預貯金の相続手続の方法

預貯金の相続手続の方法

被相続人の遺産に、不動産がなく、預貯金のみの相続手続について、説明いたします。

金融機関での預貯金の相続手続

金融機関での預貯金の相続手続では、手続をする前に、まず、被相続人と相続人との相続関係を証明するために、被相続人の出生まで遡って除籍謄本などが必要となります。これは、被相続人の除籍謄本の取得方法でご確認ください。そのほか、法定相続人は、戸籍謄本、印鑑証明書が必要です。(通数は各1通です。)

また、法定相続情報一覧図の写しの証明書があれば、これを金融機関に提出します。法定相続情報証明(略して)は、次の書類を揃えて、法定相続関係の一覧図を作成し、これらを登記所に提出し、この証明書を発行してもらいます。 法定相続関係の一覧図の作成は、少し難しいかもしれません。
この「法定相続情報一覧図の写し」の証明書があれば、この証明書1枚(1ページ)で発行されますので、被相続人と法定相続人の戸籍謄本や除籍謄本、住民票など何通も金融機関に提出する必要はありません。

遺産分割で遺産を分ける場合、遺産分割協議書も必要です。ただし、金融機関の預貯金相続払戻し請求書に相続人全員の署名・実印の押印があれば、あえて遺産分割協議書を作成しないとすることもできます。
遺産分割協議書は、原本の返却を申し出れば、金融機関が返却してくれます。

金融機関に提出する印鑑証明書の有効期間は、通常6か月です。金融機関の相続手続の案内書に記載されています。

遺産分割協議書を作成する場合

  1. 預貯金が多数ある場合には、遺産分割協議書を作成して、相続人のうちのどなたが、どの預貯金を相続するかを決めます。
    もっとも、法定相続分とすることもできます。
    金融機関からは、遺産分割協議書の原本を返却してもらいます。
  2. 預貯金が多数ある場合、遺産分割協議書1通を作成し、すべての預貯金について記載します。
    この場合、法定相続人がそれぞれ保管する通数の遺産分割協議書を作成します。
  3. 金融機関での預貯金の手続では、遺産分割協議書に実印を押印して、必ず、法定相続人全員の印鑑証明書が必要となります。

遺産分割協議書を作成しない場合

各金融機関指定の用紙に、記入します。
預貯金が多数ある場合は、すべての金融機関の指定用紙に、法定相続人全員が署名、実印の押印をします。預貯金の数が少ない場合は、わざわざ遺産分割協議書を作成することもなく、金融機関の指定用紙でよいでしょう。

当事務所に預貯金のみの相続手続を依頼される場合

当事務所に、遺産分割協議書の作成を依頼される場合、報酬は、22,000円(税込み)です。
被相続人の除籍謄本などの取得を依頼される場合、報酬は、22,000円(税込み)です。
法定相続情報一覧図の証明書の取得を依頼される場合、報酬は、33,000円(税込み)です。
(以上、実費は別途お支払いいただきます。)

金融機関での相続手続

金融機関での手続では、上記の書類の他、金融機関指定の解約払い戻し名義変更請求用紙に、預貯金の払出しを受ける相続人が署名、実印を押印します。ただし、遺産分割協議書を作成していない場合は、相続人全員が金融機関指定の解約払い戻し名義変更請求用紙に、署名・実印を押印します。
預金・貯金(預貯金)の相続手続の依頼(料金)を参考にしてください。

相続手続の順番

金融機関の預貯金の手続は、相続証明書など原本を返却してもらいますので、それぞれの金融機関に順番に手続をします。ただし、各金融機関で同時に手続をする場合、相続証明書など必要書類を金融機関ごとに用意します。
基本的に手続は、各金融機関の窓口に行かれ(または、金融機関と郵送での手続で)、ご自身で行っていただきます。

金融機関での手続きについては、各金融機関で対応が異なりますが、おおよそ次のようなパターンです。また、金融機関での手続では、事前に予約が必要な所がほとんどですので、出向く場合は、事前に日時を予約した方がよいでしょう。

(1)
 まずは、金融機関の「相続手続センター」に電話して、相続手続について問い合わせをしてみるのがよいでしょう。そうしますと、相続手続書類を郵送してくれる場合もあります。
 こういう金融機関は、その後の手続をすべて郵送で行うことができます。

 問い合わせの結果、金融機関の支店に出向いてください、と言われる場合もあります。この場合は、支店に出向いて相続手続の書類を受け取ります。この際、被相続人や相続人の戸籍謄本、除籍謄本、印鑑証明書など一式を持参します。そうしますと、金融機関が相続手続の書類を渡してくれます。(あるいは、後日、相続手続の書類を郵送してくれます。)

(2)
 支店に出向いて手続を行う場合、別の日に、相続手続の書類(署名捺印がされたもの)を持参して、正式に金融機関に依頼します。その後は、金融機関が内部審査と処理を行いますので、後は、預貯金の振り込みなど手続の完了書類を待つだけとなります。(完了書類が郵送されます。)

相続手続書類が揃ってから振込みなど完了するまでの期間は、各金融機関で異なり、おおよそ2週間から4週間かかります。

金融機関での手続を当事務所に依頼される場合は、旅費日当込みで、金融機関1行当たり55,000円(税込み)となります。ただし、不動産の名義変更登記も依頼される場合は、1行当たり33,000円(税込み)です。

遺産分割前の預貯金の法定相続分での請求: 預貯金債権の仮払い制度(2019年相続法改正)

預貯金のうち、相続開始の時にある預貯金額の3分の1に法定相続分を乗じた金額については、法定相続人の一人が単独で、遺産分割協議前に権利行使(預貯金の引き出し)することが可能となりました。
ただし、1つの金融機関につき150 万円を限度とします(平成30 年法務省令第29 号)。

例えば、ある金融機関の預金額が500万円で、引き出そうとする法定相続人の法定相続分が2分の1の場合、
500万円×1/3×1/2=833,333円
833,333円を引き出せることになります。

例えば、ある金融機関の預金額が1,000万円で、引き出そうとする法定相続人の法定相続分が2分の1の場合、
1,000万円×1/3×1/2=1,666,666円>150万円
150万円を引き出せることになります。

民法(遺産の分割前における預貯金債権の行使
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

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