数次相続(父死亡後母死亡)で「遺産分割協議での相続登記」

数次相続(父死亡後母死亡)で「遺産分割協議での相続登記」

執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)

【相続登記相談】
不動産の名義人父が10年前に死亡し、相続登記をしないまま、次に母が5年前に死亡しました。父名義の不動産は、長男・長女・二女3人のうち、長女が相続取得します。長女が居住している父名義不動産のほかに、相続手続をする遺産はありません。この場合の相続登記の方法と登記費用について教えてください。
母の遺産は、預金が1件あります。
また、法定相続情報一覧図の証明書を取得したいので、その方法も教えてください。
【相続関係】
被相続人父:平成20年〇月〇日死亡(第一の相続)
相続人
(亡)母:平成25年〇月〇日死亡(第二の相続)
長男・長女・二女
父名義の土地建物を長女が相続取得
父名義の土地建物を長女が相続取得
登記記録(登記簿):父名義
登記記録(登記簿):父名義
相続関係図:父死亡後母死亡、相続人長男・長女・二女
相続関係図:父死亡後母死亡、相続人長男・長女・二女

法定相続情報一覧図の証明書を取得する必要性は?

遺産が不動産1か所のみで、ほかに相続手続をする遺産がない場合でも、法定相続情報一覧図の証明書を取得する必要があるでしょうか。

法定相続情報一覧図の証明書を取得する場合は、通常、不動産の管轄法務局を異にする不動産が2カ所以上ある場合や、預貯金などが3件以上ある場合です。

実際に手続をする遺産が、不動産1カ所のみの場合、通常、法定相続情報一覧図の証明書を取得しません。
なぜなら、法定相続情報一覧図の証明書取得のために、申出書や一覧図を作成し、法務局に提出する必要があるからです。手間がかかります。

また、法定相続情報一覧図の証明書を取得する場合であっても、これを相続登記と一緒に申請する場合、相続登記申請書には、相続関係説明図も作成して提出することになります。
相談事例の場合、数次相続(被相続人父死亡(第一の相続)後、相続人の母が死亡(第二の相続))に該当しますので、法定相続情報一覧図を、被相続人父と被相続人母の2枚作成する必要があります。手間がかかります。

相続登記する遺産の不動産が1か所の場合、法定相続情報一覧図の証明書を取得してから、次に相続登記をすることはありません。これは、手間と時間がかかるからです。

次のページを参考にしてください。
法定相続情報一覧図の証明書
それでも、数次相続の場合に「法定相続情報一覧図の写しの証明書(法定相続情報証明)」を取得する必要性がある場合

不動産のみの手続では、相続関係説明図を作成して、除籍謄本・戸籍謄本を原本還付(原本を返却してもらう)します。
結局、相談事例の場合、法定相続情報一覧図の証明書を取得する必要性がないことになります。

数次相続で「遺産分割協議での相続登記」の方法

相談事例の場合、数次相続(第一の相続と第二の相続)であっても、次のような方法で、長女に不動産を相続取得させることができます。このような方法で行えば、それほど難しくはありません。

相続登記で用意する書類

相談事例の場合、相続登記に必要な書類は、次のとおりです(一部省略)。

被相続人父(第一の相続)
 父の出生から死亡までの除籍謄本
 除かれた戸籍の附票(→ これがない場合は、権利証など)
被相続人母(第二の相続)
 母の出生から死亡までの除籍謄本(母の預金の相続手続でも使用する。)
法定相続人:長男・長女・二女
① 戸籍謄本
② 印鑑証明書
③ 住民票(相続取得する長女のみ)
④ 実印

遺産分割協議書の作成方法

相談事例の場合、次のような内容で遺産分割協議書を作成します。

    遺産分割協議書(例 一部省略)
被相続人父(〇年〇月〇日生)の平成20年〇月〇日死亡による相続について、その相続人全員において遺産分割協議をした結果、次のとおり決定した。なお、被相続人の相続人のうち母が平成25年〇月〇日死亡している。
相続人長女は次の不動産を相続取得する。
不動産の表示(省略)
〇年〇月〇日
(署名・実印を押印する人)
(相続人)長男
(相続人)長女
(相続人)二女

相続関係説明図の作成方法

相談事例の場合、次のように相続関係説明図を作成します。

相続関係説明図:長女が相続
相続関係説明図:長女が相続

相続登記申請書の作成

このようにすることで、相続相談事例では、数次相続とはいっても、相続登記申請書を1件で作成することができます。

      登記申請書(一部省略)
登記の目的 所有権移転
原   因 〇年〇月〇日(父の死亡日)相続
相 続 人 (被相続人 父)
      (長女の住所)○○○○
      (長女の氏名)○○
添付情報
 登記原因証明情報 住所証明情報 評価証明情報
課税価格  金1,000万円
登録免許税 金40,000円(評価価格の0・4%)
不動産の表示(省略)

以上の内容については、次を参考にしてください。
数次相続の遺産分割協議書・相続関係説明図の作成方法と登記の方法

相続登記完了後の登記記録(登記簿)

相談事例の場合、以上の方法で登記申請すれば、登記記録(登記簿)には、次のように登記されます。

登記記録(登記簿):遺産分割で相続登記
登記記録(登記簿):遺産分割で相続登記

相続登記(遺産分割による相続登記)にかかる費用

相続登記費用
司法書士報酬:約60,000円
登録免許税・証明書:約50,000円
合計:約110,000円

母の預金の相続手続の方法

相談事例の場合、第二の相続で、被相続人母には遺産として預金がありますので、父の相続登記をした後に、母の預金の相続手続をします。
この際、相続手続に必要な書類の中で、母の出生から死亡までの除籍謄本や相続人の戸籍謄本・印鑑証明書(有効期限6カ月)は、父の相続登記で使用したものを、再度、使用できます。

まとめ:数次相続(父死亡後母死亡)で「遺産分割協議での相続登記」

前述のように、数次相続(第一の相続と第二の相続)で、相続順位が同じ相続人(相続人が異ならない)の数次相続では、遺産分割協議書を作成すれば、相続登記申請1件で行うことができます。

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相続登記相談風景(イメージ)
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