台湾戸籍除籍謄本の取得方法

台湾戸籍除籍謄本の取得方法

台湾戸籍除籍謄本を取得する必要性

相続登記(不動産名義変更)や預貯金の相続手続で、被相続人・相続人が台湾籍の方がいる場合、台湾には、日本と同様に戸籍制度がありますので、これらの相続手続を行う場合は、台湾の役所(戸政事務所)で、戸籍除籍謄本を取得する必要があります。
被相続人・相続人が台湾籍の方の場合であっても、戸籍がない場合は、被相続人が台湾の方の相続登記(戸籍証明書がない場合)を参考にしてください。

台湾戸籍除籍謄本の取得方法

台湾戸籍除籍謄本を取得する方法には、次の二通りの方法があります。
(1)自分が台湾に赴いて取得するか、台湾にいる親戚などに戸籍除籍謄本の取得を依頼する。
(2)台湾の地政士(日本の司法書士のような仕事をしている)か弁護士事務所に、戸籍除籍謄本の取得を依頼する。

台湾戸籍除籍謄本を取得する場合の台湾の証明書発行の現状

台湾戸籍除籍謄本の取得は、日本の戸籍除籍謄本と多少異なり、一般の方が取得するには難しい面があります。日本では、戸籍の経過を辿ることによって、被相続人の戸籍を取得することは、台湾戸籍の取得に比べて容易ですが、台湾では、これが難しいと言えます。このことは、台湾では、戸籍除籍謄本の発行について、次のような事情があるためです。

2010年7月からは全国の戸籍ネットワークがオンラインで接続され、コンピューターを通じて戸籍に記載されている先祖を検索することができます。(中華民国(台湾)外交部のホームページから引用)

現在の台湾戸籍は、全国的にコンピューターによるオンライン管理がなされており、日本と異なり、違う戸政事務所の管轄の戸籍除籍謄本も取得が、基本的には可能です。一つの戸政事務所で、例えば、台北市・台中市・台南市などで、すべての戸籍除籍謄本を取得できます。

台湾は、現在、戸籍と住民票が一体の扱いです。台湾の戸籍は、住所登録としての要素もあるため、戸籍の中に住所の記載があります。そのため、戸籍が住所を証明する書類としても機能します。

また、台湾戸籍は、個人情報保護法により、現在、基本的には、謄本(全部事項証明)ではなく、抄本(一部事項証明)で発行しています。相続手続に使用する場合であっても、台湾国内では、抄本(一部事項証明)で発行しています。
しかし、日本など海外で相続手続に使用する台湾戸籍を謄本(全部事項証明)で発行するように請求することができます。ただし、発行する台湾の役所では、このような事情を理解できない担当者がいるため、一般の方が請求する場合は、必ずしも、台湾戸籍が謄本(全部事項証明)で発行されるとは限りません。

台湾人が、台湾から出国し、2年経過後、海外から台湾に戻らない場合、戸籍が自動的に「遷出」措置がなされます。これは、日本でいうところの「除籍」(正確には、「除籍」ではなく「回復」できる。)となります。
「遷出」は、人口状況を正確に把握するための措置です。「遷出」措置がされた場合、海外から入国し、申請すれば戸籍を回復できることになっています。このため、海外で生活している台湾の方は、戸籍から「遷出」されてしまうため、戸籍の経過が途切れることになります。

無戸籍の方の入国許可方法が台湾にある。

台湾戸籍のない人は、次の方法で、台湾に入国します。
申請資格:海外(日本含む)生まれで台湾国内に戸籍(=身分証番号)がない方。
戸籍がない方は、入出国及び移民法5条規定により、台湾入国の際に有効な臨人字號入國許可の提示を求められます。
「提示出来ない場合は入国出来ませんので、余裕を持って事前に申請してください。申請された方も、有効期限にご注意ください。」(中華民国(台湾)外交部のホームページから引用)

台湾以外で生まれた台湾籍夫婦の子が、台湾戸籍に登録されていなかったことを想定して、中華民国(台湾)外交部が、「無戸籍の方の入国許可」について、その入国許可方法をホームページ上で説明していることは、台湾以外で生まれた台湾籍夫婦の子が、台湾において戸籍登録をすることがないこともあるからです。

台湾戸籍除籍謄本は、台湾の戸政事務所で取得する。

台湾戸籍除籍謄本を台湾の戸政事務所に、直接、郵送で請求することもできますが、通常は、確実に台湾戸籍を取得するには、(1)自分が台湾に赴いて取得するか、台湾にいる親戚などに戸籍除籍謄本の取得を依頼します。(2)台湾の地政士(日本の司法書士のような仕事をしている)か弁護士事務所に、戸籍除籍謄本の取得を依頼します。
この場合の方法については、台湾戸籍謄本の取得についてを参考にしてください。
自分の代わりに、台湾の人に戸籍除籍謄本取得の依頼をする場合は、依頼する人の住所地を管轄する台北駐日経済文化代表処(大使館・領事館のような所)で「委任状」を認証してもらい、これを台湾の代理人に郵送することが必要です。

文書の認証などのついては、次を参考にしてください。(日本語で対応しています。)
台北駐日経済文化代表処(大使館・領事館のような所)

台湾戸籍の取得を台湾の親戚など一般の人に依頼するのか、地政士・弁護士事務所に依頼するのか、どちらに依頼したらよいのか。日本における相続登記(不動産名義変更)や預貯金の相続手続を確実に行うということを念頭に置いた方がよいでしょう。
台湾の親戚など一般の人に依頼するのか、地政士・弁護士事務所に依頼するのか、のメリット・デメリットは、次のとおりです。

台湾の親戚など一般の人に依頼する場合

メリット:戸籍除籍謄本の手数料(実費)や郵送料の負担だけで済む。費用が安い。
【デメリット】
特に、被相続人の出生から死亡までの戸籍除籍謄本を正確に取得するのが難しい。(被相続人の死亡届をしていない場合もある。)
この難しさは、代理人となって取得する一般の人(本人が台湾に出向いて取得する場合も同じ)が、前述したとおり、役所の人に正確に説明することが難しいこと、このため、役所の人が理解できず、正確に全部発行することができない場合がよくあることが原因です。
このことにより、日本での相続手続に必要な戸籍除籍謄本が不完全な状態となってしまいがちです。
この不完全さは、例えば、戸籍除籍謄本の一部がない、出生から死亡(死亡届がされていない場合もある)までの経過を証明できない、昔の紙の戸籍であっても、除籍謄本ではなく、除籍抄本で発行されてしまう、全部証明ではなく、一部証明で発行されてしまう、全部証明と一部証明が混在して発行されてしまう、などがあります。

このことは、代理人となって取得する一般の人(本人が台湾に出向いて取得する場合も同じ)が取得した場合、「役所の人が、これで全部です。」と言ったとしても、完全ではないことは、戸籍除籍謄本を見れば、一目瞭然のこととなります。
また、一部の証明書がないのであれば、「ないことの証明書」を発行することを請求しても、台湾では、「ないことの証明書」を発行していません。
日本の戸籍の場合は、「ないことの証明書」は、「戦災で焼失した」や「保存期間の経過」で発行できない旨の証明書を発行してくれます。
台湾戸籍の場合は、「ないことの証明書」を発行していませんので、「ないこと」の根拠を、日本の手続先である法務局に「上申書」で説明する必要があります。

このように考えますと、台湾戸籍除籍謄本を代理人となって取得する一般の人(本人が台湾に出向いて取得する場合も同じ)が取得する場合、お金は、最小限(実費と郵送料)に抑えることができますが、戸籍除籍謄本が不完全の状態となってしまう確率が高くなりますので、日本での相続手続が難しくなると言えます。この場合、再度、台湾で戸籍除籍謄本を取得しなおさなければならないこともあるということになります。

地政士・弁護士事務所に依頼する場合

【メリット】
台湾戸籍除籍謄本を代理人となって取得する一般の人(本人が台湾に出向いて取得する場合も同じ)が取得する場合は、前述のとおり、不完全な戸籍除籍謄本を取得する可能性が高くなりますので、これを台湾の地政士・弁護士事務所に依頼すれば、完璧でない場合であっても、これ以上、戸籍除籍謄本がないことを、この地政士・弁護士事務所が証明してくれますので、「ないことの証明」を補完することができます。

地政士・弁護士事務所に支払う報酬は、戸籍除籍謄本の通数や翻訳の通数によって異なりますが、約20万円はかかります。
台湾の地政士・弁護士事務所に依頼する場合、日本語で対応している所がよいでしょう。メールでのやり取りも日本語で対応してくれます。
例えば、次の弁護士事務所があります。参考にしてください。
趨勢法律事務所 台北オフィス(台北市)

台湾戸籍除籍謄本の翻訳

台湾で戸籍除籍謄本を取得した場合、これだけ(中国語)では、日本の相続手続に使用できません。これを日本語に翻訳する必要があります。この場合、現地の翻訳会社に翻訳を依頼することになります。これをしないで、中国語のままの戸籍除籍謄本を日本で翻訳しようとする場合、特に、昔の紙の除籍謄本を日本で翻訳することは非常に困難なことです。この翻訳を日本でしてくれる翻訳会社はほとんどありません。なぜなら、昔の紙の除籍謄本を読み取ることができないからです。
ですので、台湾で戸籍除籍謄本を取得した場合は、台湾の現地の翻訳会社に翻訳を依頼した方がよいでしょう。なぜなら、台湾の現地の翻訳会社は、昔の紙の除籍謄本であっても、読み取ることに慣れているからです。

ただし、台湾の現地の翻訳会社の翻訳文は、日本語を正確に理解しているわけではなさそうなので、翻訳された文章が日本語として分かりにくいことはあります。
この場合は、日本語として分かりやすく書き直すことも必要です。これは、相続手続先の法務局の担当官に理解してもらうためです。

当司法書士事務所に台湾戸籍の取得を依頼される場合は、相続手続も一緒に依頼してください。

当司法書士事務所では、台湾戸籍の取得代行を行っておりますが、この場合、台湾の地政士または法律事務所に、その取得を当司法書士事務所から依頼することになります。
この取得にかかる費用は、実費(台湾の役所の手数料)の他、台湾の地政士または法律事務所に支払う報酬(約20万円)と当司法書士事務所の取次代行報酬(55,000円)がかかります。

当司法書士事務所では、台湾戸籍のみの代行取得は行っておりません。
台湾戸籍のみの代行取得を行っていない理由は、次のとおりです。
日本の戸籍の場合は、役所の焼失や保存期間の経過により除籍謄本を取得できない場合がありますが、この場合であっても、日本の役所では、除籍謄本を発行できない証明書を発行してくれますので、日本の役所では、除籍謄本が一部ない場合の根拠(理由)を証明することができます。
ところが、台湾の役所では、戸籍が一部ないことの証明書を発行してくれません。また、台湾の地政士や弁護士事務所に依頼した場合であっても、除籍謄本の一部がないことの証明書を発行してくれますが(依頼した場合)、その根拠(理由)を明らかにすることができません。
台湾戸籍のみを当事務所が取得代行した場合、もし、「戸籍の一部がない」という理由で相続手続ができない場合、当司法書士事務所が責任を負うことができないからです。

当司法書士事務所が、不動産の相続登記や預貯金などの相続手続を依頼され、台湾戸籍の取得も依頼された場合、「戸籍の一部がない」場合であっても、これを補完する方法で手続を完了させますので、相続手続全般について責任を負うことができるからです。
台湾戸籍を取得する目的が、相続手続を完了させることですので、単に、台湾戸籍の取得のみの依頼をお断りさせていただいている理由です。

3段階の認証について

台湾の戸籍除籍謄本は、基本的に3段階の認証が必要です。
この認証について、特に、台湾戸籍謄本を代理人となって取得する一般の人(本人が台湾に出向いて取得する場合も同じ)に依頼した場合は、ほとんど、台湾での2段階の認証がないまま、日本に送られてきます。依頼する日本にいる人が、この認証を依頼しないからです。
それでも、法務局や金融機関は、3段階の認証なしで、手続をしてくれる場合もありますので、この3段階の認証が絶対に必要かといえば、必ずしも、そうとは限りません。ただし、3段階の認証があれば完璧な状態となります。(後で、手続先の法務局や金融機関が3段階の認証を要求することはあるかもしれません。何ともいえません。)

例えば、過去事例で、埼玉りそな銀行では、台湾籍の方の場合、次のような案内文を相続人に対して出しています。

台湾在住の代理人を通じて取得した戸籍について、あらためて台北駐日経済文化代表処に提出して認証を受けてください。(これは、3段階目の認証のことをいいます。)

また、ゆうちょ銀行の相続案内文には、次のようなことが記載されています。

(1)被相続人の配偶者の戸籍謄本等に被相続人が入籍されていない場合は、配偶者の16歳からの戸籍謄本等を提出してください。
(2)被相続人・相続人の外国人登録原票を取得可能な期間全てを提出してください。
(3)被相続人・相続人で日本に帰化している場合は、帰化してから現在(死亡)までの戸籍除籍謄本を提出してください。

まとめ:台湾戸籍除籍謄本の取得方法

前述しましたとおり、台湾戸籍除籍謄本を相続手続に使用できるレベルまで取得することは、一般の人にとって非常に難しいと言えます。できれば、お金はかかっても、現地の専門家(地政士・弁護士事務所)に、この取得を依頼した方が、より確実です。

台湾籍の方の遺言書作成

前述のように台湾籍の方の相続手続では、被相続人の出生から死亡まで、日本人の相続手続と同様に、戸籍除籍謄本が必要となりますので、特に、台湾籍の方の場合、遺言書を作成しておくことで、少しでも、戸籍除籍謄本を用意することが軽減されます。ただし、この遺言書作成は、公証役場で作成する公正証書遺言書に限られます。これ以外の自筆証書遺言書では、スムーズに相続手続を行うことができません。
相続登記をスムーズに行うための「台湾籍の方の公正証書遺言書作成」を参考にしてください。

相続登記や預貯金(預金・貯金)の相続手続については、当司法書士事務所にご相談ください。

相続登記や預貯金(預金・貯金)の相続手続について、当司法書士事務所にお気軽にお問い合わせください。
tel:045-222-8559 お問合わせ・ご相談・お見積り依頼フォーム

「相続登記相談事例など」に戻る

タイトルとURLをコピーしました