敷地の一部の固定資産税が非課税であっても、登録免許税がかかる。:相続登記
執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)
【相続登記相談】
(質問)敷地の一部に、固定資産税が非課税の私道がありますが、評価証明書に記載されている「価格」を相続登記申請書の「課税価格」として問題ないですか。
敷地と私道の関係が、次のような場合について説明します。
「公図(法務局に備え置かれている)」に記載されている位置関係

実際の敷地と私道(公共用道路)の位置関係

評価証明書の記載内容:横浜市の例(事例)
敷地の一部に非課税の私道(公共用道路)があるとき、次のように、評価証明書に記載されている場合について説明します。
【1ページ目】
令和7年度 土地課税台帳登録事項証明書
(価格証明)
土地の所在・地番
〇区〇町○○番〇
7年度価格(円) 現況地目 課税地積(㎡)
10,000,000 宅地 100・00
【2ページ目】
〇町○○番〇
登記地積 120・00㎡のうち 20・00㎡は
地方税法第348条第2項第5号(公共用道路)に規定する非課税
「評価証明書」については、相続登記の「評価証明書」とはを参考にしてください。
登録免許税の計算方法:敷地の一部に非課税の私道(公共用道路)があるとき
「7年度価格」:10,000,000円①は、課税地積:100・00㎡に対する価格です。
登記地積は、120・00㎡です。
登記地積:120・00㎡のうち、20・00㎡は、公共用道路扱いで、固定資産税は、非課税です。
所有権移転登記(相続登記など)をする場合、公共用道路扱いで非課税の場合であっても、公共用道路としての「価格(評価価格)」を計算する必要があります。
まず、敷地1平方メートル当たりの価格を計算します。
10,000,000円÷100・00㎡=100,000円/㎡
課税地積1㎡に対する価格は、100,000円です。
非課税の地積:20・00㎡の価格は、次の計算方法で「価格」を算出します。
100,000円/㎡×20・00㎡×0・3=600,000円 ②
敷地の「価格」+私道(非課税)の「価格」=①+②=10,600,000円
この価格:10,600,000円が登記上地積:120・00㎡の「価格(登記申請書の「課税価格」)」となります。
登録免許税の計算(相続登記の場合)
(相続登記の)課税価格:10,600,000円×0・4%(相続登記の税率)=42,400円(登録免許税)

法務局に対し、登録免許税の計算方法を記載し、示した方がよいでしょう。
「登録免許税の計算方法」を示す方法は、次のとおりです。
例えば、相続登記を申請する際、法務局に対して、登録免許税の計算方法を示しても、示さなくても問題ありませんが、これを示した方がよいでしょう。その方が法務局の担当官にとって分かりやすくなります。
法務局の担当官は、当然、登録免許税を計算します。
① 法務局に提出する「評価証明書」に「鉛筆で」、登録免許税の計算方法を書きます。
② より複雑な計算が必要となる場合は、別紙に登録免許税の計算方法を書きます。
非課税の地積部分の「価格」計算で、0・3(1000分の30)を乗ずる根拠
非課税の地積部分の「価格」計算で、0・3(1000分の30)を乗ずる根拠は、次を参照してください。
不動産の登録免許税課税標準価額認定基準の改訂について(通達)
昭和60年3月14日登第137号山形地方法務局長通達
最終改正 令和6年3月5日山形法登第28号山形地方法務局長通達
2 評価額のない不動産については、次の各号の定めるところにより認定した価額を課税標準とする。
(2) 評価額のない公衆用道路については、近傍宅地の評価額(1平方メートルに対する単価)の100分の30を基準として認定した価額。
相続登記申請書
事例の場合、相続登記の申請書には、次のように記載します。
登記申請書(一部省略)
登記の目的 所有権移転
原 因 令和〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 氏名○○)
住所○○
氏名○○ ㊞ 登記識別情報の発行を希望する
連絡先の電話番号 ○○ー○○ー○○
添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報 評価証明情報
令和〇年〇月〇日申請 ○○法務局 ○○出張所・支局 御中
課税価格 金1,060万円
登録免許税 金42,400円
不動産の表示

所有権移転登記(相続登記など)の登録免許税を計算する場合、「評価価格」を基準にして、所有権移転登記(相続登記など)の「課税価格」を計算します。
「評価価格」は、役所が固定資産税を計算するための基本となる価格のことをいいます。
評価証明書に記載される「評価価格」は、役所によって、その表記が異なり、横浜市のように、単に「価格」と表記されることもあれば、「評価額」と表記されることもあります。
また、この「評価価格」が記載されている証明書のことを、一般的には、「評価証明書」と言いますが、証明書のタイトルは、役所により異なり、横浜市のように、「課税台帳登録事項証明書」というタイトルであったり、川崎市のように、「課税台帳記載事項証明書」というタイトルであることもあります。
このほか、固定資産税や都市計画税も記載されている証明書のことを「公課証明書」といいますが、この証明書にも「評価価格」が記載されていることから、「公課証明書」も法務局に提出することができます。
登記申請書の「添付情報」には、「評価証明情報」と記載しなくても問題ありません。この「評価証明情報」は、「法定」の「添付情報」ではないからです。
「法定」の「添付情報」ではないとはいっても、実際には、法務局に「評価証明書(公課証明書)、非課税証明書、名寄帳、固定資産税納税通知書・課税明細書で、必要な書類」を提出します。
司法書士が相続登記など申請代理を行う場合は、「添付情報」として「評価証明情報」と記載するのが一般的です。
次のページも参考にしてください。
相続登記と私道(公衆用道路)の登録免許税計算方法
まとめ(回答):敷地の一部に非課税の私道があるときの登録免許税計算の方法:相続登記
事例のように、敷地の一部の固定資産税が「公共用道路」扱いで非課税であっても、登録免許税がかかります。
このため、所有権移転登記(相続登記など)jの登録免許税の計算では、次の計算の手順で、登記申請書の「課税価格」を計算し、登録免許税を計算することになります。
敷地1平方メートル当たりの「価格」を計算します。
非課税の地積(㎡)に、敷地1平方メートル当たりの「価格」を乗じ、さらに、0・3を乗じて、非課税部分の「価格」を計算します。
この非課税部分の「価格」に、敷地の「価格」を加えて、登記申請書の「課税価格」とします。
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