非嫡出子の法定相続分

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非嫡出子の法定相続分

非嫡出子とは

「子」には、嫡出子と非嫡出子(嫡出でない子、父に認知されていない子と父に認知された子)がいます。

嫡出子(ちゃくしゅつし):婚姻関係にある(法律上結婚している)男女の間に生まれた子です。
非嫡出子(ひちゃくしゅつし):嫡出でない子、婚姻関係にない(法律上結婚していない)男女の間で生まれた子で、父に認知されていない子と父に認知された子の両方をいいます。

「婚姻関係」は「法律上結婚している」ことで、いわゆる「内縁」は法律上の「婚姻関係」ではありません。したがって、「内縁」関係で生まれた子は非嫡出子(父に認知されていない子と父に認知された子)です。

嫡出子は、婚姻関係にある父母が戸籍上明らかですので、当然、父の子であり、母の子です。

非嫡出子は、戸籍上、母の戸籍に記載されるだけですので、母の子であること(母との親子関係)は明らかですが、法律上の婚姻関係がないことから、父の子であること(父との親子関係)が不明です。したがって、非嫡出子と父とは法律上の親子関係がないのが原則です。子が父から認知されれば法律上の親子関係(父から認知された非嫡出子)となります。

そこで、「認知」という方法で、非嫡出子(父に認知されていない子)と父に法律上の親子関係を生じさせることができます。「認知」は、父が非嫡出子(父に認知されていない子)の子を自分の子であると認めることです。
「認知」は、通常、役所に届け出る方法と「遺言」でする方法があります。

民法(認知)
第七百七十九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

父親が非嫡出子を認知すると、出生の時にさかのぼって、「法律上の親子」となります。

民法(認知の効力)
第七百八十四条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

非嫡出子の相続権

母の相続権父の相続権
嫡出子〇(あり)〇(あり)
非嫡出子(父からの認知なし)〇(あり)×(なし)
非嫡出子(父からの認知あり)〇(あり)〇(あり)

では、相続が開始した場合、被相続人(亡くなった人)の非嫡出子が相続人となることができるでしょうか。

被相続人の「法律上の子」は、基本的に相続人となることができます。
「法律上の子」は、被相続人との間で「法律上の親子関係」があることが必要です。

被相続人が母で、その子は当然、相続人となることができます。母と子は、戸籍上に親子関係が記載されていれば、その子は基本的に相続人となります。母と子には法律上の親子関係があるからです。

被相続人が父の場合、戸籍上、父母が結婚によって生まれた子である場合は嫡出子で、あるいは、結婚前に生まれた子であっても結婚によって嫡出子となりますので、当然、相続人となります。

被相続人の父が子を「認知」することによって、父と子に「法律上の親子関係」が生じますので、認知された子には相続権があることになります。認知されていない子には、母の相続権はあっても、父の相続権がありません。

父に認知された子(非嫡出子)には相続権がありますので、ほかの相続人との間で遺産についての話し合い(遺産分割協議)をすることになります。
もし、父に認知された子(非嫡出子)を除いて(知らなかったという事情など)、ほかの相続人で遺産分割協議をして、誰がどの遺産を取得するかを決定したとしても、その決定は無効となります。
この理由は、遺産分割協議は相続人全員で協議することになっているからです。

もっとも、現在では、父が子を認知したかどうかは、父の戸籍の記載を確認すれば判明します。ただし、戦前の戸籍の記載では、父の戸籍には「認知」の記載がされないことになっていましたので、父が認知した子を見落とすことは、ままあります。戦前の戸籍には、子の戸籍に、父に認知されたと記載されただけだったからです。

また、遺言によって認知がなされる場合は、注意が必要です。
例えばレアなケース(実際にあった事例)ですが、父死亡前に、父の法定相続人が子一人Aだけと思っていたところ、父が遺言書で、遺産すべてを子Aに相続させる、とした場合です。

通常、法定相続人が子一人であるので、わざわざ「遺産すべてを子Aに相続させる」という遺言をする必要がないにもかかわらず、遺言書を作成していたという場合です。
法定相続人が一人の場合、遺産全部を当然取得できるからです。

このような場合、別の遺言で、子Bを「認知する」という内容の遺言書を残していた場合です。この場合、遺言書で「認知」された子Bは、役所に認知届をすることによって父の戸籍に記載され、父と法律上の親子関係が生じることになります。
このことにより、子Bは父の相続人として子Aに対して相続権(相続分)を主張して、遺産の一部を取得することができることになります。

非嫡出子の法定相続分

現在、被相続人が父の場合、嫡出子(父母が婚姻関係にある子)も非嫡出子(父母が婚姻関係になく父に認知された子)の法定相続分は同じです。
民法改正により、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分と同等(同じ)となりました。

非嫡出子の法定相続分についての参考

平成21年9月30日付最高裁判決では、
(旧)民法第900条第4項但書にある「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし」の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反しない、として民法のこの規定を合憲としました。
これ以前の最高裁判決においても合憲とされていました。
ただ、最高裁判事の中にも、違憲、すなわち、この規定は憲法違反とする人もいました。

非嫡出子とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子であって、父親から認知された子です。
認知とは、父が自分の子であると認め、通常は、市区町村役場に届け出ることによって効力が生じます。
単に、婚姻関係にない男女の間に生まれた子には、実際に父親といわれる人の子であっても、そもそも父親といわれる人の遺産について相続権がありません。
相続権があるためには、父親から認知される必要があります。

嫡出子は、(通常)婚姻関係にある男女の間に生まれた子です。
父母が、離婚した場合であっても、嫡出子であることに変わりありません。
これは、父母の離婚に際し、親権者を母とすることによって、子が父の戸籍から母の戸籍に移っても、嫡出子であることに変わりありません。
嫡出子は、(通常)父親の遺産について相続権があります。

民法改正前は、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分の2分の1です。
この意味は、法定相続人が二人いて、そのうちの一人が非嫡出子の場合、嫡出子と非嫡出子の法定相続分の割合は、2:1となります。
この2:1のままでは計算できないので、全体を1として、これを分数に置き換えます。
すると、嫡出子は2/3、非嫡出子1/3となり、合計で3/3=1となります。
したがって、法定相続人が二人いて、そのうちの一人が非嫡出子の場合、嫡出子は2/3、非嫡出子1/3ということになっていました。

戸籍上、非嫡出子は、母の戸籍に記載されます。
父が認知しますと(通常、市区町村役場に届け出る)、父の戸籍に、いついつ、どこどこ、だれだれ(母)の子のだれだれ(子)を認知した、と記載されます。
嫡出子のように、父の名と同じ列には記載されません。
この記載は、子の戸籍にも記載されます。

認知(相続権を得るため)には、次の方法があります。
1 父親が、市区町村役場に届け出る
2 父親が、法律上有効な遺言で、認知の意思表示をする
3 子が父に対して認知の訴訟をする

法務省民事局通達:2013.12.11(参考)

法務省民事局通達:2013.12.11で、
民法の一部を改正する法律(新民法)が、平成25年12月11日成立、同日施行に伴い、次のとおり取り扱うこととされました。

1 旧民法第900条第4号但し書きの規定は、削除。
  この結果、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等(同じ)とする。

2 経過措置として、最高裁決定のあった日の翌日(平成25年9月5日)以後の相続開始について適  用する。

3 不動産登記事務の取り扱い
 平成25年9月5日以後相続開始の相続を原因とする登記について、新民法を適用して処理する。
 平成25年9月4日以前相続開始の相続を原因とする登記について
  遺産分割の審判その他の裁判、遺産分割協議その他の合意などにより「確定的なものとなった法律関係」に影響を及ぼさない。(ただし、下記)
   平成13年7月1日以後に開始した相続の登記を平成25年12月11日以降に申請する場合、
  法定相続分での登記は、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等(同じ)として処理する。
   平成13年7月1日以後に開始した相続の登記を平成25年12月11日以降に申請する場合、
  遺言や遺産分割等に基づいて登記する場合は、遺言や遺産分割等の内容に従って処理する。
   平成13年7月1日以後に開始した相続の登記を平成25年12月11日以降に申請する場合、
  法定相続分ですでに完了している登記を「更正する登記」の申請は、
   遺産分割の審判その他の裁判、遺産分割協議その他の合意などにより「確定的なものとなった法律関係」に基づくものであるかどうかを判断して処理する。

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