載方法については、当職にお尋ねください。
(家庭裁判所)
家庭裁判所が法定相続人に、申述受理通知書と審判書(相続財産管理人が記載)の送付(郵送)
限定承認受理の確定
(依頼者様)
当事務所に、申述受理通知書と審判書(相続財産管理人が記載)のコピーをご送付(郵送)
(当事務所)
官報に公告手続(申し込みから掲載まで約2週間かかります。)
官報発行会社に依頼します。
(依頼者様)
知っている債権者に個別に通知(郵送)していただきます。(書式は当職が作成します。)
(当事務所)(当職の仕事は基本的にこの時点で終了です。)
精算手続き
官報への公告掲載から2か月経過後
(依頼者様)
債権者との精算手続きをしていただきます。
相続財産管理人が債権者に連絡、精算します。(当職に債権者への連絡、精算行為の権限はありません。)
必要であれば、当職が、精算の際の計算書を作成します。
知っている債権者からの「債権の内容を記載した書面」を当職に郵送していただきます。
その他、依頼者様のサポートをいたします。
なお、精算行為の終了について裁判所に報告する必要はありません。
詳しくは、次を参考にしてください。
相続の限定承認の申述
限定承認の基本
相続放棄の申述
第1順位の相続人で相続債務を止める限定承認