貸金庫の相続手続(解約・開扉手続)

貸金庫の相続手続(解約・開扉手続)

遺言者に、金融機関の貸金庫があった場合、貸金庫にあるものを確認しなければ、相続手続(遺産の分配など)を開始することができません。
貸金庫にあるものを確認しないまま、相続手続(遺産の分配など)を開始した場合、後になって(貸金庫にあるものを確認した後)、それまでに行った相続手続(遺産の分配など)をやり直さなければならなくなる場合があるからです。

特に、貸金庫に遺言書があった場合、相続手続きは、遺言書の内容が優先されますので、相続手続(遺産の分配など)をやり直す必要があります。相続手続の手順を参考にしてください。

そこで、貸金庫があった場合の手続について解説します。

遺言書に遺言執行者の指定と貸金庫についての記載がある場合

遺言書に次の記載があれば、貸金庫の解約手続きをスムーズに行うことができます。

遺言者は、本遺言の執行者として、○○を指定する。
遺言執行者は、本遺言を執行するため、他の相続人の印鑑証明書付き同意書その他の同意又は承諾を要することなく、不動産の名義変更登記手続き、預貯金の解約、払戻し、名義書換請求等をする権限、遺言者が契約する貸金庫があるときは、貸金庫を開扉し、格納物を取り出し、同契約を解約する権限、その他本遺言を執行するために必要な一切の権限を有する。(以上は、公証役場で作成する公正証書遺言書でよく書かれる内容です。)

遺言書で、遺言執行者が指定されており、貸金庫に関する内容が記載されていれば、遺言執行者が単独で(相続人の協力を得ることなく)貸金庫を解約して、貸金庫の中にあるものを取り出すことができます。

遺言執行者が貸金庫の解約手続きを行う場合

遺言執行者は、貸金庫のある金融機関の支店に出向き、解約・開扉手続をします。
遺言執行者が金融機関に提出する書類など

  • 貸金庫解約請求書(金融機関指定)
  • 被相続人の除籍謄本・住民票除票
  • 遺言書
  • 遺言執行者の印鑑証明書・実印・身分証明書

遺言書が公正証書遺言書であれば、他の手続をすることなく、相続開始後、すみやかに手続を行うことができます。
自筆証書遺言書では、家庭裁判所の検認手続登記所の遺言書情報証明書の取得が必要です。

遺言書を作成する場合は、公正証書遺言書で作成するのがベストな方法です。

相続人全員の同意がなければ、貸金庫の解約・開扉手続ができない場合

  • 遺言書がある場合であっても、貸金庫に関する記載がない場合
  • 遺言書がない場合

この場合は、相続人全員の同意がなければ、貸金庫の解約・開扉手続ができません。

相続人全員の同意を得て、貸金庫の解約・開扉手続をする場合、貸金庫にあるものを確認しなければ、基本的には、前述のとおり、相続手続(遺産の分配など)をすることができませんので、まずは、貸金庫の中にあるものを確認します。
金融機関によっては、貸金庫の解約・開扉手続と預金の解約払戻し手続を同時にすることができる金融機関もあります。ここでは、貸金庫の解約・開扉手続のみを、先にする場合について説明します。

相続人が貸金庫の解約手続きを行う場合

一般的な貸金庫の解約・開扉手続に必要な書類など(金融機関によって多少異なります。)
相続人全員から同意を得た相続人は、貸金庫のある金融機関の支店に出向き、解約・開扉手続をします。

  • 貸金庫解約請求書(金融機関指定)
  • 被相続人の除籍謄本・住民票除票
  • 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
  • 相続人全員の同意書(実印で押印)
  • 実際に手続をする相続人実印・身分証明書

貸金庫の解約・開扉手続の手順(金融機関によって多少異なります。)

  1. 必要書類を用意して、金融機関の支店に出向く。
    相続開始の申出をする。
    貸金庫解約請求書に署名・実印で押印して提出する。
  2. 貸金庫解約に必要な書類について、金融機関の相続手続センターで審査する。
  3. (約2週間後)貸金庫解約手続ができる旨、金融機関から連絡がある。
  4. 金融機関の支店に出向いて、実際に、貸金庫を開扉して、中にあるものを取り出す。

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