養子の相続

養子の相続

養子とは、通常の場合、「養子縁組」の届出を市区町村役場にすることによって、養親と法律上の親子関係になることをいいます。これを「普通養子縁組」といいます。
これにより養子は実子と同じ嫡出子の身分を取得します。養親が死亡した場合、養親の法定相続人となります。

相続について、「通常の養子(特別養子ではない養子)」は、養親の相続人となることもでき、実の親の相続人となることもできます。

これに対し、「特別養子」は、実の親との関係は、法律上、完全に切れます(実方の血族との親族関係が終了する縁組)ので、相続については、実の親の相続人となることができません。
「特別養子縁組」は、養親が25歳以上、養子が原則15歳未満であることが必要です。
特別養子縁組は、家庭裁判所に特別養子縁組の申立てをし、その審判によって成立します。(令和2年4月1日施行改正民法
養子の相続税については、実子と同様に扱われる人数に制限があります。
以下、「通常の養子(普通養子・特別養子ではない養子)」について説明します。

養親が被相続人の場合

養子縁組前に「養子」に子がいた場合

養子縁組前の「養子」に子がいた場合、養親の相続(養親が被相続人)で、「養子の子」は相続人となりますか。 この場合、次の「養子」の死亡時期によって異なります。
養子縁組前に「養子の子」がいた場合とは、養子縁組をするときに、養子となる人にはすでに子がいた場合です。

「養子」が養親の死亡前に死亡していた場合(「養子の子」が代襲相続人となるのか)

養子縁組前の「養子」に子がいた場合、養親の相続(養親が被相続人)で、「養子」が養親の死亡前に死亡していた場合、「養子の子」は相続人(代襲相続人)となりますか。

通常の親子関係の場合で実子に子がいる場合、実子が実親の死亡前に死亡している場合は、孫が代襲相続人として相続人となります。
しかし、養子の場合、養子縁組前に「養子の子」がいた場合、養子が養親の死亡前に死亡している場合は、「養子の子」が代襲相続人として相続人とはなりません。

この理由は、次のとおりです。
養親子関係は、養子縁組をすることによって、養子と養親が法律上の親子関係となります。
養子縁組前に「養子の子」がいた場合とは、養子縁組をするときに、養子となる人にはすでに子(養子縁組前の子)がいた場合です。
この場合、養子縁組をしたのは、養子と養親であって、「養子縁組前の子」は養親と養子縁組をしていないため、「養子縁組前の子」と養親とは法律上の親子関係がないということになります。
したがって、養子縁組前に「養子の子」がいた場合、養子が養親の死亡前に死亡している場合は、「養子の子」が代襲相続人として相続人とはならないことになります。

なお、「養子の子」も一緒に養子縁組をしている場合、「養子の子」も相続人となります。この場合、「養子の子」は代襲相続人としてではなく、養親の直接の「相続人」としてということになります。
この場合は、「養子の子」も「養子」と同じように「養親の子」としての相続人となります。

「養子」が養親の死亡後に死亡した場合(数次相続の場合、「養子」の子が相続人となるのか)

養子縁組前の「養子」に子がいる場合、養親の相続(養親が被相続人)で、「養子」が養親の死亡後に死亡した場合、数次相続(相続が連続して段階的に開始)として「養子の子」は相続人となりますか。
数次相続の場合、「養子」が養親の死亡後に死亡した場合、「養子の子」は相続人となります。

この理由は、次のとおりです。
前述のとおり、養親子関係は、養子縁組をすることによって、養子と養親が法律上の親子関係となります。養子縁組前に「養子の子」がいた場合とは、養子縁組をするときに、養子となる人にはすでに子(養子縁組前の子)がいた場合です。
この場合、養子縁組をしたのは、養子と養親であって、「養子の子」は養親と養子縁組をしていないため、「養子の子」と養親とは法律上の親子関係にないということになります。

ところが、 「養子」が養親の死亡後に死亡した場合、養子に「養子縁組前の子」がいた場合は、「養子縁組前の子」は「養子」とは実親子関係にあるので、「被相続人養子」の相続権があります。
これは、数次相続(相続が連続して段階的に開始)として、まず、「養子」が養親の遺産を相続します。「養子」は養親の次に死亡したので、次に、養親の遺産を相続した「養子の遺産」を「養子縁組前の子」が相続します。
このように、数次相続の場合、「養子」が養親の死亡後に死亡した場合、「養子の子」は被相続人の養親の数次相続としての相続人となります。相続権があるということになります。

養子縁組後に「養子」の子が生まれた場合

養子縁組後に「養子」に子が生まれた場合、養親の相続(養親が被相続人)で、「養子の子」は相続人となりますか。

養子縁組後に養子に子が生まれた場合、「養子の子」は、養親との関係では、養親の孫と同じ扱いとなります。前述した「養子縁組前の養子の子」とは異なり、「実子の子(孫)」と同様に代襲相続人となることができます。数次相続の場合も相続人となります。

「養子」が死亡した場合、「通常の養子(特別養子ではない養子)」の「実の親の兄弟姉妹」が「養子の養親」の相続人となるのか

養親が被相続人の場合

「養子」が死亡した場合、「通常の養子(特別養子ではない養子)」の「実の親の兄弟姉妹」が「養親」の相続人となりますか。
例えば、養親の相続で、すでに養子が死亡していた場合(養親の死亡前に養子が死亡)、養子に子がなく、実親の父母(祖父母)もすでに死亡していた場合です。
通常、実子の場合、子がなく、父母(祖父母)がすでに死亡している場合、子の兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。
通常の養子(特別養子ではない)は、実親との関係では相続権がありますので、「養子」が養親の前に死亡している場合、「実の親の兄弟姉妹」が相続人となりそうな感じもしますが、「実の親の兄弟姉妹」は養親とは法律上の親子関係ではないので、養子の「実の親の兄弟姉妹」には、養親の相続権がありません。

相続関係図(養子の相続:兄弟姉妹が相続人とならない)

数次相続の場合、例えば、養親の死亡後に養子が死亡した場合、養子に子がなく、実親の父母もすでに死亡している場合、「実の親の兄弟姉妹」にも相続権があることになります。 死亡した養子に配偶者がいれば、この配偶者も相続人です。

相続関係図(養子の相続:兄弟姉妹が相続人となる)

数次相続の場合、本来、相続関係にない人も相続権を取得することになりますので、養親の相続では、早めに解決して相続手続をするのがよいでしょう。

養子が被相続人の場合

養子(被相続人)が死亡した場合の相続で、養子に子がなく、実親も養親もすでに死亡していた場合です。
養子の場合、子がなく、養親がすでに死亡している場合、養子の「養親の兄弟姉妹」が第3順位の相続人となります。また、養子の「実親の兄弟姉妹」も第3順位の相続人となります。
養子に配偶者がいれば、この配偶者も相続人です。

相続関係図(養子が被相続人)

このように、被相続人が養子の場合(子がいない)、養親の兄弟姉妹と実親の兄弟姉妹が相続人となります。
養子に子がなく、配偶者がいる場合、この養子が遺言書を作成して、「すべての遺産を配偶者に相続させる。」とすれば、配偶者が遺産すべてを相続することができます。両方の兄弟姉妹は相続できなくなります。兄弟姉妹に遺留分がありませんので。

養子は自分だけだと思っていたが、ほかにも養子がいることを知らなかった時の相続登記の方法を参考にしてください。

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