横浜市磯子区の相続登記(相談)

横浜市磯子区の相続登記(相談):法定相続分で登記をした後に、遺産分割協議が成立した時の持分移転登記の方法

【事例】
被相続人:父
法定相続人:兄(長男)、妹(長女)の2名(母は、すでに他界)

遺産
不動産:横浜市磯子区の自宅(土地と建物に兄が妻子と居住)
評価価格 土地:1,000万円
     建物:200万円

相続人の兄(長男)は、現在、横浜市磯子区の自宅(相続不動産)に妻子と居住しています。
妹(長女)は、被相続人父名義の土地・建物(横浜市磯子区)を法定相続により自分と兄名義で登記しました。
兄は、父名義の自宅に妻子と居住していますので、これを自分名義(所有権全部)にしたいと考えています。
この場合、兄は、どういう方法で手続をして、自分名義(所有権全部)としたらよいでしょうか。

相続人の一人で相続登記ができるのか

この事例で、妹は、兄の了解を得ることなく相続登記を一人でしました。
これは、民法252条の「保存行為」としてすることができます。
法定相続分で相続人の一人(全員ではない)から登記申請を参考にしてください。
この場合、妹は、自分の法定相続分2分の1についてだけ登記することができません。兄の法定相続分を含めて全部登記しなければなりません。

「共同相続人のうちの一人の持分のみの相続登記はすることができない。」

(法務局の先例:昭和30年10月15日民事甲2216(回答))

基本的な登記の方法と必要書類は、法定相続分での相続登記の方法を参考にしてください。

事例の場合(法定相続分による登記)に必要な相続登記の書類

事例の場合、必要な戸籍関係の書類は、次のとおりです。
その他必要書類は、相続登記の必要書類を参考にしてください。

被相続人父の必要書類
(1)父の出生から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または除かれた戸籍の附票(本籍地記載が必要)
(3)母がすでに死亡していることも証明(父の除籍謄本で証明)

法定相続人兄と妹の必要書類
(1)戸籍謄本
(2)住民票

これらの書類を妹が全部集めます。兄の戸籍謄本と住民票も妹が取得します。
兄と同居していない妹は、他人とみなされますので、本来、他人の戸籍謄本や住民票を取得することはできません。
しかし、民法252条の(共有者の一人の)保存行為として登記申請しますので、これらの書類を取得する「正当な理由」があります。兄の了解を得ることなく取得することができます。

法定相続分による登記

登記の目的 所有権移転
原   因 令和〇年〇月〇日相続
相続人 (被相続人 父)
    (住所)横浜市磯子区○○
        持分2分の1 兄(氏名)○○
    (住所)横浜市磯子区○○
  (申請人) 持分2分の1 妹(氏名)○○

登記の申請先法務局:横浜市磯子区を管轄する登記所は、横浜地方法務局金沢出張所

登録免許税

評価価格 土地:1,000万円
     建物:200万円

課税価格  金1,200万円
登録免許税 金48,000円(評価価格の0・4%)

妹は、兄の法定相続分2分の1を含めて全部登記する必要がありますので、登録免許税を全部納める必要があります。

登記完了後の登記記録(登記簿)の記載は、次のとおりです。(甲区欄のみ。ほかは省略。)

遺産分割協議で持分移転登記の方法

前述のとおり、妹が自分の持分を含めて登記したので、兄は、現在住んでいる「横浜市磯子区の土地と建物」の所有権を、現時点で確保できていません。
そこで、兄は、妹と交渉して、妹の持分2分の1を自分名義にできないかと考えます。

妹と遺産分割協議をする

兄は、妹と父の遺産について分割の協議をすることにします。
妹との話し合いで、妹の持分2分の1を兄が譲り受ける代わりに、妹に500万円を渡すことにします。この内容を遺産分割協議書として作成し、両名が署名・実印を押印します。

遺産分割協議書の内容

通常の遺産分割協議書に記載する事項のほかに、「代償分割」として次の内容を記載します。

相続人兄は、次の不動産を取得する。
不動産の表示(横浜市磯子区○○の土地・建物。以下、省略)
兄は、妹に対し、代償金として金500万円を支払う。
これに伴い、令和〇年〇月〇日受付第○○号で登記した妹の持分2分の1について遺産分割を原因として兄に移転登記する。

遺産分割協議書ではなく、登記原因証明情報を別途、作成して申請することもできます。

遺産分割で登記する場合の必要書類

登記の申請方法は、持分を取得する兄(権利者)と持分を失う妹(義務者)との共同申請(二人で協力して共同で申請)で行うことになりますので、次の書類が必要となります。
●持分を取得する兄(権利者)が必要な書類と印鑑
(1)住民票
(2)印鑑(認印で可)
●持分を失う妹(義務者)が必要な書類と印鑑
(1)遺産分割協議書
(2)権利証(登記識別情報通知)
    ➡ 法定相続分で登記した際に発行された登記識別情報通知
(3)印鑑証明書
(4)実印
(5)固定資産の評価証明書(納税通知書(課税明細書)

遺産分割による持分移転登記の方法

次に、令和〇年〇月〇日遺産分割協議が成立して遺産分割協議書(不動産を取得する人を兄)に基づいて登記する場合、次のように登記申請します。

登記の目的 妹持分全部移転
原   因 令和〇年〇月〇日遺産分割(日付は、遺産分割協議書の日付を記載)
権 利 者 (住所)横浜市磯子区○○
      持分2分の1
      兄(氏名)○○
義 務 者 (住所)横浜市磯子区○○
      妹(氏名)○○

登録免許税

評価価格 土地:1,000万円
     建物:200万円

移転した持分の課税価格  金600万円
登録免許税 金24,000円(評価価格の0・4%)

登録免許税は「評価価格」の「取得することになる持分」2分の1に0・4%(税率)を乗じた税額で納めることになります。

兄は、最初に取得した持分2分の1(妹が登記した法定相続分による登記)と「遺産分割」によって取得した持分2分の1を合わせて「1」となり、「所有者」として登記されます。

兄は、遺産分割による持分移転登記をすることによって登記識別情報通知(権利証)を受取ります。この登記識別情報通知は、遺産分割による持分2分の1についての登記識別情報通知です。
妹が登記した時の登記識別情報通知は、妹の持分2分の1についてのみでした。
兄についての登記識別情報通知は、発行されていません。これは、法定相続分による登記の申請を妹だけでしましたので、兄が申請人とならなかったためです。

したがいまして、今後、兄の権利証としては、遺産分割による持分2分の1のみで、所有権全体の権利証がないことになります。
兄が将来、横浜市磯子区の自宅を売却するときは、権利証の2分の1が足りないことになりますので、その時に別の手続をすることになります。

登記完了後の登記記録(登記簿)の記載は、次のとおりです。(甲区欄のみ。ほかは省略。)

相続登記(遺産分割による持分移転登記)にかかった費用

相続登記費用
司法書士報酬:約50,000円
登録免許税・証明書:約30,000円
合計:約80,000円

横浜市磯子区の相続登記や相続については、当司法書士事務所にご相談ください。

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