「相続人不存在による相続財産」の登記(所有権登記名義人氏名変更)の方法
「相続人不存在による相続財産」とは、
被相続人に相続人がいないとき、「相続人不存在」として被相続人の財産が「相続財産法人」となります。
民法(相続財産法人の成立)
民法 | e-Gov法令検索
第九百五十一条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
相続人がいないとき(相続人のあることが明らかでないとき)とは、相続人不存在の事例を参考にしてください。
通常、利害関係人が相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てます。
申立方法は、相続財産管理人(相続人不存在)を参考にしてください。
相続財産管理人を家庭裁判所が選任する
利害関係人の申立てがありますと、家庭裁判所が(裁判所に登録されている)弁護士や司法書士を審判により相続財産管理人に選任します。
相続財産管理人選任の審判書(見本)は、次のとおりです。
「相続人不存在による相続財産」の登記の方法
被相続人所有の不動産がある場合、「相続人不存在による相続財産」の登記をします。
この申請は、選任された相続財産管理人が登記申請します。
不動産が被相続人の単独所有の場合の登記の方法
不動産が被相続人の単独所有の場合の登記の方法は、次のとおりです。
登記申請書(一部省略) 登記の目的 所有権登記名義人氏名変更 原 因 令和〇年〇月〇日相続人不存在 変更後の事項 登記名義人 亡○○相続財産 申 請 人 亡○○相続財産 (住所)○○ ○○法律事務所 亡○○相続財産管理人 弁護士 ○○ 添付情報 登記原因証明情報 代理権限証明情報
完了後の登記記録情報
不動産が被相続人の共有持分の場合の登記の方法
この例は、被相続人の共有持分を2回に分けて取得した場合で、住所変更がある場合と、ない場合です。登記2件で申請します。
登記申請書(一部省略)(1件目:1/2) 登記の目的 所有権登記名義人住所、氏名変更 原 因 令和〇年〇月〇日住所移転 令和〇年〇月〇日相続人不存在 変更後の事項 共有者○○の登記名義人 (住所)○○ 亡○○相続財産 申 請 人 亡○○相続財産 (住所)○○ ○○法律事務所 亡○○相続財産管理人 弁護士 ○○ 添付情報 登記原因証明情報 代理権限証明情報
登記申請書(一部省略)(2件目:2/2) 登記の目的 所有権登記名義人氏名変更 原 因 令和〇年〇月〇日相続人不存在 変更後の事項 共有者○○の登記名義人 亡○○相続財産 申 請 人 亡○○相続財産 (住所)○○ ○○法律事務所 亡○○相続財産管理人 弁護士 ○○ 添付情報 登記原因証明情報(前件添付) 代理権限証明情報(前件添付)
完了後の登記記録情報
「相続人不存在による相続財産」の住所氏名変更登記の「登記原因証明情報」
この場合の「登記原因証明情報」は、次のとおりです。
氏名変更(登記名義人)のみの場合
(1)相続財産管理人選任審判書
(2)登記原因証明情報(相続人不存在)
住所氏名変更(登記名義人)の場合
(1)被相続人の住民票除票(戸籍の附票)
(2)相続財産管理人選任審判書
(3)登記原因証明情報(相続人不存在)
登記原因証明情報(相続人不存在)を作成
登記申請書の「原因」を「〇年〇月〇日相続人不存在」として記載することから、登記原因証明情報を作成し、相続財産管理人選任審判書と併せて法務局に提出します。
これは、審判書に「民法952条により」とのみ記載されてはいますが、「〇年〇月〇日相続人不存在」とは記載されていないことから、「原因」を明確にする意味で、登記原因証明情報を作成します。
登記原因証明情報の見本は、次のとおりです。
「相続人不存在による相続財産」の住所氏名変更登記をした後にする売買による所有権移転登記
不動産を売却する場合、家庭裁判所の売却許可を得て、売買による所有権移転登記をするには、以上の「相続人不存在による相続財産」の住所氏名変更登記を、先に完了させるか、売買の登記と同時にする必要があります。
「相続人不存在による相続財産」の売却(売買)による所有権移転登記の方法を参考にしてください。
(以上、令和4年横浜地方法務局西湘二宮支局で登記完了)
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