遺産分割協議書での相続登記の方法

遺産分割協議書での相続登記(不動産名義変更)の方法

法定相続人が2人以上いる場合に、遺産のうち不動産を誰が相続により取得するのか、また、誰と誰がどういう割合(持分)で取得するのか、遺産の分配方法を話し合い、その結果を書面にして登記(名義変更)するのが、遺産分割協議書での相続登記(不動産名義変更)です。

法定相続人が誰になるのかは法定相続人を、遺産分割の目安となる法定相続分を参考にしてください。
法定相続人の中に相続放棄(家庭裁判所の手続)をした人がいる場合は、この人を除いて遺産分割協議をします。(相続放棄をした人を除いた他の法定相続人全員で遺産分割協議書に署名・実印を押印します。)相続放棄をした人は、この人の戸籍謄本と相続放棄申述受理通知書を添付書類として登記所(法務局)に提出します。

遺産分割協議書について

遺産分割協議に参加できる人:遺産分割協議書に署名・実印を押印できる人

遺産分割協議書には、法定相続人全員(相続放棄した人を除いて)が署名・実印を押印します。
法定相続人の中に次の方がいる場合は、別途、次の手続が必要です。

  • 認知症の方がいる場合:認知症の方の代わりに成年後見人が署名・実印を押印します。
    次を参考にしてください。相続登記と成年後見人
  • 未成年者がいる場合:配偶者も相続人となる場合、未成年者の代わりに未成年者特別代理人が署名・実印を押印します。次を参考にしてください。相続と未成年者特別代理人選任申立方法
  • 行方不明者がいる場合:行方不明者の代わりに不在者財産管理人が署名・実印を押印します。次を参考にしてください。相続と不在者財産管理人

遺産分割協議書の内容について

遺産分割協議書の作成方法は、遺産分割協議書の書き方を参考にしてください。

  • 遺産すべてについて協議(話し合い)し、1枚の遺産分割協議書にすべての遺産を記載するのが原則ですが、個々の遺産ごとに遺産分割協議書を作成することも可能です。問題ありません。
  • 遺産分割協議書は相続人全員が連署・実印を押印するのが原則ですが、相続人個々別々に作成して、個別に署名・実印を押印する形でも可能です。問題ありません。

遺産分割協議書での登記で基本的に必要な書類

ケース1:法定相続人が配偶者と子(父母も同じ)

被相続人の必要書類
(1)出生から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
   第二次世界大戦時に戦災などで戸籍関係書類が焼失している場合は、次の書類が必要です。
   ①「戸籍関係書類を発行できない旨の役所の証明書」
   ②「上申書(他に相続人がいないこと)」:法定相続人全員が署名・実印を押印します。
   ③ ②の場合は「法定相続人全員の印鑑証明書」
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または
   除かれた戸籍の附票(本籍地記載が必要)
   これを取得できない(役所の保存期間5年の経過)場合、次のいずれかの書類が必要です。
   ①被相続人名義の権利証(登記済権利証または登記識別情報通知
   ②除籍謄本などで被相続人の「本籍」と「登記上の住所」が一致する場合、
    原本還付の方法で「その除籍謄本などのコピー(原本に相違ないことの署名押印)」を提出します。
   ③:①②の方法が不可能な場合、「上申書(被相続人が登記名義人に相違ないこと)」を提出します。
    この上申書に法定相続人全員が署名・実印を押印します。法定相続人全員の印鑑証明書を提出します。

法定相続人の必要書類
(1)戸籍謄本(被相続人死亡日以降に取得したものが必要です。)
(2)住民票(名義人となる法定相続人)
(3)印鑑証明書

相続関係説明図を作成します。
その他の書類
 不動産の固定資産税評価証明書(東京23区の場合は都税事務所の評価証明書)
 委任状

登記申請書の書き方は相続登記申請書の書き方を参考にしてください。

ケース2:法定相続人が配偶者と兄弟姉妹

ケース1の書類の他に、被相続人の父母の出生から死亡までの除籍謄本なども必要となります。これは、相続人の兄弟姉妹が全員で誰と誰であることを証明するためです。また、被相続人の祖父母が死亡していることの除籍謄本などが必要です。

複雑な数次相続など

数次相続(相続が第1、第2,第3と続く)の場合などは、必要書類などが異なりますので、次のページを参考にしてください。
数次相続登記の方法(基本)
数次相続の登記の方法(遺産分割と法定相続)
数次相続と1件申請による相続登記の方法
数次相続と相続放棄(限定承認)
数次相続と遺産分割調停書記載事項
数次相続登記(遺産分割協議が2回必要な場合)
数次相続と相続登記の方法
法定相続登記をした後の遺産分割による登記
法定相続登記後に遺産分割協議(調停)が成立した時の登記の方法
相続財産の遺産分割協議書の作成方法
代償分割による相続登記
遺産分割協議の成立後に相続人が死亡した場合
数次相続の遺産分割協議書・相続関係説明図の作成方法と登記の方法
相続登記と家庭裁判所の遺産分割調停調書
遺産分割協議書のハンコ代(相続相談)
代襲相続の遺産分割協議をする相続人
「何も相続しない旨の遺産分割協議書」や「相続放棄書」は使えるのか
遺産分割協議書作成と「不動産の表示」記載方法
遺産分割決定書と数次相続
法定相続か遺産分割かの選択(相続の仕方)
20年以上前の「法定相続登記」を遺産分割で移転登記
不動産売却のための換価分割と代償分割
相続分譲渡と遺産分割調停調書(相続登記相談)
遺産分割協議の進め方:相続人の中に頑として全部相続したい人がいるとき

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