相続放棄の申述(申立方法)(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)

  1. 相続放棄の申述(申立方法)(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)
    1. 家庭裁判所で相続放棄の手続
      1. 相続放棄の家庭裁判所はどこに(申立書を提出する家庭裁判所)
      2. 相続放棄を申述する人(申立てる人)・相続放棄を申立てことができる人の順番
      3. 相続放棄の申述期間(家庭裁判所に申立書を提出できる期間) 
      4. 相続放棄を申述する方法
      5. 相続放棄申述の手順(申立てを当司法書士事務所に依頼する場合を含みます。)
      6. 相続放棄の審判手続
        1. 相続放棄申述受理通知書
      7. 相続放棄申述受理証明書
      8. 相続放棄の効果
      9. 相続放棄があった場合に、相続人となる人
        1. 配偶者と子が2人A・Bの場合、子の1人Aが相続放棄したとき
        2. 配偶者と子が1人Aの場合、子Aが相続放棄したとき
        3. 配偶者と子が2人A・Bの場合、配偶者と子の1人Aが相続放棄したとき
        4. 配偶者と子が2人A・Bの場合、配偶者が相続放棄したとき
        5. 配偶者と子が2人A・Bの場合、子の2人A・Bが相続放棄したときで、直系尊属(父母)が死亡しているとき、直系尊属(父母)が相続放棄したときで、被相続人に兄弟姉妹がいるとき
      10. 相続放棄申立の必要書類
        1. 被相続人
        2. 相続放棄する人(申述・申立てをする人)
        3. 相続放棄(申述)を申立てる人が「海外在住の日本人」の場合
          1. 「海外在住の日本人」の相続放棄(申述)の申立方法
      11. 相続放棄の費用(当事務所の場合、相続放棄する人お一人につき)
        1. 家庭裁判所に支払う費用
        2. 当事務所の司法書士報酬(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)
  2. 限定承認、相続放棄については、当司法書士事務所にご相談ください。(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)

相続放棄の申述(申立方法)(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)

執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)

民法
(相続の放棄の方式)第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(相続の放棄の効力)第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

民法 | e-Gov法令検索

相続放棄の申述は、亡くなった方(被相続人)の相続財産が、債務超過の場合に、すなわち消極財産が積極財産より多いときに、よく利用されます。
もっとも、債務超過の場合だけでなく、通常の相続の場合にも、積極財産が多いときにも、することができます。(「相続放棄」というとき、家庭裁判所での相続放棄をいいます。

相続人間での相続放棄(単に、相続しません。)は、被相続人の債権者に対しては効力がありません。
この場合、債権者からの請求を免れるためには、債権者の同意が必要です。

債権者との関係でいえば、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることによって、確定的に債務を免れることができます。債権者の同意を得る必要がありません。

この場合、債権者に対して、『家庭裁判所に相続放棄の手続をしました。』と言って、後述の「相続放棄申述受理通知書」を見せれば(コピーして郵送)終わりです。相続放棄申述受理通知書は、手続が問題なく完了しますと、家庭裁判所から相続放棄を申述した人に郵送されます。(不動産の名義変更登記では、この相続放棄申述受理通知書を登記所に提出します。)

一般の人が「相続放棄をしました。」と言うとき、単に相続人同士で「私は相続放棄をします。」というだけでは、法律上完全な相続放棄をしたということが言えません。この場合の「私は相続放棄をします。」という意味は、「私は相続しません。」という意味にしか過ぎません。
法律上完全な相続放棄をするには、家庭裁判所に相続放棄が受理されることが必要です。

相続放棄の意味を参考にしてください。
行政書士は、裁判所に提出する書類の作成ができません。行政書士が業務として相続放棄申述の申立書を作成した場合、司法書士違反となります。

家庭裁判所で相続放棄の手続

相続放棄の家庭裁判所はどこに(申立書を提出する家庭裁判所)

被相続人の最期の住所地の家庭裁判所

相続放棄を申述する人(申立てる人)・相続放棄を申立てことができる人の順番

法定相続人

相続放棄を申立てる申述人と、その順番は、次のとおりです。法定相続人を参考にしてください。
相続放棄の申述は、相続人1人で申立てをすることができます。
限定承認のように、必ずしも相続人全員で申立てをする必要がありません。

被相続人の配偶者」:配偶者は、被相続人の子・両親(祖父母)・兄弟姉妹が相続放棄をするかどうかとは関係なく、独立して相続放棄ができます。

配偶者は、被相続人の子が相続放棄をしても、配偶者としての地位に変動がありません。同様に、被相続人の両親(祖父母) が相続放棄をしても、その後に、兄弟姉妹が相続放棄をしても、配偶者は、相続人であることに変わりありません。
結局、配偶者一人を相続人としたい場合、被相続人の子・両親(祖父母)・兄弟姉妹(代襲相続人の甥姪を含む)全員が相続放棄をすることになります。

相続放棄を申立てることができる人の順番は、次のとおりです。次の順番で申立てることが必要です。

この場合、下の異なる順位の相続人が、同時に申立てることができません。また、逆の順番で、例えば、第1順位の相続人が相続放棄の受理(申立て)がされていない間に、第3順位の相続人が相続放棄の申立てをすることができません。
さらに、第1順位の相続人全員が相続放棄を受理された後に、第2順位の相続人(→第3順位の相続人)が申立てをすることができます。先順位の相続人が一人でも相続放棄をしていない場合、後順位の相続人は申立てをすることができません。
後順位の相続人は、先順位の相続人全員が相続放棄を受理されたこと(相続放棄申述受理通知書)を確認してから申立てをします。したがって、後順位の相続人が申立てる場合、先順位の相続人全員が相続放棄が受理されて、先順位の相続人に相続権がない(先順位の相続人が死亡している場合、相続人がいない)ことを家庭裁判所に証明する必要があります。

上の説明のように、後順位の相続人は、先順位の相続人の相続放棄が受理(確定)してから、申立てを行いますので、被相続人の死亡を知った日から3か月の期間を過ぎてしまうことが多いと思います。この場合(3か月の期間を過ぎた場合)であっても、問題ありません。
なぜなら、後順位の相続人は、「自分が相続人となったことを知った日」から3か月以内に申立てればよいからです。 「自分が相続人となったことを知った日」 とは、被相続人の死亡を知り、先順位の相続人の相続放棄が確定することによって、後順位の相続人が、自分が相続人となる(相続権がある)ことを知ったことになるからです。

  1. 【第1順位の相続人】
    被相続人の子(→子が被相続人より先に死亡している場合、孫(代襲相続人)
      子や孫が全員、死亡している場合
      子が相続放棄をした場合(子が相続放棄をすると、孫には相続権がありません。)
     ↓
  2. 【第2順位の相続人】
    被相続人の両親(→祖父母)
      両親や祖父母が全員、死亡している場合
      両親が相続放棄をした場合
     ↓
  3. 【第3順位の相続人】
    被相続人の兄弟姉妹(→兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、甥姪(代襲相続人)

配偶者(親権者)が未成年者の子の相続放棄の申立てを代理してする場合、
配偶者(親権者)が自分の相続放棄申立てと同時にすれば、利益相反行為になりませんので、未成年者の子を代理して、相続放棄の申立てができます。

未成年の子のみの相続放棄を申立てる場合、配偶者は、未成年の子を代理して相続放棄の申立てができません。この場合、未成年者の特別代理人選任を家庭裁判所に申立て、未成年者特別代理人が未成年者を代理して相続放棄の申立てをします。

相続放棄の申述期間(家庭裁判所に申立書を提出できる期間) 

原則:相続開始を知ったときから3か月以内
   自分に相続権があることを知ったときから3か月
例外:例えば、「3か月」の期間を超えた場合であっても、被相続人の「債務の存在を知った日」から3か月以内(債務の存在を知った日を証明する必要があります。)

相続放棄を申述する方法

家庭裁判所に相続放棄申述書(申立書)を提出する方法です。
家庭裁判所に申立書を「3か月以内」に提出します。
司法書士に手続を依頼する場合、家庭裁判所での手続について司法書士は代理人となれませんので、申立書の作成と提出(持参または郵送)のみとなります。

相続放棄申述の手順(申立てを当司法書士事務所に依頼する場合を含みます。)

(申立人)
後述の相続放棄の必要書類を用意します。
これを当事務所に依頼される場合は、実費のみご負担いただきます。
(この書類を当事務所で手配する場合は、それぞれ「本籍」・「住所」をお知らせください。)  

(当事務所)
書類のお預かり。上記書類が揃った後に申立書類を作成いたします。
不足書類がありましたら、当事務所でお取り寄せいたします。(実費(証明書の手数料)のみご負担いただきます。)
申述書(申立書)記載の内容についてお聞きします。(メール・お電話など)
申述書類(申立書)の作成、郵送

(申立人)
申述書類(申立書)に署名・押印して、当職に返送していただきます。

(当事務所)
家庭裁判所に申立書を提出
申立人に、申述書類(申立書)の控え・費用の請求書を郵送

(申立人) 
費用をお振込みいただきます。

(家庭裁判所)
申立人に照会書類を郵送

(申立人)
家庭裁判所からの照会回答書に回答し、家庭裁判所に郵送
照会回答書に記載方法につきましては、当事務所にご質問ください。

(家庭裁判所)
申立人に「相続放棄申述受理通知書」が郵送されます。

(申立人)
債権者が確定している場合、債権者に「相続放棄申述受理通知書」コピーを郵送していただきます。(相続放棄申述受理証明書を別途、取得することはできますが、当面その必要はありません。)

相続放棄の審判手続

相続放棄申述受理通知書が交付(郵送)されます。
他の相続人が不動産の相続登記を申請する場合は、この相続放棄申述受理通知書を渡します。これで登記ができます。
必要があれば、申述人本人または利害関係人(次順位の相続人・債権者など)が「相続放棄申述受理証明書」を申請、取得できます。

相続放棄申述受理通知書

家庭裁判所での相続放棄の手続が完了しますと、相続放棄申述受理通知書が郵送されます。次がその見本です。
債権者などには、相続放棄申述受理通知書のコピーを郵送などします。

相続放棄申述受理通知書(見本)

相続放棄申述受理証明書

相続放棄申述受理通知書がない場合などは、相続放棄した人本人、利害関係人が家庭裁判所に申請して相続放棄申述受理証明書を取得することができます。

相続放棄申述受理証明書
相続放棄申述受理証明書

相続放棄の効果

相続財産の積極財産、消極財産すべてを放棄することになります。
相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとみなされます。(民法939条)
被相続人の子が、相続放棄をした場合、その子(相続放棄)に子(被相続人の孫)がいるときでも、孫は代襲相続によって相続人となることができません。

相続放棄があった場合に、相続人となる人

配偶者と子が2人A・Bの場合、子の1人Aが相続放棄したとき

相続人は、配偶者と子B

配偶者と子が1人Aの場合、子Aが相続放棄したとき

相続人は、直系尊属(父母)がいるとき、父母と配偶者
直系尊属(父母)が死亡しているとき、相続放棄をしたとき→「兄弟姉妹」と配偶者

配偶者と子が2人A・Bの場合、配偶者と子の1人Aが相続放棄したとき

相続人は、子B

配偶者と子が2人A・Bの場合、配偶者が相続放棄したとき

相続人は、子A・B

配偶者と子が2人A・Bの場合、子の2人A・Bが相続放棄したときで、直系尊属(父母)が死亡しているとき、直系尊属(父母)が相続放棄したときで、被相続人に兄弟姉妹がいるとき

相続人は、配偶者と兄弟姉妹

相続放棄により次の相続権は誰に(誰が相続人となるのか)?を参考にしてください。

相続放棄申立の必要書類

被相続人
  1. 除籍謄本(戸籍謄本の場合、有効期限は3か月)
  2. 戸籍の附票(または住民票の除票(本籍・筆頭者記載のあるもの)(最後の住所地を証明するため)
  3. 第2順位・第3順位の相続人が申立てをする場合
    被相続人の出生から死亡まですべての除籍謄本(第1順位の相続人(子)が誰かをすべて証明書するため)(戸籍謄本の場合、有効期限は3か月)
相続放棄する人(申述・申立てをする人)
  1. 戸籍謄本(有効期限:3か月)
  2. 戸籍の附票(または住民票):家庭裁判所に提出する必要はありませんが、申立書に正確に記載するために必要です。
  3. 第1順位の相続人が孫の場合、孫の親(被相続人の子)の死亡を証明する「親の除籍謄本」
    第3順位の相続人の場合、第2順位の相続人の死亡を証明する「除籍謄本」
    第3順位の相続人が甥姪の場合、甥姪の親(被相続人の兄弟姉妹)の死亡を証明する「除籍謄本」
    第3順位の相続人の場合、被相続人の配偶者と子が相続放棄をしたことの書面(相続放棄申述受理通知書または相続放棄・限定承認の照会書の結果)
  4. 申立期限の3か月を過ぎた場合、これを証明する書面
    債権者からの支払い催告書、市区町村役場からの納税催告書、親族からの死亡通知書など
東京家庭裁判所の取り扱い(相続放棄関係事件、2023年2月1日現在)
「戸籍類の原本還付は行っておりません。裁判所の手続に必要な戸籍類はお返ししませんので、何卒ご了承ください。写し(コピー)や余分の戸籍類を提出された場合には、それらはお返しいたします。」
相続放棄(申述)を申立てる人が「海外在住の日本人」の場合

海外の現地にある日本大使館(または領事館)で「在留証明書」を取得します。相続放棄を申立てる人の「戸籍謄本」は、親族や「申立書類作成を依頼する司法書士」に「被相続人の戸籍謄本・戸籍の附票」と一緒にその取得を依頼します。

「海外在住の日本人」の相続放棄(申述)の申立方法

「海外在住の日本人」が被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に出向いて、申立書類を提出できない場合、この手続を弁護士に代理してもらう(弁護士は本人の代わりに手続ができる。)か、次の郵送での方法となります。

2023年現在、東京家庭裁判所では、相続放棄申立てのあった海外在住日本人には、家庭裁判所から書類を郵送しません。海外在住日本人の郵送での申立てや一連の手続は、家庭裁判所と海外在住日本人とは、直接、郵便で行っておりません。
その代わりに、日本に在住の書類受取人(送達受取人)を指定し、「送達場所等の届出書」を申立書と一緒に家庭裁判所に提出して、その後の手続は、家庭裁判所と「送達受取人」で行うことになっております。
また、東京家庭裁判所では、在留証明書の提出は不要です。サイン拇印証明書の提出も不要です。ただし、申立書類に申立人の「住所」を正確に記載するため、住所の記載のある在留証明書を取得します。

「海外在住の日本人」が郵送で手続を行う場合は、次の手順となります。(2023年現在、東京家庭裁判所)

  1. 申立書(署名捺印・拇印)と「送達場所等の届出書(署名捺印・拇印)」、在留証明書を「日本にいる送達受取人」に郵送します。
    「送達場所等の届出書」で家庭裁判所からの書類の郵送の「送達場所」と「送達受取人」を指定します。司法書士を「送達受取人」とすることもできます。
  2. 「日本にいる送達受取人」が家庭裁判所に申立書類一式を提出します。
  3. 家庭裁判所が「日本にいる送達受取人」宛てに「照会書(質問書)」と「回答書」を郵送します。
  4. 「日本にいる送達受取人」が相続放棄申立をした「海外在住の日本人」に「照会書(質問書)」と「回答書」を郵送します。
  5. 相続放棄申立をした「海外在住の日本人」が「日本にいる送達受取人」宛てに「回答書」を郵送します。
  6. 「日本にいる送達受取人」が家庭裁判所に「回答書」を提出します。
  7. 家庭裁判所が「日本にいる送達受取人」宛てに「相続放棄申述受理通知書」を郵送します。
  8. 「日本にいる送達受取人」が相続放棄申立をした「海外在住の日本人」宛てに「相続放棄申述受理通知書」を郵送します。

相続放棄の費用(当事務所の場合、相続放棄する人お一人につき)

家庭裁判所に支払う費用
  1. 相続放棄の申立手数料:800円(収入印紙代)
  2. 提出切手代:一人当たり約500円
当事務所の司法書士報酬(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)

相続放棄する人が配偶者・子の場合、お一人について33,000円(税込み)(海外在住の方は、44,000円)
2名以上の場合、お二人目からお一人について22,000円(税込み)を追加。

相続放棄する人が両親の場合、お一人について44,000円(税込み)
2名で相続放棄をする場合、お二人目について22,000円(税込み)を追加。

被相続人の兄弟姉妹が相続放棄の申し立てをする場合、お一人:55,000円(税込み)
2名以上の場合、お二人目からお一人について22,000円(税込み)を追加。

当事務所では、相続放棄の申述・申立は全国対応です。費用については、相続登記費用追加報酬でご確認ください。
相続放棄に関連する次のページを参考にしてください。
相続放棄の意味
相続放棄したときの生命保険金は
相続放棄・限定承認(家庭裁判所)の熟慮期間の伸長
相続放棄と相続財産管理人
相続放棄により次の相続権は誰に(誰が相続人となるのか)?
被相続人の兄弟姉妹が相続放棄をする方法
相続放棄と刑務所に収監中の人
相続しない手続の方法は?(相続放棄か遺産分割協議か)
相続放棄・限定承認の相談事例(必要書類・スケジュール)
相続放棄により相続人不存在となったとき(相続財産管理人選任申立)

限定承認の基本
限定承認の申述

限定承認、相続放棄については、当司法書士事務所にご相談ください。(横浜市・川崎市・神奈川県内・東京都内・日本全国対応)

限定承認、相続放棄について、当司法書士事務所にお気軽にお問い合わせください。
tel:045-222-8559 お問合わせ・ご相談・お見積り依頼フォーム

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