兄弟姉妹が相続人となる場合の法定相続分の全血半血とは

兄弟姉妹が相続人となる場合の法定相続分の全血半血とは

被相続人が(例えば)兄で、法定相続人が弟姉妹の場合で、全血の姉弟と半血の妹の相続人がいる場合の法定相続分は?

【相続相談事例】
被相続人の兄が、配偶者も子もなく死亡しました。父母も死亡しており、法定相続人は、兄の姉弟妹です。妹は、姉弟と母が異なり、また、妹は兄の死亡前に死亡しており、妹には、子が2名(甥姪)がいます。
この場合、相続人の姉弟妹(甥姪)の法定相続分を教えてください。
また、被相続人の預金残高が3,000万円ですが、これを法定相続分で配分する場合の各相続人が相続する金額を教えてください。

被相続人が(例えば)兄で、法定相続人が姉弟妹の法定相続分

民法900条第4号
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

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「但し書き」の規定は、法定相続人が「子」の場合の相続分のことを言っているのではなく法定相続人が「兄弟姉妹」の場合の相続分のことを言っています。
すなわち、被相続人が(例えば)兄で、兄の姉弟妹が法定相続人となる場合です。

参考:被相続人が(例えば)父で、子が法定相続人の場合

母が離婚した子A(嫡出子)と父に認知された子D(非嫡出子)は、父の子BとCで母が異なりますが、父を同じくする「子」であるので、各自の法定相続分は、「相等しいものとする。」により同じとなります。均等です。
すなわち、子ABCDの法定相続分は、1:1:1:1で、1+1+1+1=4で、各1/4、法定相続分が各4分の1となります。

父母が同じ兄弟姉妹の場合のことを全血の兄弟姉妹と言い、父母が異なる場合に半血の兄弟姉妹と言います。次に、全血と半血の兄弟姉妹について、具体的に説明します。

兄弟姉妹の父母が同じ場合(全血)

事例で、兄弟姉妹の(亡)母が同じであれば、兄弟姉妹の法定相続分は、「相等しいものとする。」ので、同じです。
すなわち、姉弟妹の法定相続分は、1:1:1で、1+1+1=3で、各1/3、法定相続分が各3分の1となります。

兄弟姉妹の父母が異なる場合(全血・半血)

事例の場合、母がAとBで異なりますので、姉弟妹の法定相続分は、2:2:1で、2+2+1=5で、姉が2/5(5分の2)、弟が2/5(5分の2)、(亡)妹が1/5(5分の1)となります。

(亡)妹の法定相続分は、1/5(5分の1)であるので、この相続分を代襲相続人の甥姪が取得することになり、1/5×1/2=1/10で、甥姪は、各10分の1を取得します。

全血半血の兄弟姉妹の法定相続分に相当する金額の計算方法

被相続人の預金残高が3,000万円の場合に、姉弟甥姪が受け取ることができる法定相続分に相当する金額
前述の説明から、姉弟甥姪の法定相続分は、
弟:5分の2
姉:5分の2
甥:10分の1
姪:10分の1

姉弟甥姪が受け取ることができる法定相続分に相当する金額は、
弟:3,000万円×2/5=1,200万円
姉:3,000万円×2/5=1,200万円
(亡妹の法定相続分に相当する金額:3,000万円×1/5=600万円)
甥:3,000万円×1/10=300万円
姪:3,000万円×1/10=300万円
(合計:3,000万円)

参考:兄弟姉妹が全血の場合の法定相続分と受け取れることができる金額

姉弟甥姪の法定相続分は、
弟:3分の1
姉:3分の1
甥:6分の1(1/3×1/2)
姪:6分の1(1/3×1/2)

姉弟甥姪が受け取ることができる法定相続分に相当する金額は、
弟:3,000万円×1/3=1,000万円
姉:3,000万円×1/3=1,000万円
(亡妹の法定相続分に相当する金額:3,000万円×1/3=1,000万円)
甥:3,000万円×1/6=500万円
姪:3,000万円×1/6=500万円
(合計:3,000万円)

上記の比較から、甥姪の母(妹)が、叔母叔父(姉・弟)と母が同じであれば(全血)、各500万円を受取れることになりますが、母が異なれば(半血)、各300万円に減額されます。

まとめ:相続人に全血、半血の兄弟姉妹がいる場合

兄弟姉妹の相続人に全血、半血の兄弟姉妹がいる場合で、法定相続分で相続登記するときや、預金などを法定相続分で相続分配する場合、前述のような計算方法で行うとよいでしょう。
兄弟姉妹の相続人に全血、半血の兄弟姉妹がいる場合、特に、祖父母、父母、子の順番に相続が開始するような数次相続の複雑な相続の場合は、誰が相続人となるのかを確定することや、それぞれの法定相続人の法定相続分がいくつになるのかを計算することは、一般の方にとっては、難しいと思われますので、法定相続分での登記や、遺産分割協議遺産分割調停での代償金などは、慎重に確定、計算するとよいでしょう。

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