相続登記と預貯金の相続解約払い戻し方法:被相続人の立替金を相続人以外の第三者が立替えていた時の遺産分割協議の方法

相続登記と預貯金の相続解約払い戻し方法:被相続人の立替金を相続人以外の第三者が立替えていた時の遺産分割協議の方法

【相続登記相談】
被相続人の甥(母が被相続人の相続人(妹))が、被相続人の生前、被相続人が病院にかかった費用を立て替えていました。
相続人は、この甥(相談者)の母(妹)と、被相続人(亡)兄の子(甥)の二人です。
(亡)兄の子(甥)は、被相続人の財産(不動産と預金)の半分以上を相続したいと、当初は考えており、
なかなか遺産分割協議に応じようとはしませんでした。
その後、(亡)兄の子(甥)は、被相続人の相続開始から随分、月日が経ったことから遺産分割協議に応じる旨、連絡をしてきました。
この場合、相談者としては、(亡)兄の子(甥)に対し、遺産分割の内容をどのような内容とすれば、遺産分割協議の交渉が上手くいくでしょうか。
なお、(亡)兄の子(甥)は、預金の金融機関から「相続手続依頼書など」を入手していたという事実がありますので、民法の規定による預金の引き出しをしていた可能性があります。

相続関係図

【被相続人の相続財産】
不動産 評価価格:2,000万円
預金:2,200万円
債務(第三者の立替金):200万円

相続人(妹と甥)の法定相続分(兄弟姉妹の相続)に相当する金額の計算方法
2,000万円+2,200万円-200万円=4,000万円
4,000万円×1/2=2,000万円
以上の計算から、一人当たり2,000万円ということになります。

相続登記と預貯金の相続解約払い戻し手順

次の手順で、相続登記と預貯金の相続解約払い戻しを行います。

  1. 被相続人・相続人の除籍・戸籍謄本、戸籍の附票の取得、印鑑証明書の取得
  2. 預金の金融機関に「入出金明細書」を請求する
  3. 第三者(相談者)が立替えていた金額の確定
  4. 遺産分割協議書(案)の作成
  5. 遺産分割協議書(案)の提案
  6. 不動産の相続登記
  7. 預金の相続手続(解約払戻し手続)
  8. 各相続人への金銭の分配

被相続人・相続人の除籍・戸籍謄本、戸籍の附票の取得、印鑑証明書の取得

次の最初に「入出金明細書」を請求するためと、相続登記と預貯金の相続解約払い戻しをするため、相続人・相続人の除籍・戸籍謄本、戸籍の附票の取得、印鑑証明書などを取得します。
相談事例の場合、被相続人の相続人が兄弟姉妹(甥)であるため、これらの取得には時間がかかると思われます(約1か月)。被相続人の出生時から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)を参考にしてください。

預金の金融機関に「入出金明細書」を請求する

「(亡)兄の子(甥)は、預金の金融機関から「相続手続依頼書など」を入手していたという事実がありますので、民法の規定による預金の引き出しをしていた可能性があります。」ということですので、預金の引き出しがあったのかどうかを確認します。

民法(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

民法 | e-Gov法令検索

このためには、「入出金明細書」を金融機関に請求します。入出金明細書は、相続人のうち一人から請求できます。
「入出金明細書」は、遺産分割協議書の内容を相手方に提案するときに、相手方が受け取るべき金額を正確に記載する必要がありますので、被相続人の生前3年前(おおよそ)から入出金明細書の請求日(現在)までの入出金明細書が必要です。

相談者が入出金明細書を取得した結果、(亡)兄の子(甥)が民法の規定により引き出した事実はありませんでした。これで預金額が確定します。

第三者(相談者)が立替えていた金額の確定

第三者(相談者)が立替えていた金額を確定させるために、病院の領収書の支払金額をまとめ、計算書を作成します。また、相手方(亡)兄の子(甥)に資料として渡すため、すべてコピーします。

遺産分割協議書(案)の作成

(亡)兄の子(甥)に対し、遺産分割協議書(案)を作成し、提案します。
相談者の母が、次のどちらの遺産分割協議書の内容でよい場合は、遺産分割協議書を二通り作成し、相手方に、どちらかを選択してもらいます。

遺産分割協議書(A案):妹が不動産を取得する場合
   遺産分割協議書(一部省略)
被相続人:○○(昭和〇年〇月〇日生)の令和〇年〇月〇日死亡により開始した相続につき、同人の相続人全員において遺産分割協議を行った結果、下記のとおり決定した。
   記
相続人 妹○○は、次の遺産を取得する。
【不動産】(省略)
相続人 妹○○、甥○○は、次の遺産を取得する。
【預金】
○○銀行 ○○支店
普通預金 口座番号 ○○○○ 残高:2,200万円(A)(令和〇年〇月〇日現在)
 上記預金の相続解約手続き完了後、○○銀行からの支払を受けた後、被相続人のために妹の甥○○が立替えていた金200万円(B)(別紙明細書参照)を妹の甥○○に支払った後の残額について、妹○○、甥○○が各2分の1の割合で取得する。
妹○○、甥○○に分配する金額
 (A)2,200万円-(B)200万円=2,000万円(C)
(1)妹が受け取るべき金額の計算方法は、次のとおりである。
  (C)2,000万円×1/2=1,000万円
(2)甥が受け取るべき金額の計算方法は、次のとおりである。
  (C)2,000万円×1/2=1,000万円
代償金の支払い
妹○○が不動産を取得することになるので、その代償金として金1,000万円を甥○○に支払う。

この遺産分割協議書の内容にしたがい、妹は、甥に対し合計2,000万円を支払うことになります。

遺産分割協議書(B案):甥が不動産を取得する場合
   遺産分割協議書(一部省略)
被相続人:○○(昭和〇年〇月〇日生)の令和〇年〇月〇日死亡により開始した相続につき、同人の相続人全員において遺産分割協議を行った結果、下記のとおり決定した。
   記
相続人 甥○○は、次の遺産を取得する。
【不動産】(省略)
相続人 妹○○、甥○○は、次の遺産を取得する。
【預金】
○○銀行 ○○支店
普通預金 口座番号 ○○○○ 残高:2,200万円(A)(令和〇年〇月〇日現在)
 上記預金の相続解約手続き完了後、○○銀行からの支払を受けた後、被相続人のために妹の甥○○が立替えていた金200万円(B)(別紙明細書参照)を妹の甥○○に支払った後の残額について、妹○○、甥○○が各2分の1の割合で取得する。
妹○○、甥○○に分配する金額
 (A)2,200万円-(B)200万円=2,000万円(C)
(1)妹が受け取るべき金額の計算方法は、次のとおりである。
  (C)2,000万円×1/2=1,000万円
(2)甥が受け取るべき金額の計算方法は、次のとおりである。
  (C)2,000万円×1/2=1,000万円
代償金の支払い
甥○○が不動産を取得することになるので、その代償金として金1,000万円を妹○○に支払う。

この遺産分割協議書の内容にしたがい、甥は、妹に対し合計2,000万円を支払うことになります。

不動産の相続登記の方法

不動産の相続登記の方法は、遺産分割協議書による相続登記を参考にしてください。

預金の相続手続(解約払戻し手続)

預金の相続手続(解約払戻し手続)は、預貯金の相続手続の方法を参考にしてください。

まとめ:相続登記と預貯金の相続解約払い戻し方法:被相続人の立替金を相続人以外の第三者が立替えていた時の遺産分割協議の方法

被相続人の立替金を相続人以外の第三者(相続人自身を含む)が立替えていた場合で、相続人の中に遺産分割について不審に思っていたり、難色を示していた場合は、遺産分割による分配金を正確に計算するため、まず、現在の入出金明細書を金融機関で取得します。さらに、第三者が立替えていた支払明細書を、支払い領収書のコピーととも作成します。
その上で、遺産分割協議書を作成し、相手方に提示するという方法がよいでしょう。

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