相続登記と相続人が外国人(台湾の方)

この記事は約4分で読めます。

相続登記と相続人が外国人(台湾の方)

被相続人が日本人(日本国籍)で、相続人が外国人(外国籍)の場合、相続証明書は、どのような書類を用意すれば、よいでしょうか。
これは、特に、被相続人日本人の相続人が外国人の配偶者の場合です。

外国人の配偶者は、日本人の配偶者の戸籍に記載されません(ただし、日本人の戸籍事項に記載されます。)。日本人の戸籍に記載されれば配偶者であること、相続権があることを証明できます。しかし、外国人は日本人と同じように結婚したからと言って日本人の配偶者の隣に記載されることはありません。もっとも、被相続人の婚姻関係にある子は日本人であるので、被相続人の戸籍に記載されます。

外国人の配偶者は、日本人の配偶者の戸籍事項に記載されるだけです。例えば、日本人の「○○は、○○(外国名)の○○(氏名)と年月日婚姻した。」と記載されるだけです。これをもって、外国人の配偶者が被相続人日本人の相続権があると証明する書類(相続証明書:日本人であれば戸籍謄本)とはなりません。

例えば、日本人の「○○は、○○(外国名)の○○(氏名)と年月日婚姻した。」と記載されていることは、その当時に婚姻したということを証明するだけで、これをもって、被相続人の死亡時まで外国人の配偶者と婚姻関係にあったということを証明できないからです。婚姻後、外国人の配偶者が離婚または死亡している場合があります。この場合、外国人の配偶者に相続権がありません。また、外国人の配偶者が被相続人と婚姻関係にあったことを証明する書類は、被相続人の死亡後に取得したものであることが必要となります。

被相続人については、日本人(日本国籍)であるので、通常どおり被相続人の出生時から死亡時までの戸籍の証明書が必要です。

相続人については、外国人(外国籍)の場合、その外国に、日本のような戸籍制度があれば、日本人が相続人の場合と同様に、戸籍証明書が必要です。
その外国に、日本のような戸籍制度がなければ、戸籍証明書を用意することが不可能なので、そもそも戸籍証明書を取得することができません。

この場合、日本に居住している外国人の場合は、日本にある外国の大使館で、被相続人と相続人との関係を陳述した書面に、外国の大使館の証明書(認証文)を付けてもらい、その外国文書を日本文に翻訳したものを用意します。

外国に居住する外国人の場合は、その外国の公証人の面前で相続人であることを陳述した書面に、公証人の認証文を付けてもらい、その外国文書を日本文に翻訳したものを用意します。

相続人が台湾の方の場合は、どうでしょうか。
台湾には、日本と同様に戸籍制度がありますので、戸籍の証明書を取得することが可能です。登記所では、この解釈ですので、相続人が台湾の方の場合、台湾の戸籍証明書を求めます。
台湾の証明機関で、戸籍証明書を取得し、これを日本文に翻訳したものを用意します。

ところで、台湾の方が、長年月、日本に居住し、永住権もあり、本国の戸籍証明書を取得することが困難な場合は、どうしたらよいでしょうか。例えば、第二次世界大戦の終戦の頃に日本で生まれた台湾の方の場合です。

この場合、本国に戸籍制度があるので戸籍証明書を取得しなさい、ということにこだわると、どうしても取得できない場合、永久に、相続登記ができなくなってしまいます。

そこで、登記所の対応は、次のとおりです。(横浜地方法務局川崎支局と大和出張所)
外国人の本国に、戸籍制度がある場合、戸籍証明書を取得するのが基本です。
戸籍証明書を取得することが困難な場合、これに代わり、補完する証明書を提出します。
被相続人の除籍謄本には、被相続人と外国人の配偶者の婚姻事項が記載されていますので、
A:(外国人の)登録原票に家族事項を追記したものの証明書を取得します。
家族事項の記載には、
〇相続人である外国人の生年月日、国籍、婚姻の年月日
〇被相続人との関係、被相続人の氏名、生年月日、死亡日、配偶者の旨、日本国籍の旨
〇子がある場合は、子の氏名、生年月日、日本国籍の旨
B:他に相続人のいないことの上申書

以上の取り扱いを認める理由は、被相続人の除籍謄本と家族事項の記載のある(外国人の)登録原票記載事項証明書により、実質的に、外国人(台湾の方)が、被相続人の配偶者であったことを確認でき、相続人であることを認めることができるからです。

ところが、以上の内容は例外の取り扱いなので、横浜地方法務局栄出張所のように、登記所によっては、外国人の本国に戸籍制度がある以上、外国機関発行の戸籍証明書を提出を求める登記所もありますので、申請する登記所と打ち合わせるのがよいでしょう。

相続登記の場合でいえば、基本的に必要な書類(被相続人の除籍謄本や相続人の戸籍謄本など)が決められています。もし、必要な書類が現実的に用意できない場合、これを補完する書類を用意するしかありません。補完できないのであれば登記ができないことになります。補完書類を用意する理由は、相続関係が確かであると登記所の調査官が納得できるほどのものであることが必要です。登記所の調査官が納得できるほどの書類をできるだけ用意すれば登記は可能となります。

被相続人が台湾の方の相続登記(戸籍証明書がない場合)も参考にしてください。

「相続登記相談事例など」に戻る

tel:045-222-8559 お問合わせ・ご相談・お見積り依頼フォーム