横浜市栄区の相続登記(相談)

横浜市栄区の相続登記(相談):相続放棄の申立てと遺産分割協議書による相続登記の方法

【事例】
被相続人:夫(父)
法定相続人:妻(母)、長女(姉)、長男(弟)の3名
      長男(弟)は、北海道に居住している。長男(弟)には、子がいる。

「遺産」
不動産:横浜市栄区の自宅(母が居住している。)
    評価価格:土地(110㎡)1,100万円
    税務署路線価格:1,650万円(150,000円/㎡×110㎡)
    評価価格:建物:100万円
預貯金:200万円

相続人の長男(弟)は、被相続人父の遺産を放棄して、母と長女(姉)に遺産分割を任せたいと考えています。
長女(姉)は、横浜市栄区の自宅に母が居住しているので、母名義とすること、預貯金も母が相続取得することに同意しています。
どういう方法で手続をしたらよいでしょうか。

相続税の対象となるのかどうかを検討

遺産が自宅と預貯金が少額であれば、相続税の対象となる可能性が低い、とは言っても、一応、相続税の対象となるのかどうかを確認します。この確認をすることによって、相続税の対象とならないことで安心できます。

まずは、夫の遺産について相続税の対象となるのかどうかを検討します。
遺産は、土地と建物(横浜市栄区)と、預貯金:200万円です。
土地(横浜市栄区)の税務署路線価格は、1,650万円です。
建物(横浜市栄区)のの評価価格は、100万円です。
これらを合計しますと、1,950万円となります。

夫の相続税についての基礎控除額は、法定相続人が妻と子2名であるので、
3,000万円+(600万円×3名)=4,800万円(基礎控除額)

法定相続人の一人が相続放棄しても、基礎控除額の相続人の人数(3名)に変更はありません。
相続放棄した人は、最初から相続人とはならなかったとみなされますが、相続税の基礎控除額の人数に影響しません。
なお、相続放棄する長男(弟)には、子がいますが、父が相続放棄をしたとしても、その相続権が子には移りません。

夫の遺産合計:1,950万円-基礎控除額:4,800万円=-2,850万円
-2,850万円なので、相続税の対象とならないことが分かります。相続税の申告をする必要がありません。

相続放棄申述の申立て

長男(弟)が、相続放棄の申述をする場合、家庭裁判所での手続は、それほど面倒ではありません。手続は、1か月ほどで完了します。
長男(弟)が相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申立書を提出することに注意すれば問題ありません。

また、この申立ては、郵送で行うこともできます。長男(弟)は、北海道に住んでいるので、郵送での申立てを選択します。長男(弟)が横浜家庭裁判所に出向く必要はありません。

相続放棄は、法定相続人の子が2名いて、そのうちの1名が相続放棄をする場合に、今回の相続登記の方法が可能となります。
これが、法定相続人の子が1名で、この1名が相続放棄をしてしまいますと、被相続人には初めから相続人の子がいないことになってしまい、被相続人の親が、親がいないときは兄弟姉妹が相続人となりますので、相続放棄した場合、誰が相続人となるのかを確認した方がよいでしょう。

長男(弟)が相続放棄の申立てで用意する書類

被相続人父についての

  1. 除籍謄本 → 母が健在なので、実際には戸籍謄本を用意します。
  2. 戸籍の附票(または住民票の除票(本籍・筆頭者記載のあるもの)(最後の住所地を証明するため)

(相続放棄の申立てをする)長男(弟)についての

  1. 戸籍謄本
  2. 住民票:家庭裁判所に提出する必要はありませんが、申立書に正確に記載するために必要です。

子が相続放棄の申立てをする場合、子が被相続人の子であること、相続人であることを証明できればよいので、「被相続人父の除籍謄本」と「子である自分の戸籍謄本」を用意すれば問題ありません。
子が相続放棄する場合は、被相続人父の出生から死亡までの除籍謄本を用意する必要はありません。
ただし、遺産分割協議書による相続登記では、被相続人父の出生から死亡までの除籍謄本を用意する必要があります。

家庭裁判所に相続放棄申述の申立てをします。被相続人の最後の住所が横浜市栄区なので、横浜家庭裁判所に申立てます。

相続放棄申述に必要な書類・手順は、相続放棄の申述(申立方法)を参考にしてください。

相続放棄申述受理通知書

相続放棄申述の手続が完了しますと、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が郵送されます。これを相続登記に使用します。改めて、相続放棄申述受理証明書を取得する必要はありません。
長男(弟)が、この相続放棄申述受理通知書を母に郵送します。

遺産分割協議書による相続登記の手順

遺産分割協議書の作成

長男(弟)が相続放棄をしましたので、遺産分割協議を母と長女(姉)で行います。
次のように遺産を分けること(遺産分割)を決めましたので、遺産分割協議書を作成します。
自宅の土地と建物(横浜市栄区)は、母が相続取得し、預貯金も母が相続取得する。

父の遺産分割協議書の内容は、次のとおりです。(一部を省略)

被相続人(父 氏名○○)(生年月日)の〇年〇月〇日死亡により開始した相続につき、相続人全員において遺産分割協議を行った結果、下記のとおり決定した。
相続人(母 氏名○○)は、次の遺産を相続取得する。
【不動産】
横浜市栄区○○町〇番○ 土地
横浜市栄区○○町〇番地○ 家屋番号〇番〇 建物
【預貯金】
 貯金:ゆうちょ銀行
 預金:○○銀行

相続登記に必要な戸籍除籍謄本・住民票(除票)

相続登記に基本的に必要な書類は、相続登記の必要書類を参考にしてください。

(1)被相続人父の出生から死亡までの除籍謄本
    ➡ 父が母と結婚し、相続人の子が2名(長男・長女)だけであることを証明します。
(2)被相続人父の住民票(死亡時の住民票)または戸籍の附票
    ➡ 登記上の住所と死亡時の住所が同じか、その経過を証明します。
(3)相続人の母と長女の
   ① 戸籍謄本(母と長女)
   ② 住民票(母)
   ③ 印鑑証明書(母と長女)
(4)遺産分割協議書(相続人の母と長女が署名・実印を押印します。)
(5)長男
   ① 相続放棄申述受理通知書(長男が相続放棄をしたことを証明)
   ② 戸籍謄本(長男が法定相続人であることを証明)

相続関係説明図には、長男を「相続放棄」と記載します。

相続関係説明図の書き方を参考にしてください。

これらが揃いましたら、相続登記を申請できます。
この際、預貯金の相続手続で「法定相続情報一覧図の写し」の証明書を取得する必要があれば、登記の申請と一緒に「申出書」などを法務局(登記所)に提出します。預貯金など不動産以外の相続手続が多数ある場合は、この法定相続情報証明書を取得した方がよいでしょう。
事例では、預貯金の金融機関が2か所ですので、「法定相続情報一覧図の写し」の証明書を取得しなくてもよいでしょう。

相続登記申請の内容

遺産分割協議書での相続登記の方法を参考にしてください。

父名義の相続登記(一部省略)

登記の目的 所有権移転
原   因 〇年〇月〇日(父の死亡日)相続
相 続 人(被相続人 父)
     (住所)横浜市栄区○○
     (氏名 母)○○
課税価格  金11,000,000円
登録免許税 金44,000円
不動産の表示
 横浜市栄区の土地
 横浜市栄区の建物

登記の申請先法務局:横浜市栄区を管轄する登記所は、横浜地方法務局栄出張所

相続登記完了後の権利証(登記識別情報)

相続登記が完了しますと、新たな名義人となった母には、登記識別情報通知(権利証)が発行されます。相続登記の完了後に発行される登記識別情報とは、どういうものですか。を参考にしてください。

相続登記にかかった費用

相続登記費用
司法書士報酬:約60,000円
登録免許税・証明書:約50,000円
合計:約110,000円

横浜市栄区の相続登記や相続については、当司法書士事務所にご相談ください。

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