公正証書遺言書による相続手続きを自分一人でできますか

公正証書遺言書がある場合、相続手続きを自分一人でできますか

自分一人で、の意味は、相続人一人で、あるいは、遺言執行者一人で、という意味です。
公正証書遺言書(公証人役場で作成)ある場合の相続手続きで、他の相続人から書類に署名捺印(実印と印鑑証明書)をもらう必要がありますか?という意味と同じです。

この答えは、他の相続人から協力を求める必要がないこともあれば、協力を求める必要がある場合もある、というのが答えです。個々の手続で異なります。

一般の方が、インターネットであれこれ自分で調べて、結論はこうだろうという自分なりの結論を出し、この結論で各種手続をした場合、結果が間違っていることもありますので、実際の手続、例えば、自筆証書でも公正証書でも遺言書を作成する場合、専門家に報酬を支払ってでも専門家の援助を求めた方がよいでしょう。

遺言書による相続では、遺言書が、自筆証書遺言書か公正証書遺言書の違いはあっても、その内容が、法定相続人が相続するのか、通常の法定相続人以外の人に遺贈するのか、の違いで、手続き方法が異なります。

遺言書作成方法の違い(家庭裁判所の検認手続は必要?)

自筆証書遺言書では、登記所の自筆証書遺言書保管制度を利用しない場合、家庭裁判所の検認手続きを受けなければなりません。
ということは、遺言書の検認手続きでは、法定相続人全員に対して、家庭裁判所から立会いを求める通知がなされます。ただし、法定相続人全員が立ち会わなくても、検認手続きは終了します。家庭裁判所での検認手続は、相続人に遺言書を確認する機会を与えるだけです。遺言書の内容に不服があれば、別の裁判などの手続きで行います。

公正証書遺言書と登記所の自筆証書遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言書では、家庭裁判所の検認手続きを受ける必要がありません。
したがって、相続が開始すれば、通常の手続は、これらの遺言書にしたがって基本的に相続手続きを進めることができます。

遺言書の内容が「相続させる」か「遺贈する」の違い

遺言書の内容が、法定相続人に相続させる、あるいは、これ以外の人に遺贈する、の違いによって、手続き方法が異なります。

「相続させる」の場合の相続人と遺言執行者

法定相続人に相続させる、の場合は、相続財産を相続する相続人が、単独で、相続手続きを進めることができます。
相続登記(不動産名義変更)のほか、銀行の預金などの相続手続きも、遺言書に基づいて基本的に相続人単独で手続きをすることができます。この場合、ほかの法定相続人から、なんらかの署名捺印(実印と印鑑証明書)された書類を受け取る必要はありません。

遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者が、遺言書の内容にしたがって、相続手続きをします。遺言執行者が指定されている場合であっても、不動産の相続登記は、不動産を相続する相続人が、単独で、相続登記をすることもできます。

「遺贈する」の場合の遺言執行者

通常の法定相続人以外の人に遺贈する、の場合は、遺言執行者がいるときは遺言執行者がします。
この場合、不動産の相続登記では、遺言執行者が登記の義務者となり、受遺者(遺贈を受ける人)が登記の権利者となって、登記申請します。

遺言執行者がいないときは、法定相続人全員が登記の義務者となりますので、この場合にだけ、法定相続人全員から署名、実印を押印した登記の委任状や印鑑証明書、戸籍の証明書、住民票を受け取る必要があります。
もっとも、遺言執行者が遺言書で指定されていない場合、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。遺言執行者が遺言書で指定されていない場合、通常、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを選択します。
したがって、必ずしも、ほかの法定相続人から書類を受け取る必要はありません。

遺言書による相続では、遺言書が、自筆証書遺言書か公正証書遺言書の違いはあっても、その内容が、法定相続人が相続するのか、通常の法定相続人以外の人に遺贈するのか、の違いで、手続き方法が異なります。

銀行の貸金庫の契約者が死亡した場合

例外の一つとして、銀行の貸金庫の契約者が死亡した場合、貸金庫を開けるには、基本的に、相続人全員の印鑑証明書付き同意書を提出する必要があります。
特定の相続人や遺言執行者が銀行との貸金庫契約解約、開扉を行うには、遺言書に、銀行との貸金庫契約解約、開扉権限が遺言書に記載されていることが必要です。

公正証書遺言書であっても相続人単独または遺言執行者が手続きをできない場合

公正証書遺言書で相続手続を行おうとする場合、次の場合は、公正証書遺言書は使用できず、他の法定相続人全員の署名、捺印(実印)がなされた遺産分割協議書などがなければ、手続をすることができません。

  • 公正証書遺言書の記載内容で、不備がある場合
  • 明らかに、公正証書遺言書の内容に間違いのある場合
  • 相続登記(不動産名義変更)で、「不動産の表示」が、登記しようとする不動産の表示とまったく違っている場合、あるいは、名義変更しようとする不動産の記載がない場合
  • 金融機関の相続手続で、口座番号がまったく違っている場合
  • 自筆証書遺言書の場合は、家庭裁判所の検認手続を経ていない場合
  • 自筆証書遺言書の場合、遺言書の記載方法が、法律(民法)の規定に反している場合
    など

このようなことが実際にありますので、遺言書を公証人役場で作成する場合であっても、慎重に行うことが必要です。公証人役場で作成する遺言書は、公正証書遺言書を参考にしてください。

たとえ遺言書を公証人役場で作成する場合(公正証書遺言書)であっても、その作成は、「不動産の表示」には慎重にする必要があります。
実際に、不動産の記載漏れで登記ができなかった事例があります。このような記載漏れを防ぐ方法としては、例えば、(その他)不動産の全てを相続させる(あるいは遺贈する)とすれば問題ありません。相続登記と内縁の妻に遺贈を参考にしてください。

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