相続登記の司法書士報酬を原則定額にする理由

相続登記の司法書士報酬を原則定額にする理由

約15年以上前までは、司法書士報酬がほぼ日本全国一律料金でした。現在、相続登記に限らず司法書士報酬は、日本全国一律料金ではなく、それぞれの司法書士事務所が報酬を、それが不当誘致とならなければ自由に決めることができます。
司法書士報酬が日本全国一律料金であれば、依頼者が司法書士を選ぶことについて、それほど迷うことはありません。なぜなら、どこの司法書士事務所に依頼しても司法書士報酬が同じ基準で計算されるからです。
ところが、現在、司法書士報酬を自由に決めてよいことから、依頼者から見れば、司法書士報酬についての適正価格がいくらなのかが分からないことから、それぞれの司法書士事務所の報酬を比較する作業をしなければならなくなっています。

相続登記の司法書士報酬の一般的な決め方

相続登記申請の司法書士報酬:従来型の報酬規程で一般的な決め方

相続登記(不動産名義変更)手続の司法書士報酬、特に、所有権移転登記の司法書士報酬は、現在、各司法書士事務所が不当誘致とならない範囲で自由に司法書士報酬を決めることができます。
従来、固定資産税評価価格に応じて、司法書士報酬を各事務所で決めておりました。現在でも、そのように決めている事務所が一般的です。

固定資産税評価価格に応じて司法書士報酬を決める方法は、今から約15年以上前までは、司法書士報酬の根拠が、司法書士会の会則の一部であり、会則が効力を有するためには、法務省の認可が必要でした。
この規制が撤廃される最後の時期では、司法書士報酬について、若干の上下基準はありましたが、これを含めても、日本全国一律料金でした。

これは、評価価格が高くなれば、それにしたがい司法書士報酬も高くなるのが一般的でした。したがって、評価価格に応じて司法書士報酬を決める事務所は、現在でも、従来の司法書士報酬規程を踏襲しているのが一般的です。

では、なぜ、評価価格が高くなると、司法書士報酬も高くなるという報酬規程にするかという理由は、不動産の評価が高くなると、司法書士が行う登記手続きに対する責任の度合が重くなる、というのがその理由です。

具体的には、土地の評価価格が1,000万円のものと1億円のものとでは、司法書士の行う登記手続で、万が一損害が発生した場合、賠償額が異なるというのがその理由です。

さらに、相続登記手続の場合は、特に、相続関係の難易度、すなわち、相続関係の複雑さによっても司法書士報酬の違いがあるのが一般的です。

所有権移転登記の登録免許税では、その課税根拠となる固定資産税評価価格によって、現在でも、評価価格が高くなれば、それにしたがい登録免許税も高くなります。

相続登記の遺産分割協議書、相続関係説明図作成の司法書士報酬:従来型の報酬規程で一般的な決め方

相続登記手続に必要な遺産分割協議書の作成、相続関係説明図の作成については、相続関係の複雑さや遺産分割協議書に記載する相続財産の内容の違いよって、司法書士報酬を決定するのが一般的です。
このような司法書士報酬は、では、どの程度の相続関係の複雑さや相続財産の内容であれば、いくら、という明確な基準を持っている事務所がどれだけあるでしょうか。

被相続人、法定相続人の除籍謄本や戸籍謄本など、証明書取得の司法書士報酬:従来型の報酬規程で一般的な決め方

相続登記手続に必要な被相続人、法定相続人の除籍謄本や戸籍謄本など、その他相続証明書の取得については、証明書を取得する通数、1通いくら、とするのが一般的です。もちろん証明書取得にかかる実費は別です。

相続登記の登記事項証明書取得の司法書士報酬:従来型の報酬規程で一般的な決め方

登記事項証明書(登記簿謄本)の取得については、これを取得する通数、1通いくら、とするのが一般的です。もちろん登記事項証明書取得にかかる実費は別です。

当司法書士事務所では、相続登記の司法書士報酬は原則、定額

当司法書士事務所の登記費用(司法書士報酬)は、相続登記費用司法書士報酬でご確認ください。

上記説明しましたとおり、従来型の報酬規程で一般的な決め方は、

  1. 不動産の評価価格が高くなればなるほど(特に大都市の場合(東京、横浜、川崎、神奈川県など)
  2. 相続関係が複雑になればなるほど
  3. 証明書(戸籍の証明書など)取得の通数が多くなればなるほど
  4. 不動産の個数が多くなればなるほど
  5. 登記の申請件数が多くなればなるほど(持分の登記がある場合、不動産ごとの相続人が異なる場合)

相続登記手続の司法書士報酬が高くなります。

このような従来型司法書士報酬規程は、一般の人にとって、分かりずらく、必ず問い合わせをしなければ、おおよその金額が判明しません。最初の問い合わせをしても、おおよその金額が判明しません。

登記費用の金額が判明する時点は、司法書士が相続登記手続に必要な書類すべてを確認した段階で、ようやく登記費用が明らかになるという欠点があります。

最近では、登記費用の司法書士報酬と実費を自動計算できると自称している自動見積もりのサイト(司法書士事務所)を見受けますが、実際には、不動産の評価価格が分からなければ(一般の人にとって「評価価格がどれなのか」が分かりにくい。)、不動産の個数が分からなければ、さらに、法定相続人の人数が分からなければ、自動計算の入力箇所に、価格や数字を入力することすらできません。
せっかく自動見積もりのサイトを作っても使い物になりません。

自動計算できると自称している自動見積もりのサイト(司法書士事務所)では、司法書士報酬「不動産の評価価格」に左右されるので、結局、不動産の評価価格、不動産の個数、法定相続人の人数が分からない場合は、司法書士報酬がいくらになるのかが、問い合わせすることなく、おおよその報酬が、分からない可能性があります。

さらに、相続と遺贈が混在する登記など複雑な登記の場合は、まったく計算できない状況となりえます。
このように、自動計算できると自称している自動見積もりのサイト(司法書士事務所)であっても、結局は、問い合わせしなければならず、相続登記の内容について説明しなければ、実費も計算できず、事前に、問い合わせすることなく、おおよその司法書士報酬すら判明しないことになりえます。(例えば、報酬が18,500円なのかと誤解を招く結果となりうる。)

依頼者にしてみれば、依頼する当初は、相続登記手続の登記費用が全体でどのくらいかかるのか、分からず、ある程度(書類がそろって司法書士が費用の計算ができる)の日数を要することになります。

このことは、どういうことかというと、結局、依頼者としては、登記費用の見積りを司法書士に依頼する場合、相続登記手続に必要な書類の大半を、さらには、ご自分の相続関係の説明をしなければ、正確な登記費用の見積りを司法書士に出してもらえないということになります。

その結果、この時点では、もはや、相続登記手続を他の司法書士に依頼する機会を失い、登記費用の見積りを依頼した司法書士に相続登記手続を依頼するという結果になります。
これはこれで、最初から、この司法書士、と決めている方は、よいでしょう。ですが、ほかの司法書士ではどうか、という選択の機会を失うことになります。

インターネットで商品価格の比較が簡単にできる世の中であっても、相続手続、特に相続登記の場合に、この価格の比較が思うようにできない、ということを受忍しなければならないのでしょうか。
もっとも、当然のことながら、依頼する司法書士を決めるのは、金額だけではありませんが。

以上の理由から、当司法書士事務所の方針は、相続登記手続の登記費用について、不動産の評価価格で決めるのではなく、「一般的な、通常、想定される」相続登記手続で行うことを一括してまとめ、原則、定額(基本報酬)としています。
一般的な、通常、想定される相続登記手続とは、法定相続人が、配偶者と子が合計5名以内、不動産が1か所の場合をいいます。

ただし、一般的ではない、家庭裁判所の手続など特別の手続や不動産の数の極端に多い場合(複雑な登記の場合など)を追加報酬としています。追加報酬としても、追加報酬の金額を明確にしています。
【相続登記の難易度】相続登記を自分ですることは可能でしょうか。を参考にしてください。

当司法書士事務所の登記費用(司法書士報酬)は、相続登記費用司法書士報酬でご確認ください。

自動計算できると自称している自動見積もりのサイト(司法書士事務所)の中には、次のように記載しているものがあります。
定額の報酬を採用している司法書士事務所であっても、追加報酬の例外が多くあるので、注意をするように、と。
この批判に対して、当司法書士事務所は、追加報酬を適用する場合の内容をわかりやすく表示しており、追加報酬の金額も明確にしており、誤解を招かないように努めておりますので、このような批判は、当司法書士事務所については当てはまりません。

昨今(2022年)では、不動産の個数に関係なく、また、相続の複雑さや難易度にも関係なく、司法書士報酬を一律いくら、と表示している司法書士事務所も見受けられます。これはこれで、一般の方から見れば、非常に分かりやすい報酬表示と言えます。

しかし、当司法書士事務所としましては、例えば、相続人が1名の場合と相続人が20名の場合とでは、作業時間や確認事項などが異なることから、また、相続人1名の方からの依頼と、相続人20名の方からの依頼で、それぞれの司法書士報酬を同額としてしてしまうことは、どちらの依頼者にとっても不公平な対応の仕方となることから、相続人20名の方には、自ずと司法書士報酬を多めにご負担いただくことが自然であると考えるからです。

いずれにしましても、登記費用が実費も含めていくらかかるのかを問い合わせる場合、計算するのに必要な最低限の情報を提供して「見積書」を作成してもらうのがよいでしょう。
例えば、当司法書士事務所では、相続登記の見積り依頼をしていただく場合、お問合せフォームに計算するのに必要な最低限の情報を提供していただいております。これまで、これで問題なく御見積書を作成してきました。(過去15年以上)

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