相続登記の用語集

  1. 相続登記の用語集
    1. 【イ行】相続登記の用語
      1. 遺言(いごん)
      2. 遺言執行者(いごんしっこうしゃ)
      3. 遺産(いさん)
      4. 遺産分割(いさんぶんかつ)
      5. 意思能力(いしのうりょく)
      6. 遺贈(いぞう)
      7. 委任状(いにんじょう)
    2. 【カ行】相続登記の用語
      1. 戸 籍(こせき)
      2. 固定資産課税台帳(こていしさんかぜいだいちょう)
    3. 【サ行】相続登記の用語
      1. 相続人(そうぞくにん)
      2. 受遺者(じゅいしゃ)
      3. 特別縁故者(とくべつえんこしゃ)
      4. 相続欠格(そうぞくけっかく)
      5. 相続人の廃除(そうぞくにんのはいじょ)
      6. 相続分(そうぞくぶん)
      7. 尊属(そんぞく)
      8. 親権者(しんけんじゃ)
    4. 【タ行】相続登記の用語
      1. 代襲相続(だいしゅうそうぞく)
      2. 代償分割(だいしょうぶんかつ)
      3. 単純承認(たんじゅんしょうにん)
      4. 同時死亡の推定(どうじしぼうのすいてい)
      5. 調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)
    5. 【ナ行】相続登記の用語
      1. 内縁の妻・夫(ないえんのつま・おっと)
      2. 認知(にんち)
    6. 【ハ行】相続登記の用語
      1. 包括遺贈(ほうかついぞう)
      2. 傍系血族(ぼうけいけつぞく)
      3. 法定血族(ほうていけつぞく)
      4. 負担付遺贈(ふたんつきいぞう)
    7. 【マ行】相続登記の用語
      1. 持分(もちぶん)
      2. 身元保証(みもとほしょう)
    8. 【ヤ行】相続登記の用語
      1. 養子(ようし)
    9. 【ラ行】相続登記の用語
      1. 利益相反行為(りえきそうはんこうい)
      2. 利害関係人(りがいかんけいにん)
      3. 離縁(りえん)

相続登記の用語集

【イ行】相続登記の用語

遺言(いごん)

遺言は、一般的には「ゆいごん」と言いいますが、法律用語としては「いごん」と言いいます。
民法が定める遺言の方式にしたがって遺言した場合にだけ、遺言の法律上の効力が認められます。

遺言の方式(これ以外に特別方式があります)。
自筆証書遺言書:基本的には、遺言者が自分で全部書きます(不動産の表示は例外)。
公正証書遺言書:公証役場で作ります。
秘密証書遺言書:公証役場で行いますが、遺言内容は、本人以外は知ることができません。
自筆証書遺言書保管制度による遺言書:基本的には、遺言者が自分で全部書きます(不動産の表示は例外)。

遺言の効力発生時期
遺言は、遺言者の死亡によって効力を生じます。
遺言者の死亡前は、いつでも遺言を撤回できます。
撤回する場合も、遺言の方式にしたがって行います。
遺言は書き直すことができます。
遺言者が遺言で決めることができる主な内容
認知(自分の子供であると認めること)、遺贈、相続分の指定、遺産分割の方法、遺言執行者の指定、遺産分割の禁止、
相続人の廃除(法律上の相続人を遺言者に対する虐待などの理由で相続させないこと)など
上記遺言書は、不動産の相続登記や各種相続手続きで使用します。
公正証書遺言書以外は、封印された遺言書は、家庭裁判所での検認、開封が必要です。

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)

遺言執行者は、遺言内容を実行する人。
遺言者が遺言で指定する場合や、利害関係人の申立てによって家庭裁判所で選任される場合があります。
遺言執行者がいると、相続人であっても遺言の執行を妨害できません。
不動産の相続登記(登記原因が「相続」)では、原則、遺言執行者が単独申請人となります。ただし、遺言書が作成されて日によって単独申請人となれない場合があります。
遺言執行者が選任されていなければ、「遺言で相続させる。」と書かれた相続人は、自分が単独申請人となって相続登記(登記原因が「相続」)を申請できます。
ですが、登記申請の原因が「遺贈」の場合は、自分が遺贈を受ける人は、法定相続人に、あるいは、遺言執行者に協力してもらわなければ登記申請できません(権利者・義務者の共同申請)。ただし、法定相続人が受遺者である場合は、相続人が単独で申請できます。

受遺者が法定相続人以外の人であるとき、法定相続人に対し遺贈による登記申請に協力してもらうことは、なかなかむずかしい場合もあるので、自分が利害関係人であるときは、みずから家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てます。この場合、遺言執行者を誰にするかは、、自分で選んで申し立てできます。

遺産(いさん)

遺産は、被相続人が残した財産。
被相続人の積極財産だけでなく、消極財産、すなわち、被相続人の債務も含みます。
被相続人の一身専属権は含みません。
一身専属権の例として、親権など身分上の権利、慰謝料請求権など

遺産分割(いさんぶんかつ)

法定相続分とは異なる相続分や相続方法を法定相続人全員の協議(話し合い)で決めることができます。これを遺産分割と言っています。
例えば、法定相続人が3人いる場合、そのうちの一人が全部相続する場合も遺産分割です。
(実質上2人は放棄であったり、代償分割であったりします。)

遺産分割の協議(話し合い)が相続人の間で決まらない場合、
家庭裁判所に遺産分割の調停を申立てることができます。

遺産分割の効力
法定相続人全員(相続放棄した人を除く)の協議によって遺産の分割が確定すると、相続開始のときまでに、遡って(さかのぼって)効力を生じます。
例えば、法定相続人が3人いて、そのうちの1人Aさんが遺産分割によって相続取得すると、相続開始のときにAさんが全部所有権を取得していたことになります。
ですが、遺産分割をするまでの間に権利を取得した人Bさんがいる場合、Bさんに対して、Aさんは所有権全部を主張することができない場合があります(民法909条但書)。
Aさん、Bさんのどちらか先に登記をしたほうが自分の権利を主張することができます。
そういう意味でも相続登記は早めにしたほうがよいでしょう。

意思能力(いしのうりょく)

法律行為をするときには、この意思能力が必要となります。
民法 第二節 意思能力
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

契約を例にすれば、老人が認知症で、自分で何を言っているのか理解できず、契約の内容も理解できないにもかかわらず、悪質リフォーム業者に契約をさせられる、
ということが社会問題になっています。

遺贈(いぞう)

遺言で、遺産の全部または一部を譲渡することができます。
遺言でしなければならない点で、譲渡される相手との契約ではありません。
これが契約の場合は、死因贈与がありますが、贈与する人と贈与される人との死因贈与契約です。贈与しようとする人が亡くなったときに、贈与契約の効力が発生します。この登記(仮登記)もできます。
例えば、条件付所有権移転仮登記、
原因 令和○○年○○月○○日贈与(条件 ○○の死亡)。

遺贈は、法定相続人のほか、誰に対してもできます。
例えば、不動産の遺贈登記の場合、実際、これを行うときは、原則(例外は、受遺者が法定相続人)、共同申請で行い、法定相続人が義務履行者となります。遺言執行者がいるときは、遺言執行者が義務履行者となります。

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。
包括遺贈は、遺産の全部またはその一部のある割合が対象となります。
したがって、包括遺贈の場合は、法定相続人と同じ立場、法律上同じ地位にあって、遺産の分割について協議したり、相続放棄、限定承認ができます。
特定遺贈は、この土地、このマンションというように、特定された遺産が対象となります。

委任状(いにんじょう)

委任状は、例えば、相続登記の場合、司法書士に相続登記申請を依頼するときは、相続人が司法書士に対して相続登記申請を委任することを表す書面です。
また、例えば、相続人3名で登記申請するとき、相続人のうちの1名に登記申請を委任することもできます。

このように、委任者である相続人と、代理人となる司法書士または相続人との委任契約に基づいて作成された書面のことを委任状と言います。

【カ行】相続登記の用語

戸 籍(こせき)

戸籍は、親族法上の身分関係を記録したもの。
日本の国籍を持っている人について作成されます。
日本人と結婚した外国人は、日本の国籍を取得するまでは戸籍に記載されません。
外国人は、日本に帰化して日本の国籍を取得すると、戸籍に記載されます。

したがって、日本人(男性)が外国人(女性)と結婚した場合、
日本人の戸籍に関する事項、出生、結婚の項目には、婚姻の事実が記載されても、
同じ戸籍に妻として、結婚した相手は記載されません。
夫婦、親子兄弟姉妹の関係を記録したもの。
これを取得するときは、戸籍謄本(戸籍抄本)を取得します。
現在、日本の戸籍制度は、夫婦を戸籍のひとつの単位で構成しています。
結婚すると親の戸籍から分離して、新たに結婚した夫婦の戸籍が作られます。
生まれた子供は、この夫婦の戸籍に記録されます。
本籍を移すことも自由にできます。
本籍を移す(転籍)あるいは、この戸籍に記録された人全員が亡くなった場合、
以前あった戸籍は除籍扱いになります。
これを取得するときは、除籍謄本を取得します。
相続登記手続で戸籍を集めるときは、
亡くなった人、被相続人が生まれた時の戸籍、次に、結婚した時の戸籍、
転籍した時の戸籍など、順番につながるように取得します。
住所が変わった場合、本籍も一緒に移すことができます。
しかし、住所が変わるたびに本籍も移すと、相続登記手続きのときには、
これをすべて取得する必要があります。
特に、本籍を移す必要がないときは、そのままにしたほうがよいでしょう。
戸籍除籍謄本は、広域交付の方法で取得することができます。

固定資産課税台帳(こていしさんかぜいだいちょう)

固定資産課税台帳は、土地、建物について固定資産の状況や価格などを記載した台帳。
土地、建物所有者に対して、固定資産税を課税するために、
市区町村役場に備えつけられます。
東京23区の場合は都税事務所に備えつけられています。
通常、評価証明書言います。
土地、建物が登記されると、その内容は市区町村役場に通知されます。
所有権の登記名義人が変更した場合、新築により新たに建物が登記されたときなど、
相続登記が完了した場合も、市役所などに通知されます。
新築して登記しない場合であっても、
固定資産課税台帳には記載され、しっかり課税されます。
相続登記など所有権移転登記には、登録免許税を計算するための課税価格の根拠として、
固定資産課税台帳に記載された価格を使用します。
例えば、所有権移転登記を令和7年4月1日から令和8年3月31日までに申請するとき、
使用できる評価証明書は、令和7年度の価格が記載されたもので、
令和7年4月1日から令和8年3月31日までに発行されたものです。

【サ行】相続登記の用語

相続人(そうぞくにん)

遺産を受け継ぐことができる人の中で、法定相続人がいます。
次の人たちが法定相続人です。民法に規定されています。
配偶者
配偶者は、婚姻関係、結婚している夫婦の一方のことで、
夫に対して妻、妻に対して夫のことをいいます。
たとえ、別居中でも離婚しないかぎり相続権があります。
反対に、夫婦同然に一緒に暮らしていても、
正式な結婚の届け出をしていない人(内縁関係)、
この人の場合は、法律上の配偶者とは認められないので、相続権がありません。
内縁関係の場合、遺言書を作成しておくのがよいでしょう。

認められるとすれば、法定相続人が誰もいない場合、
特別縁故者であれば可能性はあります。

実子
父母が離婚している場合であっても、双方の相続人になれます。
養子
血のつながりがなくても、
法律上、実子と同じ扱いになる届け出をしたときの養子は、
実子と同じ割合の法定相続分を持つ相続人になります。
普通の養子は、養子縁組後であっても、
養子の実の親の相続について、相続権があります。離縁しない限り、相続権があります。
特別養子の場合、6歳未満の子を養子とするときに、
家庭裁判所で認められた特別養子は、
実の親の相続については相続権がありません。
これは、特別養子縁組のときに、実の親との親族関係を終了させて、
縁組することが要件になっているからです。
直系尊属
父母、祖父母などを指します。
直系尊属が相続人になれるのは、子も孫もいないときです。

直系卑属
子や孫などを指します。
親より先に子が亡くなっているときは、孫が相続人になります(代襲相続)
このとき、子の配偶者には相続権がありません。
兄弟姉妹
子や孫、祖父母などがいない場合、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になります。
法定相続人ではありませんが、次の人も遺産を受け継ぐことができる場合があります。

受遺者(じゅいしゃ)

遺言によって財産を受け取ることができる人。
法律上有効な遺言書に相続財産の受取人として書かれた人。

特別縁故者(とくべつえんこしゃ)

法定相続人による相続、遺言による財産を引継ぐ人がいないとき(相続人不存在)、家庭裁判所に請求して遺産の引継ぎが認められた人。

相続欠格(そうぞくけっかく)

相続権を有する人が、民法に規定された行為をした場合、相続権を失うことになります。
民法に規定されている主な相続欠格行為は、次のとおりです。
-故意に、被相続人、相続についての先順位者や同順位者を殺害したため、
または、殺害しようとしたために、刑に処せられた者
-被相続人が、相続に関する遺言をしたり、遺言を取り消したり、
遺言を変更しようとすることを、詐欺や強迫によって妨げた者
-被相続人に関する遺言を、詐欺や強迫によって、これをさせたり、
取り消させたり、変更させた者
-相続に関する被相続人の遺言書を、偽造、変造、破棄、隠匿した者

これらの行為に該当する者は、法律上当然、相続する権利を失います。
ただし、この者に、被相続人直系の子がいるときは、
この子が相続人になります(代襲相続)。

相続人の廃除(そうぞくにんのはいじょ)

遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して、
虐待、重大な侮辱、著しい非行があったとき、
被相続人は、その行為をした推定相続人の廃除を
家庭裁判所に請求することができます。
遺言書に記載することによっても、
遺留分を有する推定相続人の廃除をすることができます。
この場合、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をします。
廃除が確定すると、廃除された人は相続権を失います。
ただし、この人に、被相続人直系の子がいるときは、
この子が相続人になります(代襲相続)。

相続分(そうぞくぶん)

相続分とは、法定相続分のことをいいます。
法定相続分とは、法律上、民法で決められている法定相続人
(法律上相続する権利のある人)が相続できる権利の割合をいいます。
-ケース1 相続人が配偶者と子の場合
遺産、相続財産全体に対して、配偶者が2分の1、子が2分の1を相続します。
子が2人以上いる場合は、子の相続分2分の1をさらに均等に分けます。
子が4人いれば、1/2×1/4=1/8が、子1人当たりの相続分になります。
&br;この相続分は、子が嫡出子と非嫡出子では異なります。
嫡出子は、結婚している(婚姻の届けをしている)人(男女)から生まれた子です。
非嫡出子は、嫡出子でない、という意味で、結婚していない人から生まれた子です。
例えば、父親の結婚によって生まれた子は嫡出子です。
父親の結婚によって生まれた子ではない子は、非嫡出子です。
このとき、非嫡出子は、父親から認知されていることが必要です。
認知は、父親が子を自分の子として認めて役所に届出たこと、
または裁判で認知が認められたこと、遺言で認知したこと、です。
実際、父親の子であっても認知されていない子には相続権がありません。
ただし、母親の子は、母親の子であると戸籍上記載されていれば認知の問題ではなく、
当然、母親の相続について相続権があります。
相続分については、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1です。(半分)
子が相続財産全体の2分の1の相続分がある場合で、
2人の子のうち、1人が非嫡出子であるときは、
非嫡出子と嫡出子の相続分の割合は、1:2なので、
非嫡出子の相続分は、全体の1/2×(1/1+2)=1/6になります。
嫡出子の相続分は、1/2×(2×1+2)=2/6になります。

-ケース2 被相続人に子がいない場合
法定相続人は、配偶者と直系尊属(祖父母)です。
このとき、配偶者には、相続財産全体の3分の2、
祖父母には3分の1の相続分があります。
配偶者がいないときは、祖父母がすべて相続します。

-ケース3 被相続人に子も直系尊属もいない場合
法定相続人は、配偶者と被相続人の兄弟姉妹です。
このとき、配偶者には、相続財産全体の4分の3、
兄弟姉妹には4分の1の相続分があります。
配偶者がいないときは、兄弟姉妹がすべて相続します。
兄弟姉妹の相続分は、子の嫡出子、非嫡出子の場合と同様に、
兄弟姉妹間で相続分が異なる場合があります。
兄弟姉妹の父母が同じ場合と、一方だけが同じ場合で相続分が異なります。
2人の兄弟姉妹だけが相続人になるケースでは、
父母の双方が同じ場合は、それぞれ2分の1を相続します。
例えば、被相続人の兄弟姉妹ではあるが、
被相続人の父親母親が同じ兄弟姉妹Aさんと
被相続人の父親は同じであるが母親が違うBさんの場合、
Aさんの相続分は3分の2で、Bさんの相続分は3分の1になります。

尊属(そんぞく)

ある人を中心にして、血族の中で、上の世代を尊属といい、
下の世代を卑属といいます。
具体的には、父母、祖父母などを尊属、この場合、直系尊属といいます。
子、孫などを卑属、この場合、直系卑属といいます。

親権者(しんけんじゃ)

成年に達しない子(18歳未満)、未成年者は、父母の親権に服します。
父母が未成年者に対してする監護、教育、財産管理、
法律行為の代理権などを父母の親権といいます。
子が養子であるときは、養子縁組による養親が親権を行使します。
父母の婚姻中は、父母が共同して親権を行使するのが原則ですが、
父母の一方が親権を行使できないときは、他の一方が親権を行使します。
親権を行使する父または母とその子との利益が相反する行為をするときは、
その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求します。

数人の子に対して親権を行使する場合、
例えば、2人の子との間で利益が相反する行為をするときは、
その1人について特別代理人を選任する必要があります。
遺産分割協議の場合は、親も相続人となるときは、未成年の子、それぞれに特別代理人を選任します。
遺産分割における親子間での協議、
親の債務を担保するために子の不動産に抵当権を設定する行為などの場合に、
特別代理人が子を代理します。

【タ行】相続登記の用語

代襲相続(だいしゅうそうぞく)

推定相続人(現状のままで相続が開始された場合に相続人になることができる人)、
例えば、被相続人の子または兄弟姉妹が、被相続人の死亡以前に死亡していた場合、
相続人の廃除、相続欠格によって相続権を失ったときは、
被相続人の子のこの子(孫)または兄弟姉妹の子が、代わって相続します。
このことを代襲相続といいます。
相続放棄した人は、相続開始前に相続権を失ったとはいえないので、
代襲相続は認められません。

この被相続人の子の「子」(孫)または兄弟姉妹の「子」(甥・姪)のことを
代襲者(代襲相続人)といいます。
被相続人の子または兄弟姉妹のことを被代襲者といいます。

代襲者(代襲相続人)についても代襲原因、すなわち、被相続人の子の「子」(孫)、
または兄弟姉妹の「子」がすでに死亡していた場合、
この場合のことを再代襲といいます。
この再代襲の場合に、相続権が認められるのは、被相続人の子の子の子、
被相続人のひ孫です。

兄弟姉妹の子の子、甥・姪の子には相続権は認められません。
詳しくは、

代償分割(だいしょうぶんかつ)

代償分割とは、相続が開始したときに行う法定相続人間での遺産分割協議において、
例えば、法定相続人1人が、不動産全部を相続する代わりに、
他の法定相続人にその代償金として金銭、その他の物を与えることをいいます。

単純承認(たんじゅんしょうにん)

単純証人とは、相続人が、被相続人の権利義務を無条件に承継することをいいます。
被相続人の債務も当然承継します。

積極的な意思表示は必要ありません。
相続人がする遺産の処分行為が相続を承認したものとみなされる場合があります。
民法が規定する法定単純承認は次の3つです。
次の場合は、単純承認したものとみなされます。
相続人が、相続財産の全部または一部を処分したとき
  ただし、例外あり
相続人が家庭裁判所に対して限定承認または相続放棄をしないで
  3か月経過したとき
の限定承認・相続放棄をした後であっても、相続財産を隠匿したり、
  消費したり、悪意で財産目録に記載しなかったとき
  ただし、例外あり

同時死亡の推定(どうじしぼうのすいてい)

相続人が相続する権利があるのは、被相続人の死亡時に、
相続開始時に生存していることが必要です。

相続人が被相続人と同時に死亡した場合の問題が、同時死亡の推定です。
民法32条の2の次の規定です。

死亡した人が数人いる場合、そのうちの1人が、他の人の死亡後に、
なお生存していることが明らかでないときは、
死亡した数人は、同時に死亡したものと推定されます。

この同時死亡の推定によって、この数人の間に、相続関係は生じません。

夫婦が同時死亡したとき、親子が同時死亡したとき、相互に相続することはありません。
ただし、親子が同時に死亡したと推定される場合、孫は代襲相続により相続権があります。
遺贈は効力を生じません。

調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)

親子関係、離婚、離縁、遺産分割や寄与分を定める場合など、
家庭についての民事紛争は、家庭裁判所で通常、行われていますが、
家庭についての民事紛争は、訴訟を提起する前に、
必ず家庭裁判所に調停の申立てをしなければならない、
とするのが調停前置主義です。

調停が成立した場合は、確定判決または確定した審判と同一の効力を生じます。

【ナ行】相続登記の用語

内縁の妻・夫(ないえんのつま・おっと)

配偶者とは、法律上の婚姻関係にある者、婚姻の届出によって夫婦となった者をいいます。
したがって、婚姻の届出をしていない者同士は、法律上の配偶者ではないので、
お互いに法律上の保護ないしは適用されない場合があります。

法律上の婚姻でなくとも夫婦同然に生活している者同士を内縁関係といいます。一般に言われる内縁の妻、夫といいます。

この内縁関係にある者は、お互いに相続関係になりません。

内縁の配偶者に財産を残そうする場合は、
生前贈与、遺言による遺贈が考えられます。

認知(にんち)

婚姻関係でないときに生まれた子(非嫡出子)について、
父がその子を自分の子として認め届け出ることによって
法律上の親子関係が生ずること。(任意認知)

また、子が父に対して裁判によって親子関係が生ずること。(強制認知)

認知された子は、父の推定相続人になります。

【ハ行】相続登記の用語

包括遺贈(ほうかついぞう)

包括遺贈とは、相続財産の全部または、例えば3分の1というように、
相続財産の一部をその割合に応じて遺言によって贈与すること。

相続財産の積極的・消極的財産の全部が対象になります。
相続財産を特定しない方法です。

包括遺贈は、他の相続人と同じ法律的立場、地位に立ち、
相続の承認、相続放棄、遺産分割その他民法の規定が適用されます。
他の相続人と同一の権利義務を承継することになります。

これに対し、特定遺贈というものがあります。
これは、例えば、自宅など不動産、何々銀行の預金といったように、
特定の具体的な相続財産について遺言により贈与されるものです。

傍系血族(ぼうけいけつぞく)

自分の子、孫、親、祖父母というように、ある人を中心にして、
直線的に上下につながっている血族を直系血族といいます。

これに対し、自分の兄弟姉妹、叔父叔母、従兄弟というように、
自分の親を中心にして横方向につながる血族のことを傍系血族といいます。
3親等内の傍系血族間の結婚が禁止される民法の規定がその一例です。

法定血族(ほうていけつぞく)

血族とは、血筋のつながり、血縁ともいいます。

法定血族は、法律(民法)の規定による血族関係のこと。
法律による場合は、血族関係があると擬制されます。
養子縁組による養親・その血族と養子の間だけに認められています。

これに対して、自然血族といわれるものがあります。
これは、通常の血族関係です。
自然血族は、自然の事実、すなわち、出生という事実による血族関係です。

法律上夫婦ではない男女から生まれた子は、
父が認知することによって法律上の血族関係が生じます。

負担付遺贈(ふたんつきいぞう)

受遺者は、遺贈を受ける人のことをいいます。
遺贈には、相続財産を与える代わりに、受遺者に、一定の給付や
負担をすることを義務として課すこともできます。
これが負担付遺贈です。
その他、遺贈に条件、期限を付けることもできます。

【マ行】相続登記の用語

持分(もちぶん)

共有、すなわち、共同所有の場合、
共有者がその共有物について有している権利のことを持分といいます。
この持分は、ある物のうちの、どこからどこ、この部分、
といった具体的なものでなく、共有物の数量的な割合をいいます。

各共有者は、共有物について、持分に応じた使用ができます。
共有物の管理については、各共有者が有する持分の過半数で決定します。
管理の費用は、持分に応じて負担します。

身元保証(みもとほしょう)

雇用契約の場合に、会社が社員の行為によって損害を受けた場合に備えて、
第三者にその損害を担保させる契約のことを身元保証契約といいます。

まだ損害が発生していないうちに、相続が開始された場合は、身元保証契約は相続されません。
通常の保証契約、すなわち、金銭消費貸借に関する保証契約の場合は、相続されます。 公正証書で作成

【ヤ行】相続登記の用語

養子(ようし)

養子とは、養子縁組の届出をすることによって、養親と親子の関係になること、
嫡出子の身分を取得した人のこと。

実子と同じ法律上の立場に立ちます。

相続について、養子は、養親の相続人となることもでき、
実の親の相続人となりこともできます。

これに対し、特別養子は、実の親との関係は、法律上、完全に切れるので、
相続については、実の親の相続人になることができません。

特別養子縁組は、養親が25歳以上、養子が6歳未満であることが必要です。
特別養子縁組は、家庭裁判所に特別養子縁組の申立てをし、その審判によって成立します。

なお、養子の相続は?を参照してください。

【ラ行】相続登記の用語

利益相反行為(りえきそうはんこうい)

利益相反行為とは、法律行為をする場合に、
当事者の間で、法律上の利益が相反するときの行為をいいます。

この場合、原則は、一方が他方を代理したり、双方を代理することができません。

例えば、相続手続きにおいて、親権者も相続人であるときは、遺産分割協議をするときに、
子を代理することができません。
その子のために、家庭裁判所に特別代理人選任を申し立て、
その特別代理人が子に代わって、親権者と遺産分割協議をします。

利害関係人(りがいかんけいにん)

利害関係人とは、法律行為の直接の当事者ではないけれども、
ある法律関係によって法律上の利益を受けるか不利益を受ける人のこと。

例えば、相続手続きにおいて、
相続人の中に行方不明の人がいる場合の不在者財産管理人選任の申し立て、
失踪宣告の申し立てをするときの利害関係人は、
相続人だけではなく、利害関係人として、親族や債権者です。

離縁(りえん)

離縁とは、養子縁組によって成立した養親子関係を解消すること。
養子であった者は、離縁によって養親であった者の相続権を失うことになります。

離縁は、届出による方法、家庭裁判所に申し立てる方法があります。
特別養子の離縁は、養子の利益のため特に必要があるときに限って、
家庭裁判所の審判でのみ認められます。

タイトルとURLをコピーしました