マンションの相続登記
一棟の建物を区分して、個々の部屋が独立して登記されている建物のことを区分所有建物と言います。個々の部屋が独立して登記されていますので、個々別々に取引(売買など)をすることができます。
マンションの相続登記の方法については、次を参考にしてください。
相続不動産の特定方法(マンション)
自分で相続登記(不動産名義変更)申請の方法
相続登記の手順
相続登記申請書の書き方
遺産分割協議書の書き方
登記記録(登記簿)には土地と建物がある
不動産の場合、不動産の登録を扱う登記所の登記記録(登記簿)には、土地と建物の登記記録があります。
通常の一戸建ての場合は、土地と建物の登記記録の両方に登記されます。
相続登記(不動産名義変更)の場合は、相続した人が所有者として、住所・氏名が、土地と建物の両方の登記記録に登記されます。
マンションの場合、専有部分の建物(お部屋)とマンションの土地(持分)の組み合わせで、一つの権利(所有権)です。
マンションには、登記上、「敷地権付のマンション」と「敷地権付ではないマンション」があります。
両者の違いは、登記上、建物の登記記録に土地の表示が記載されているか否かの違いです。
敷地権付きマンションでは、お部屋の建物と土地が一体となり、所有権移転や担保設定をする場合には、建物と土地を切り離して登記することができない、という性質があります。
敷地権付ではないマンションの場合、この制限がなく、建物と土地を切り離して登記することができます。
ただし、現実の取引では、建物と土地を切り離して、どちらか一方だけを取引の対象にして登記することは、権利上(所有権や抵当権)意味のない、不完全なものとなりますので、現実は、切り離して登記することはないといってよいでしょう。
敷地権付きマンションの登記記録
現在、多くのマンションでは、専有部分の建物と土地が一体化されており、その結果、相続登記など登記の記載は、専有部分の建物の登記記録に登記されるだけで、土地の登記記録には、登記されません。このマンションのことを敷地権付きマンションといいます。
「専有部分の建物と土地が一体化されている」敷地権付きマンションの場合、専有部分の建物の登記記録には、マンションの敷地が記載されており、これを敷地権と呼んでいますが、この「敷地権の種類」と「敷地権の割合」が記載されています。
したがって、専有部分の建物に所有者として登記されている、ということは、敷地権の土地にも、「敷地権の種類」と「敷地権の割合」で、効力が及んでいる、ということを意味します。
一方、マンションの敷地である土地の登記記録には、どこどこマンションの所有権(全部)敷地権である旨の登記がされています。
この所有権(全部)敷地権である旨の記載によって、専有部分の建物と土地が一体化されているということを表しています。
例えば、敷地権付きマンションの場合、土地の登記記録には次のように記載されます。マンションの名義人の住所や氏名は記載されません。
所有権敷地権
建物の表示 横浜市中区元浜町〇丁目〇番地
建物の名称 横浜みなとみらいマンション
年月日登記
このことは、専有部分の建物と土地が一体化されているマンションの場合は、建物と土地の権利を別々に移転登記したり、担保権設定登記をすることはできない、ということを意味しています。
マンションの場合、敷地権付きのものと敷地権付きでないものがある理由は、昭和59年1月1日に施行された建物の区分所有等に関する法律と不動産登記法の一部改正によって、敷地権付きのものが加えられ、登記所において登記簿を管理しやすくするためと、わかりやすい登記簿にするために変更されました。
敷地権付きではないマンションの登記記録
反対に、「専有部分の建物と土地が一体化されていない」(敷地権付きではない)マンションというものも、現に存在します。
こういうマンションの場合は、建物とは別に「土地の登記記録」に「持分」として登記されます。
戸建ての場合と同様に、「土地の登記記録」にもマンションの名義人の住所や氏名も記載されます。
マンションの所有権と抵当権の登記は、どこに記載されるのか
敷地権付きマンションの所有権と抵当権
前述のように、敷地権付きマンションの場合、実際の土地の登記記録には、マンション名(建物の名称)とマンションの所在が記載され、この土地が、そのマンションの敷地権である旨の登記がされています。
このような敷地権付きマンションを購入し所有権の登記をした場合には、メインとなる専有部分(個別のお部屋)の建物の登記記録のみに所有権や抵当権の内容が登記されます。
土地の登記記録には、所有権や抵当権の内容が登記されません。
これは、土地に「敷地権である旨の登記」がされていることから、専有部分の建物に登記された所有権や抵当権が、土地にも「敷地権の割合で」その効力が及んでいるからです。
したがって、敷地権付マンションの相続登記(不動産名義変更)の場合、登記申請する際は、敷地権の土地の表示を記載しなければなりませんが、相続登記が完了した後、確かに登記が完了したことを確認するために取得する登記事項証明書(登記簿謄本)は、専有部分の建物だけを取得し確認することになります。土地の登記記録には名義人の住所・氏名が記載されないからです。
厳密にいいますと、登記申請する前に、土地の登記記録も確認し、所有権を阻害する担保権などがないことを確認すれば間違いありません。
敷地権付きではないマンションの所有権と抵当権
前述のように、敷地権付きではないマンション(専有部分の建物と土地が一体化されていない、土地と建物が別々に登記されるマンション)の場合、建物には、名義人の住所・氏名が登記され、土地には、名義人の住所・