相続登記と未成年者の特別代理人

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相続登記と未成年者の特別代理人

親権者と未成年の子との間で利益が相反する場合は、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをする必要があります。
この場合、選任された特別代理人が未成年の子を代理して、法律行為をすることになります。

相続の場合も、相続人である親権者と未成年の子が遺産分割で相続するときは、親権者と未成年の子の特別代理人が、遺産分割協議をします。

次の事例は、どうでしょうか。

被相続人夫が亡くなり、相続人は、妻と未成年の子である場合で、相続不動産には、被相続人夫が債務者として抵当権が登記されている場合です。

この事例の場合、名義変更だけに限っていえば、法定相続による場合と遺産分割による場合とで、手続きの方法が異なります。

法定相続分で相続する場合、遺産分割協議書を作成する必要はありません。
したがって、未成年の子に特別代理人選任の必要もありません。

法定相続分で所有権移転登記をするときの未成年の子の代理人は、妻である親権者がなります。

法定相続分で登記するときは、印鑑証明書は必要ありません。未成年の子について印鑑登録の必要もありません。

事例で、被相続人夫が債務者となっているので、法定相続の場合、被相続人夫の債務は、妻と未成年の子が引き継ぎます。

銀行との関係では、通常、未成年の子には返済能力がないので、結果的に、妻が債務者になるように、言われます。
また、銀行からは、登記された抵当権の債務者を妻に変更するように、言われます。

この場合、債務者を被相続人夫から妻に変更する場合、新たに抵当権を設定し直すことはしません。
銀行との関係では、登記されている抵当権の債務者を妻に変更する、手続きをすることになります。

法定相続分で登記する場合、登記名義人は、妻と未成年の子、ということです。

未成年の子が名義人に入る場合、債務者を妻に変更するということは、妻・親権者と未成年の子の利益が相反することになるので、未成年の子について、特別代理人の選任が必要になります。

妻・親権者と未成年の子の共有名義の場合、妻・親権者が債務者となることは、万が一、妻・親権者が返済できない状況になり、共有名義の不動産を失ってしまう場合、未成年の子にとって自分の権利を失うことになるので、妻・親権者と未成年の子の利益が相反するということになります。

この場合、債務を妻・親権者が相続することになるので、債務についての遺産分割をすることになります。

土地・建物を法定相続分で相続する場合であっても、銀行の債務については、未成年の子を債務者に含めることは、実際、返済には問題がない場合であっても、通常、銀行は承諾しません。
銀行としては、返済能力のある人が、債務者になることを前提に融資しているからです。

新たに融資を受けないとはいっても、亡くなった配偶者の債務を引き継ぐにふさわしい、返済能力のあるのは、妻であるので、銀行としては、妻が債務者になるよう、要求します。

法定相続分で相続するということは、登記名義人を妻・親権者と未成年の子にして、被相続人夫の債務を妻が引き継ぐ、ということは、債務だけ、妻が負うことになるので、不自然なことになってしまいます。

また、法定相続分で相続登記する場合であっても、銀行との関係では、結局、債務者の変更登記をするためには、未成年の子について、特別代理人を選任する必要があります。

通常は、次のように対処します。

妻・親権者と未成年者が相続する場合、相続の名義人を妻とし、債務も、妻が引き継ぐ、とする遺産分割にします。
この内容で、未成年の子について、特別代理人選任を家庭裁判所に申し立てます。

申し立てをするときには、次の内容の遺産分割協議書(案)をつけます。

遺産分割協議書の内容は、
(1)土地・建物は、妻が相続します。
(2)銀行の債務も、妻が相続します。

特別代理人は、妻の両親など、親戚に頼みます。
遺産分割協議書には、特別代理人が実印を押印して、印鑑証明書をつけます。
相続登記には、家庭裁判所が発行する特別代理人選任審判書をつけます。

これで、妻に相続登記をします。

銀行との関係では、債務者を被相続人夫から妻に変更する手続き(債務者変更契約)をします。
銀行の手続きでは、妻と特別代理人で手続きをします。

なお、被相続人夫の債務が、住宅ローンで団体生命保険に加入していた場合は、保険が降りるので、これで債務を返済できることになります。
この場合、債務を返済することになるので、被相続人夫が、債務者となっている抵当権を単に抹消すればよいことになります。

この場合、法定相続分で登記をすることができます。
抵当権を抹消する場合も、親権者である妻)、未成年の子の代理人となって、登記します。
特別代理人を選任する必要はありません。

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