公正証書遺言書で相続登記(法務局2か所):相続登記相談

公正証書遺言書があり、不動産が2か所の法務局の場合に、相続登記の方法と司法書士に依頼する場合の相続登記費用を教えてください。

【相続登記相談】
被相続人父が生前、作成した公正証書遺言書があります。
相続人は母、子1名、代襲相続人の孫2人の計4人です。孫の1人は15歳の未成年者です。
手続上、未成年者がいることで書類が増えたり面倒であれば18歳(成人)を待って手続きをすることも考えています。遺言執行者が、母か子の各自単独で行えます。
不動産は、横浜市と千葉市の2か所にあります。
横浜市の土地・建物の評価価格の合計が、3,000万円です。
千葉市の土地・建物の評価価格の合計が、1,000万円です。
この場合、相続登記の方法と司法書士に依頼する場合の相続登記費用がどのくらいかかるのかを教えてください。

基本的な相続登記の方法:公正証書遺言書

登記申請人となれる人は:「不動産を取得した相続人」か遺言執行者か

令和元年6月30日までに作成された遺言書では、「不動産を取得した相続人」のみが単独で申請することができます。遺言書に遺言執行者が指定されている場合であっても、遺言書執行者に登記申請権限はありません。
したがいまして、司法書士事務所に相続登記を依頼する場合、「不動産を取得した相続人」のお母様に、司法書士への委任状に署名捺印をいただくことになります。
令和元年7月1日以降に作成された遺言書では、「不動産を取得した相続人」と遺言執行者どちらでも申請者となることができます。
次を参考にしてください。
遺言書に基づいて遺言執行者が相続登記(不動産名義変更)を単独で申請できるのか

法定相続人全員の戸籍謄本が必要か

公正証書遺言書(公証役場で作成)で相続登記をする場合、「不動産を取得した相続人」のお母様の戸籍謄本のみで登記します。ほかの法定相続人の戸籍謄本と署名捺印は必要ありません。
したがいまして、法定相続人の中に未成年者(18歳未満)がいたとしても問題ありません。
次を参考にしてください。
遺言書での相続登記の方法

相続登記の必要書類:公正証書遺言書

公正証書遺言書で相続登記をする場合で、被相続人が父、「不動産を取得した相続人」が母の場合は、次の書類が必要となります。

(1)公正証書遺言書(正本・謄本のどちらか1通)
(2)被相続人の父
  ① 戸籍謄本(死亡時の) 1通(父と母が記載されています。)
    → 母が父の配偶者であることを証明できれば問題ありません。
      法定相続分での登記遺産分割協議書による登記のように、
      父の出生から死亡までの除籍謄本などは必要ありません。
  ② 住民票の除票(死亡時の)1通(本籍が記載されているものをご用意ください。)
    次を参考にしてください。
    被相続人の「最後の住所証明書」を取得する理由
(3)「不動産を取得した相続人」の母
  ① 住民票 1通
  ② 認印:委任状に署名捺印をいただきます。
    (実印と印鑑証明書は、必要ありません。)
(4)横浜市と千葉市の固定資産税納税通知書・課税明細書の原本
   → 場合によって、固定資産「評価証明書」が必要な場合があります。
     これは、登記する不動産が固定資産税納税通知書・課税明細書に記載されていない場合です。公衆用道路(私道)のように評価価格が0円や非課税の場合です。
(5)権利証:横浜市と千葉市
   → 不動産の特定と場合によって権利証が必要となります。
     次を参考にしてください。
     「登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明する」ことの重要性

不動産が2か所の法務局:相続登記の方法

戸籍謄本などの必要書類は、基本的に各1通を取得しますので、不動産を管轄する法務局が2か所の場合、2か所を同時に申請することができません。これは、委任状を除く戸籍謄本などを、原本還付によって、法務局からその原本を返却してもらいたいときは、登記完了まで、その原本を法務局に預けることになるからです。

登記完了予定日(申請した時から完了までの日)は、通常、約2週間です。(法務局により異なります。)法務局1か所を申請・完了後、法務局2か所目を申請します。法務局2か所の場合、通常、申請から完了まで約4週間かかることになります。
どうしても、法務局2か所の登記を早く完了させたいときは、公正証書遺言書を含めて戸籍謄本など必要書類を各2通用意することになります。

相続登記費用について

横浜市の土地・建物の評価価格の合計が、3,000万円の場合
千葉市の土地・建物の評価価格の合計が、1,000万円の場合

相続登記費用
実費:163,248円(登録免許税と登記証明書)
報酬:85,000円+8,500円(消費税)
合計:256,748円

実費について

(1)登録免許税:登記申請の際、法務局に納める税金です。

税率は、土地・建物の固定資産税・評価価格の0・4%です。

登録免許税計算

【横浜市の評価価格】
土地 :2,900万円
建物:100万円
合計:3,000万円
3,000万円×0・4%=120,000円(登録免許税)

【千葉市の評価価格】
土地 :900万円
建物:100万円
合計:1,000万円
1,000万円×0・4%=40,000円(登録免許税)
(2)登記記録情報の確認

物件1個について332円。土地と建物2個で664円。
登記記録を登記申請前に確認します。現在、登記されている内容を確認することが重要です。
委任状や登記申請書の作成前に確認します。
特に、現在の所有者(被相続人)の住所・氏名(持分)を確認することが重要です。

(3)登記完了後の登記事項証明書

1通について480円。土地と建物2個で960円。
登記完了後、登記記録の証明書(登記全部事項証明書)を取得します。
申請した内容が正しく登記されているかどうかを確認します。

司法書士報酬について

司法書士報酬は、基本報酬:55,000円。
2か所目法務局が30,000円。
これに消費税10%がプラスされます。

相続登記については、当司法書士事務所にご相談ください。

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