相続登記の際に共有者相続人の住所変更登記も一緒に行う。

相続登記の際に、一緒に「共有者相続人の住所変更登記」を

被相続人の相続登記を行うとき、共有者の相続人の「登記されている住所」と「現在の住所」が異なる場合は、共有者相続人の住所変更登記をした方がよいでしょう。

【理由】
(1)令和8年から住所変更登記の義務化が開始されます。住所変更登記を2年以内にしない場合、過料に処せられる可能性があります。
(2)住所変更登記をしないときは、所有者になったにもかかわらず、「共有者」として記載されてしまうことがあります。

【事例】
土地:被相続人の単独所有
建物:被相続人と配偶者の共有

配偶者の登記上の住所:「川崎市・・・」
配偶者の現在の住所 :「横浜市・・・」

登記記録:土地:被相続人の単独所有

登記記録:建物:被相続人と配偶者の共有

相続登記など登記の準備をするときは、必ず登記記録の確認を

相続登記の場合も、ほかの登記の場合も、登記する準備段階では、現在の登記記録の内容を必ず確認します。

もし、事前に登記記録の内容を確認しないで、必要書類の準備や登記申請書の作成をした後、法務局に申請書類一式を提出(申請)した場合、登記されている内容と申請書類の内容が不一致であることにより、法務局の担当官から、申請を取下げて、もう一度、申請し直すように言われることがあります。

事前に登記記録の内容を確認しないで、登記申請するということは、例えば、真っ暗なトンネルの中をライトをつけないで車で走行するようなものです。

また、相続不動産の一部を申請書に記載しなかったことにより、後になって(数年後、数十年後)、登記されていない不動産を発見することがあります。
こういうことは、稀ではなく、よくありうることですので、必要書類の準備をするときは、登記記録の内容をよく確認した方がよいでしょう。
次を参考にしてください。
相続不動産の特定の方法(土地)
相続不動産の特定方法(マンション)
相続登記をした後、登記漏れの不動産を発見したときの登記の方法
意外と重要な「相続登記申請前の不動産の確認」と「相続登記完了後の登記内容の確認」方法

登記記録の確認・取得方法

登記記録の確認・取得方法は、次のとおりです。
(1)インターネットで登記記録情報を入手します。
   登記情報提供サービスを参照してください。
(2)法務局(登記所)に出向いて、登記事項証明書(登記簿謄本)を申請・取得します。
   法務局は、最寄りの法務局で日本全国の登記事項証明書を入手できます。

相続登記のみをした場合

【相続登記】
(1)土地について、「相続」で所有権移転登記
(2)建物について、「相続」で被相続人持分全部移転登記

相続登記の方法は、相続登記申請書の書き方を参考にしてください。

完了後の登記記録:土地

完了後の登記記録:建物

このように、配偶者の住所変更登記をしませんと、相続登記をした配偶者の登記されている住所・氏名の欄には、「共有者」と記載されてしまいます。

これは、配偶者が被相続人と共有で登記されていた住所:「川崎市・・・」と、相続登記をした配偶者の登記されている住所:「横浜市・・・」とが異なることから、この配偶者は、登記上、別人扱いとなるためです。

これが、前者と後者の住所が同じであれば、同一人物扱いとなり、相続登記をした配偶者の登記されている住所・氏名の欄には、「所有者」と記載されることになります。

相続登記と住所変更登記の申請の順番は

そこで、建物の共有者である配偶者の住所変更登記をします。
ただし、相続登記の申請を先にして、住所変更登記を後に申請しますと、前述と同じ結果となりますので、この順番を反対にして登記申請します。

配偶者の住所が登記上と現在の住所が異なる場合、次の順番で登記申請します。これらの申請を連件で同時に行います。

(1)建物について、配偶者の住所変更登記(所有権登記名義人住所変更)
    → 先に住所変更登記をします。
(2)土地について、「相続」で所有権移転登記
(3)建物について、「相続」で被相続人持分全部移転登記

住所変更登記(所有権登記名義人住所変更)の方法は、住所変更登記申請書の書き方を参考にしてください。

完了後の登記記録:建物

まとめ:共有者相続人の住所変更登記

相続登記やそのほかの登記する場合、必ず、登記記録の内容を確認します。特に、名義人(所有者・共有者)の「住所」と「氏名」(「持分」)を一字一句、よくよく確認するようにします。
そのうえで、住所変更登記をする必要があるのであれば、必ず、住所変更登記も一緒にするようにします。

相続登記については、当司法書士事務所にご相談ください。

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