相続登記の必要書類
執筆者:司法書士 芦川京之助(横浜リーガルハート司法書士事務所)
相続登記の必要書類は「相続の仕方」で異なります
相続登記の必要書類は、相続の仕方、すなわち、遺言書(公正証書遺言書や自筆証書遺言書)で行う場合、遺産分割協議書で行う場合、法定相続分で登記する場合、遺産分割調停調書で行う場合、遺贈で行う場合で異なります。後述します「ケースごとの相続登記の必要書類」をまずは参考に、ご自分の相続の仕方がどのケースに当てはまるのかをご確認ください。
また、外国籍の方の相続登記は、次のページでご確認ください。
相続登記と相続人が外国人(台湾の方)
被相続人が台湾の方の相続登記(戸籍証明書がない場合)
相続登記をスムーズ(比較的簡単)に行うための「台湾籍の方の公正証書遺言書作成」
被相続人が外国人(ニュージーランド人):遺言書で相続登記の方法
被相続人が外国人(アメリカ人):遺言書で相続登記の方法
相続登記の必要書類の取得は確実に
「相続登記の必要書類」は、相続登記を申請する際に、登記申請書と一緒に登記所に提出します。登記所は、必要書類をすべて確認した後、問題がなければ申請内容を登記記録に入力して相続登記を完了させます。このため、必要書類に不足があったり、誤りがあれば、再提出(一旦取下げ、もう一度提出)や訂正を求められます。
司法書士は、相続登記の専門家であるので、こういった不足書類や訂正がないように心掛けています。不足書類や訂正があれば、登記完了までの時間がかかることになります。
相続登記の必要書類は、相続登記においても、ほかの相続手続においても、戸籍関係書類などは共通しているものがあります。
相続登記やほかの名義変更で使用する戸籍関係書類を、まずは集めるところから始めます。この書類を集めるということが、最初の関門となります。根気よく一つ一つ集めていきます。
相続の仕方(法定相続、遺産分割、遺言)で必要となる書類が異なりますので、一つ一つ確かめながら書類を集めます。
相続登記の手順も参考にしてください。
相続登記の必要書類は、すべて原本を登記所に提出します。コピーのみを登記所に提出した場合、登記所は原本の提出を求めます。登記所は、必要書類の原本で間違いないことを確認するからです。もっとも、原本還付の手続をすれば、相続登記が完了した後、必要書類の原本を返却してくれます。
相続登記で、基本的に必要な書類は、以下のとおりです。
被相続人(登記名義人)について必要書類(原本が必要)
相続登記申請書の「添付情報」として法務局に提出するものです。
(1)被相続人の出生時から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
必要な理由:ほかに法定相続人がいないことを証明するため、戸籍関係の書類を出生時から死亡時まで連続したもの。
第3順位の兄弟姉妹が相続人となる場合、兄弟姉妹の被相続人については、原則通り、出生から死亡までの除籍謄本が必要です。
また、被相続人の両親(第2順位の相続人)(場合によって祖父母)が死亡していることを証明するために、両親の除籍謄本が必要です。
さらに、この両親の出生から死亡までの除籍謄本も必要です。なぜなら、法定相続分での登記、遺産分割での登記の場合、兄弟姉妹が相続人となるときは、兄弟姉妹が全部で誰と誰であると証明する必要があるからです。兄弟姉妹が相続人となる場合は、除籍謄本を取得するのに時間がかかると思われます。
相続関係説明図を提出することで、被相続人の戸籍関係書類のコピーを提出する必要がありません。
被相続人の本籍地が出生から死亡まで、日本各地にある場合は、取得するのに時間がかかります。
被相続人の出生から死亡までの戸籍関係書類(除籍謄本など)を取得することは、一般の人にとって難しいと思われます。そこで、次のページを参考にしてください。
(1)「戸籍証明書等の広域交付」を利用して、「被相続人の出生から死亡までの」戸籍関係書類の取得方法(令和6年3月1日から)
(2)「戸籍証明書等の広域交付」を利用して不動産の相続登記や預貯金などの相続手続で必要となる書類(戸籍関係書類)の取得方法
(3)「戸籍証明書等の広域交付」を利用して戸籍関係書類を取得し、その後「法定相続情報証明書(一覧図の証明書)」を取得する方法
出生から死亡までの戸籍書類を集める方法は、基本的に、死亡時の除籍謄本の記載内容から「前の本籍」を確認して、順番に遡って取得します。「前の本籍」が日本各地にある場合、通常、郵送で取得しますので、時間がかかることになります。
戸籍が連続しているかどうかを確認する必要がありますが、役所に出向いて除籍謄本などを取得する場合、役所の人が教えてくれます。司法書士に相談すれば教えてくれます。
結婚した場合、本籍を移転した場合、離婚した場合などで、戸籍が新たに作成されます。
少なくとも被相続人が、10歳くらいから戸籍に記載のあるものを用意します。
通常、10歳の年齢(小学校4年生)では、子供を生むことは考えられないからです。
被相続人の除籍謄本の取得方法や相続登記と各種相続証明書の取得方法を参考にしてください。
相続登記(不動産名義変更)だけで、被相続人に関する除籍謄本などの戸籍関係証明書を登記所に提出する場合、「出生から」に除籍謄本は要求されず、少なくとも被相続人が10歳頃からの除籍謄本を提出すればよいことになっています。(10歳の子の段階で、この子には子がいないのが一般的だからです。)
ところが、「法定相続情報一覧図の写の証明書」を取得する場合は、「不動産登記規則第247条第3項第2号」で被相続人の出生から死亡まですべての除籍謄本など戸籍関係証明書を提出する必要があることが規定されていますので、ご注意ください。
「不動産登記規則第247条第3項第2号」
「被相続人(代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書」と規定されています。
例えば、父が死亡した時に相続登記をし(完了)、次に母が死亡し相続登記をする場合は、次の方法で行うと、除籍謄本を取得する手間を省けます。
①この場合、母死亡の除籍謄本を取得します。
②母死亡から遡って、母が父と結婚した時までの除籍謄本は、父の相続登記で使用した除籍謄本を再度、使用します(できます)。この理由は、父の相続登記で使用した除籍謄本の内容は、何年経っても変わらない(変更がない)からです。
③母が父と結婚する前から母の出生まで遡って除籍謄本を取得します。
戸籍関係の書類を出生時から死亡時まで、連続したものを用意できない場合、これは、例えば、市区町村の庁舎が戦争などで火災・倒壊により戸籍関係書類が焼失している場合は、連続して書類を取得できませんので、焼失していることの証明書と法定相続人全員の「他に相続人がいないことの証明書」として上申書に署名・実印を押印した書類が必要になります。他に相続人がいないことの証明書とはを参考にしてください。
遺産分割協議書により相続登記を申請するときは、遺産分割協議書に「他に相続人がいない」旨を記載することでも問題ありません。遺産分割協議書には相続人全員が署名・捺印しますので。
遺言書で相続登記を行うとき
相続手続に使用できる公正証書遺言書や自筆証書遺言書がある場合、遺言者の親が子に「相続させる。」というときは、被相続人と相続人との関係(親子関係)がわかる戸籍の証明書(被相続人親の除籍謄本と相続人子の戸籍謄本)で足り、被相続人親の出生まで遡って証明する書類は必要はありません。
これが、遺言書であっても、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合は、兄弟姉妹の被相続人の出生まで遡って証明する書類が必要です。この理由は、兄弟姉妹の被相続人に子がいないこと、親がいないこと(すでに死亡していること)を証明する必要があります。兄弟姉妹の被相続人に子と親がいないことによって、兄弟姉妹が相続人となり、登記の原因を「相続」とする必要があるからです。
登記の原因を「相続」とすることで、登録免許税を「固定資産評価価格」の0・4%で計算します。
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または「除かれた戸籍の附票」
必要な理由:登記記録(登記簿)に記載された「被相続人の登記名義である住所・氏名」と「住民票に記載された住所・氏名」を一致させるため。被相続人の住民票の除票には、本籍・筆頭者の記載が必要です。(相続人の住民票には、本籍・筆頭者の記載は不要です。)
「原本還付の手続」で住民票の除票を返却してもらいます。
被相続人の(除かれた)「戸籍の附票」を住民票除票に代えて使用する場合
令和4年1月11日より、原則(特別の請求がない限り)「戸籍の附票」には、本籍・筆頭者が記載されないことになりました。
そこで、同日以降、(除かれた)「戸籍の附票」を使用する場合、市区町村役場に対して、「本籍・筆頭者」も記載するよう、特別の請求をして、(除かれた)「戸籍の附票」を取得する必要があります。
これらを一致させることによって、登記された名義人が今回相続登記申請する被相続人と同一人物であることを証明します。
被相続人の最後の住所証明書を取得する理由を参考にしてください。
被相続人の「住民票除票」や「除かれた戸籍の附票」を取得できない場合
これら市区町村の保存期間は5年間のため、死亡時から5年を経過すると廃棄処分され取得することができない場合があります。(現在は150年。ただし、後述。)
【横浜市の場合】
住民票の除票の写しは何年前までのものの交付を受けることができますか。 横浜市 (yokohama.lg.jp)
住民票は、住民票内の全ての方が転出、死亡などにより消除されると除票となります。
住民票の除票の保存期間は、法令が改正され令和元年6月20日より5年間から150年間保存することになりました。
なお、横浜市では、平成25年3月31日までの住民票の除票は保存期間が経過しているため、住民票の除票の写しを発行することはできません。
【横浜市の場合】
戸籍の附票の除票の写しは、何年前までのものの交付を受けることができますか。 横浜市 (yokohama.lg.jp)
戸籍の附票は、戸籍内の全ての方が消除されると戸籍の附票の除票となります。
戸籍の附票の除票は、法令が改正され令和元年6月20日より5年間から150年間保管することになりました。
※横浜市では、平成25年3月31日までの戸籍の附票の除票は保管期間が経過しているため、戸籍の附票の除票の写しを交付することはできません。
この場合は、次の書類が必要です。次の書類を登記所に提出する場合であっても、被相続人の「住所・氏名」を証明する書類を最大限すべて(取得できるものはすべて)取得する必要があります。
(1)「被相続人が登記された登記名義人と同一人物であること」の「上申書」
→(2)の権利証があれば、不要です。
(2)被相続人名義の権利証(登記済権利証・登記識別情報通知)
→ 当事務所では、「権利証」をご用意いただいております。
(3)場合によって不在籍証明書、不在住証明書
→(2)の権利証があれば、不要です。
(4)戸籍謄本・除籍謄本など戸籍証明書に記載の「本籍」が「登記上の住所」と一致すれば、
これを証明書として提出できます。(原本還付の手続をする。)
→(1)(2)(3)は不要です。
原本還付の手続とは、例えば、住民票の原本を返却して欲しいとき、住民票のコピーに「これは原本の写しに相違ありません。」と記入し、申請人の氏名を記入して印鑑を捺します。
登記所は、登記が完了した後に、原本を返却してくれます。
「登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明する」ことの重要性
「登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明する」ことを、被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)で証明できれば問題ありません。
「登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明する」ことは重要です。
これを証明できないのであれば、相続登記そのものができません。登記名義人とは別の被相続人の可能性があるからです。登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明することによって登記がなされます。登記名義人と被相続人が同一人物であることは、基本的に「住所と氏名」で特定します。
そのため、被相続人の死亡時の「住民票の除票(または戸籍の附票)」に登記上の住所が記載されていることが必要となるわけです。ただし、死亡時の「住民票の除票(または戸籍の附票)」を取得できない場合があります。これは、被相続人の死亡時から5年を経過している場合です。(役所は、法律の規定により5年でこれらのデータを破棄処分する取り扱いです。)(現在は150年。ただし、前述。)
このような「登記名義人と被相続人が同一人物であることを証明する」ことができない場合は、どうしたらよいでしょうか。
この場合、被相続人が不動産を取得したときに登記所から発行された「権利証(登記済権利証または登記識別情報通知)」があれば問題ありません。
なぜなら、このような「権利証」を持っている人は、通常、登記名義人といえるからです。登記名義人でなければ「権利証」を持っていないからです。したがって、相続における登記名義人は、「権利証」を持っていた「被相続人」といえるからです。
よく相続登記では「権利証」は必要ないと言われます。これは、登記申請における必須の書類ではないからです。しかし、前述のとおり、相続登記においても、別の登記においても、「登記名義人と被相続人(別の登記では申請人)とが同一人物であることを証明すること」は登記において最重要事項です。これが登記手続きを進める上での前提条件となります。
ですから、相続登記だからと言って、「権利証」は不要です、とは軽々しく言えないことになります。もし、この権利証がない場合は、別の方法(上申書など)をとることになります。登記所としては、別の方法(上申書など)よりも「権利証」を提出してくれれば安心してくれます。
法定相続人について必要書類(原本が必要)
(1)戸籍謄本(戸籍・全部事項証明書)(法定相続人全員)
必要な理由:被相続人の法定相続人(全員)であることを証明するため。
相続関係説明図を提出することで、相続人の戸籍証明書のコピーを提出する必要がありません。
相続人の戸籍証明書(戸籍謄本)は、被相続人の死亡後に取得する必要があります。
これは、被相続人の死亡後において、相続人が生存していることを証明するために必要です。
したがいまして、戸籍証明書に有効期限の定めがないからといって、被相続人の死亡前に取得した相続人の戸籍証明書は使用できないことになります。
もっとも、被相続人の死亡後に取得した相続人の戸籍証明書であれば、有効期限の定めはありません。
家庭裁判所の相続放棄をした人からは、「相続放棄申述受理通知書」または「相続放棄申述受理証明書」をもらいます。これを登記所に提出します。
相続放棄申述受理通知書は、相続放棄の手続が完了しますと、家庭裁判所から相続放棄をした人に郵送されます。これを相続登記はじめ各種相続手続で使用します。
相続放棄申述受理証明書は、必要があれば、取得するものです。相続放棄をした本人が取得することは通常ありません(1通150円)。
この相続放棄申述受理証明書を取得しようとする人は、通常、相続放棄をした人以外の相続人や債権者などの利害関係人です。
相続放棄をした人以外の人が、相続放棄申述受理証明書を取得しようとする場合、家庭裁判所に利害関係を有する証明書(放棄をした人との関係を証明する戸籍謄本など)を提出します。意外と面倒です。
相続放棄をした人から相続放棄申述受理通知書をもらう方法が一番簡単です。
注:めったにないことですが、相続放棄の申述をしたときから30年を経過しますと、家庭裁判所がデータを破棄する取り扱いとなっていますので、相続放棄申述受理証明書を取得することができません。相続放棄の「照会結果」についても同じです。
(2)住民票(実際に相続で不動産を取得した相続人)
必要な理由:「実際に相続により不動産を取得した相続人」として登記記録(登記簿)に記載するため、実在の人物であることを証明する必要があります。相続人の住民票には、本籍・筆頭者の記載は不要です。(マイナンバーカードの番号も不要)原本還付の手続で住民票を返却してもらいます。
法定相続情報証明書で相続登記をする場合、この証明書に、相続人の住所が記載されている場合は、この記載を援用することができますので、別途、住民票の提出は不要となります。
海外在住の日本人(日本国籍)・外国人(外国籍)が不動産を取得したときは、「国内連絡先(日本国内における連絡先となる人)」の登記が必要です。これについては、「日本国内における連絡先となる人」の登記の方法(令和6年4月1日施行)を参考にしてください。
外国人(外国籍)が不動産を取得したときは、外国人が所有権の登記をするときの氏名:ローマ字で氏名を併記する(令和6年4月1日から)を参考にしてください。
外国に居住する外国人(外国籍)の住所証明情報(住所証明書)
外国に居住する外国人(外国籍)の住所証明情報(住所証明書)は、令和6年4月1日から次の取り扱いとなります。(法務省通達)
次の(1)または(2)のいずれかの住所証明書が必要です。(外国語は日本語への翻訳が必要)
(1)登記名義人となる者の本国または居住国(本国又は居住国の州その他地域を含む。以下「本国等」という。)の政府(本国等の領事を含み、公証人を除く。以下「本国等政府」という。)の作成に係る住所を証する書面(これと同視できるものを含む。(「政府」と「地方の役所」とは異なる。?)← 公証人の証明書(宣誓供述書)のみは認められない。
政府(本国等の領事を含む)発行の住所証明書が、どのようなものであればよいのか、現時点では判然としていない。
そこで、次の公証人作成の住所証明書とパスポート(政府発行の身分証明書と上申書)コピーで対応することになると思われる。
(2)登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面で行う場合は、次のアまたはイの書面を併せて提出する。
ア:登記名義人となる者が旅券(パスポート)を所持しているとき
次のすべての要件を満たす旅券の写し(パスポートのコピー)
① 住所を証明する書面が公証人作成日において有効な旅券(有効期間のあるパスポート)
② 登記名義人となる者の氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示
③ 当該住所を証明する書面と一体となっていない旅券の写しにあっては、原本と相違がない旨の記載と登記名義人となる者の署名又は記名押印
イ:登記名義人となる者が旅券(パスポート)を所持していないとき
登記名義人となる者の作成に係る旅券を所持していない旨の上申書及び登記名義人となる者の本国等政府の作成に係る書面(政府発行の身分証明書)又は電磁的記録(以下「書面等」という。)の写し等(写し又は電磁的記録の内容を書面に出力したものをいう。以下同じ。)であって、次の要件を満たすもの
① 登記名義人となる者の氏名の記載又は記録がある書面等の写し等であること。
② 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。
③ 当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。
具体例については、外国に居住する外国人(外国籍)の住所証明情報(住所証明書):実例を参考にしてください。
(3)印鑑証明書(法定相続人全員)(家庭裁判所で相続放棄した人を除く)
必要な理由:遺産分割協議により法定相続分と異なる相続割合・方法を選択した場合に、これが間違いないことを証明するため、遺産分割協議書に押印された実印の印影と印鑑証明書の登録印鑑とを一致させるため。原本還付の手続で印鑑証明書を返却してもらいます。
預貯金など金融機関で相続手続を行う際にも必要となります。
相続登記をするときに印鑑証明書が必要となる場合とならない場合を参考にしてください。
(4)不動産の固定資産税評価証明書(東京23区の場合は都税事務所の評価証明書)
以下の内容については、相続登記の課税価格と登録免許税の計算方法(ケースごとの計算方法)を参考にしてください。
必要な理由:相続登記申請の際、登録免許税を法務局(登記所)に納付します。
この登録免許税を計算する基準となるのが、固定資産税評価証明書(市区町村・都税事務所)に記載された「評価価格」です。
「評価証明書」のタイトルは各市区町村役場で異なります。横浜市の区役所では、「課税台帳登録事項証明書」というタイトルで発行されます。役所に対しては「評価証明書」という言い方で通用します。
評価証明書を取得する役所の部署は、固定資産税課証明係です。
最近では、評価証明書の代わりに「固定資産税(都市計画税)の納税通知書(課税明細書を含む全ページの原本が必要)」を代用しています。納税通知書(課税明細書)の記載内容で不足の場合は評価証明書を取得します。
原本還付の手続で評価証明書(納税通知書)を返却してもらいます。
申請する時点で、どういう評価証明書が必要ですか。
例えば、令和4年4月1日から令和5年年3月31日までに申請する場合、令和4年4月1日から令和5年3月31日までに発行された「令和4年度」の評価証明書が有効です。
→ 令和4年度の固定資産税納税通知があれば使用できます。
令和5年4月1日以降に申請する場合、令和5年4月1日以降に発行された「令和5年度」の評価証明書が有効です。
→ 令和5年度の固定資産税納税通知書があれば使用できます。
現在、登録免許税の計算をするための「評価価格」を証明するものとして「固定資産税都市計画税の納税通知書(課税明細書を含む)」を基本的には使用します。これがない場合は「評価証明書」を取得します。また、例えば、令和4年の4月(1日以降)・5月に相続登記を申請する場合、令和4年度の「評価価格」で登録免許税を計算する必要があります。この場合、通常、4月の時点では固定資産税都市計画税の納税通知書は未だ役所から郵送されていませんので、令和4年度の評価証明書を取得することになります。
場合によっては、「名寄帳」でも使用できる場合があります。
マンションの相続登記の場合は、相続登記費用とマンションの土地の数を参考にしてください。
「名寄帳」とは、登記名義人が、市区町村内に所有する「課税されている」不動産すべてが記載されたものです。(通常、証明書文がありません。横浜市の場合は証明文があります。)
名寄帳を評価証明書として使用する場合は、マンションなど、登記された不動産の個数が非常に多い場合です。
評価証明書を取得する場合、各市区町村役場は、不動産の個数1個について「いくら」と手数料(例えば、不動産1個につき300円)を定めています。
例えば、マンションの土地の個数が30個の場合、300円×30個=9,000円、これが名寄帳であれば、1通当たり300円で済むことになるからです。
「相続」を原因とする場合は、評価価格の1000分の4(0.4%)が登録免許税です。ただし、法定相続人以外の「遺贈」の場合は、評価価格の1000分の20(2%)が登録免許税です。
私道など固定資産税が非課税の場合、評価証明書にも「名寄帳」にも「納税通知書(課税明細書)」にも、私道の「土地の地番など」が記載されていないため、「非課税証明書」を取得する必要があります。相続登記と私道(公衆用道路)の登録免許税計算方法を参考にしてください。
固定資産税が非課税の「私道」は、近傍宅地(きんぼうたくち)の1㎡当たりの評価価格に0・3を乗じたものに、税率の0・4%をさらに乗じて登録免許税を算出します。
登録免許税が非課税となる場合
土地についての相続登記(建物は非課税とならない。)
適用期限:令和7年(2025年)3月31日まで
非課税となる場合(条件)
(1-1)個人が相続(相続人に対する遺贈も含む。)により所有権を取得した場合、
相続した人が「所有権移転登記を受ける前に死亡したとき」で、この人(死亡した人)を登記名義人とする登記については、登録免許税が非課税となります。
(「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」)
(1-2)表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存の登記についても同じです。
「相続した人」が死亡している場合、「相続した人」名義で相続登記ができます。
これは、現に生存している人だけではなく、すでに死亡している人名義(死者名義)であっても相続登記ができるからです。
この場合の申請人は、「死亡した名義人となる相続人(例えば、死亡した親)」の相続人(例えば、子)です。
(2)不動産の価額(課税標準となる不動産の価額)が100万円以下の土地の相続登記(所有権移転・所有権保存登記)は、登録免許税が非課税となります。
(「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」)
所有権の持分の場合は、不動産の「評価価格」に持分の割合を乗じて計算した価格が不動産の価額(課税標準額)となります。
以上、法務省の次のサイトでご確認ください。
相続登記の登録免許税の免税措置について:法務局 (moj.go.jp)
(5)遺産分割協議書(作成します)
必要な理由:遺産分割協議により法定相続分とは異なる相続割合・方法を選択した場合に、これが間違いないことを証明するため遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、法定相続人全員(家庭裁判所の相続放棄をした人は除く)の実印を押印します。
遺産分割協議書には相続人全員の印鑑証明書を付けます。原本還付の手続で遺産分割協議書・印鑑証明書を返却してもらいます。
(6)相続人の委任状(必要があるとき)
必要な理由:相続登記の申請を司法書士に依頼する場合、委任状が必要です。(この場合、司法書士が作成した委任状に署名・捺印が必要です。)また、登記する相続人が2人以上いる場合、実際に申請を行う相続人を決めたときにも、他の相続人から「実際に登記申請を行う相続人」への委任状(一番下を参考)が必要です。
例えば、相続人2名(AとB)の共有名義で登記する場合、BがAに登記の申請を委任する場合(実際の申請をAが行う)は、BがAを代理人とする委任状を作成して、Bが署名認印を押印します。
そうすることで、登記完了後に発行される登記識別情報通知をAがBの代わりに受け取ることができます。この場合、委任状には「登記識別情報を受領する権限を委任する。」も記載する必要があります。
(7)権利証、公図(登記所で取得)、名寄帳(必要に応じて)
必要な理由:登記所に提出する必要はありませんが、相続不動産を確認するための参考書類となります。あった方がよいでしょう。
相続不動産で、例えば、敷地と建物が、各1個の場合、見た目は各1個ですが、登記記録(登記簿)上は、土地が3個、建物1個の場合が多々ありますので、この不動産の個数と土地・建物の所在・地番・家屋番号を確定します。また、建物が登記されていない場合もありますので、これを確認します。
不動産を確認しないで登記を完了し、後日、相続登記をしていない不動産を発見した場合は、再度、追加の相続登記を申請しなければならず、手間と費用がかさみます。
公図は、相続不動産がマンション以外の土地の場合に取得する書類です。。
名寄帳は、不動産の個数が多い場合に取得する書類です。
不動産を特定(確定)するために「権利証(被相続人名義の登記済権利証・登記識別情報通知)」で確認することが重要です。
権利証(被相続人名義の登記済権利証や登記識別情報通知)は、相続登記では必須の書類(添付情報)ではありませんが、不動産を特定するために、特に戸建てや土地の相続では重要です。
過去には、次のような事例があります。
10年前に、相続人10名(兄弟姉妹が相続人)の遺産分割協議書を作成して相続登記を完了したところ、敷地が全部で5筆であることが判明しました。2筆について相続登記をしていませんでした。
被相続人名義の「権利証」を確認したところ、相続登記をしていない土地2筆が記載されていました。10年前に作成した遺産分割協議書には、この2筆の土地が記載されていません。
この場合、改めて2筆の土地についての遺産分割協議書を作成して、相続人10名(兄弟姉妹が相続人)の署名と実印の押印が必要となってしまいます。
このように、相続登記をする際は、不動産を確実に特定しませんと、後日、面倒なことになります。
例えば、10年前に作成した遺産分割協議書に「その他不動産があった場合、相続人○○が取得する。」と記載していれば、改めて遺産分割協議書を作成することなく、10年前に使用した戸籍謄本・除籍謄本・遺産分割協議書・印鑑証明書を使用して、相続登記をしていなかった2筆の土地の相続登記をすることができます。
ケースごとの相続登記の必要書類(評価証明書などは省きます)
ケース1:遺言書で相続登記(通常の法定相続人の「相続」の場合)(必要書類)
相続を遺言書で行う場合、公正証書遺言書(検認手続不要)以外の自筆証書遺言書は、必ず家庭裁判所の検認手続が必要です。
ただし、自筆証書遺言書で登記所に保管されたもの(自筆証書遺言書保管制度)は、家庭裁判所での検認手続は必要ありません。
登記所の保管制度を利用した自筆証書遺言書は、相続開始(被相続人の死亡)後、登記所で「遺言書情報証明書」を発行してもらいます。これが遺言書と同じ扱いとなります。
遺言書のほかに次の書類が必要です。
原本還付の手続で遺言書を返却してもらいます。
遺言書に遺言執行者が記載されている場合は、遺言書に基づいて遺言執行者が相続登記(不動産名義変更)を単独で申請できるのかを参考にしてください。
ケース1の(1)遺言書で相続登記:被相続人と相続人が、親子(配偶者)の関係であるとき(必要書類)
被相続人の必要書類
(1)被相続人の除籍謄本(死亡の記載のあるもの)
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または除かれた戸籍の附票(本籍地記載が必要)
(3)遺言書
子(配偶者)が相続人の必要書類
→ 子は第1順位の相続人であるので、親子(配偶者)関係を証明できればよい。
子(配偶者)の戸籍証明書(戸籍謄本)・住民票
相続関係説明図を作成します。
ケース1の(2)遺言書で相続登記: 被相続人と相続人が、兄弟姉妹の関係であるとき(必要書類)
被相続人の必要書類
(1)出生から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
被相続人に子がいないことを証明するため。
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または除かれた戸籍の附票(本籍地記載が必要)
(3)被相続人の「両親・祖父母の死亡」の記載のある除籍謄本
→ 兄弟姉妹は第3順位の相続人であるので、
被相続人の「両親・祖父母の死亡」の記載のある除籍謄本が必要です。
(4)遺言書
「兄弟姉妹が相続人」の必要書類
兄弟姉妹の戸籍証明書(戸籍謄本)・住民票
相続関係説明図を作成します。
被相続人の兄弟姉妹(第3順位の相続人)が遺言書で相続登記をする場合、「登記の原因」を「相続」とするため、(「兄弟姉妹」が全員で誰と誰を証明することまで必要ありませんが、)兄弟姉妹の被相続人に子(第1順位の相続人)がいないこと、及び被相続人の両親(第2順位の相続人)が死亡していることを証明する必要があります。
したがって、被相続人の出生から死亡までの除籍謄本を取得することは、通常の法定相続と遺産分割の場合と同じです。
ケース2:通常の遺産分割協議で相続登記(必要書類)
相続人同士の話し合いの遺産分割協議で登記するときに必要な書類は次のとおりです。
登記の方法は、遺産分割協議書での相続登記の方法を参考にしてください。
被相続人の必要書類
(1)出生から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または除かれた戸籍の附票(本籍地記載が必要)
遺産分割協議書のほかに
法定相続人の必要書類
(1)戸籍謄本
(2)住民票(名義人となる相続人)
(3)印鑑証明書
相続関係説明図を作成します。
被相続人と相続人が、兄弟姉妹の関係である場合、
被相続人の出生から死亡時までの除籍謄本などのほかに、被相続人の父母の出生から死亡までの除籍謄本なども必要となります。これは、相続人の兄弟姉妹が全員で誰と誰であることを証明するためです。
ケース3:法定相続分で相続登記(必要書類)
法定相続分で登記するときに必要な書類は次のとおりです。
登記の方法は、法定相続分での相続登記の方法を参考にしてください。
被相続人の必要書類
(1)出生から死亡時までの戸籍関係書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
(2)住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)または除かれた戸籍の附票(本籍地記載が必要)
法定相続人の必要書類
(1)戸籍謄本
(2)住民票(名義人となる相続人)
(法定相続人の印鑑証明書は不要)
相続関係説明図を作成します。
被相続人と相続人が、兄弟姉妹の関係である場合、
被相続人の出生から死亡時までの除籍謄本などのほかに、被相続人の父母の出生から死亡までの除籍謄本なども必要となります。これは、相続人の兄弟姉妹が全員で誰と誰であることを証明するためです。
ケース4:家庭裁判所での遺産分割調停で相続登記(必要書類)
家庭裁判所で遺産分割調停を行い、調停が成立したときに必要な書類は次のとおりです。
被相続人・相続人ともに、戸籍関係の証明書は必要ありません。
理由は、家庭裁判所での調停で、戸籍関係の書類が確認されているからです。
ただし、被相続人の登記上の住所と死亡時の住所が相違していることを調停調書の記載から確認できない場合には、被相続人の住所の変更を証明する住民票の除票や戸籍の附票などが必要となります。
遺産分割調停調書(正本または謄本)のほかに、
実際に、不動産を取得する相続人の必要書類
(1)住民票
(2)固定資産税の評価証明書
相続登記と家庭裁判所の遺産分割調停調書や数次相続と遺産分割調停書記載事項を参考にしてください。
また、「遺産分割」を登記原因として登記する場合は、法定相続登記後の遺産分割調停を参考にしてください。
ケース5:遺言書による遺贈登記(法定相続人以外の遺贈の登記)(必要書類)
遺言書で、受遺者(遺贈を受ける人)と遺言執行者(または共同相続人全員)で「遺贈」の登記をします。
(1)登記原因が「相続」の場合の登記申請人(登記申請権限):単独申請
令和1年6月30日までに作成された遺言:相続人
令和1年7月1日以降に作成された遺言:遺言執行者または相続人
(2)登記原因が「遺贈」の場合の登記申請人(登記申請権限):共同申請
(法改正の前後を問わない)
登記権利者:受遺者(遺贈を受ける人)
登記義務者:遺言執行者または共同相続人全員(遺言執行者が指定されていない場合)
「遺贈」による共同申請の場合、次の書類が必要です。
受遺者(遺贈を受ける人)の必要書類
- 受遺者の住民票
- (受遺者の戸籍謄本)
通常、受遺者は法定相続人以外の第三者ですので、遺贈で登記するときは、受遺者の戸籍謄本は不要で、登録免許税の税率は2%です。
受遺者が法定相続人の場合、被相続人と法定相続関係であることを証明します。このことにより登録免許税の税率が0・4%になります。 - 受遺者の印鑑(認印で可)
- 被相続人の戸籍の附票(本籍地記載が必要)または住民票の除票
- 被相続人の除籍謄本など(死亡した事実を証明)
- 家庭裁判所の検認を受けた場合は、家庭裁判所の検認証明書付き「遺言書」
遺言執行者の必要書類
- 遺言書(または家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうときは選任審判書)
- 遺言執行者の印鑑証明書
- 登記原因証明情報(場合によって作成)(遺言執行者が署名・実印を押印)
- 遺言執行者の実印
- 不動産の権利証
共同申請となりますので、被相続人の権利証(登記済権利証か登記識別情報通知)が必要です。
共同相続人全員が登記義務者となるときの必要書類
- 共同相続人全員の印鑑証明書
- 登記原因証明情報(場合によって作成)(共同相続人全員が署名・実印を押印)
- 共同相続人全員の実印
- 不動産の権利証
共同申請となりますので、被相続人の権利証(登記済権利証か登記識別情報通知)が必要です。
他に相続人がいないことの証明書(上申書)とは
相続登記(不動産名義変更)の場合、亡くなった人(被相続人)の除籍謄本など戸籍に関する証明書は、被相続人が10歳頃まで遡って用意する必要があります。
これが、被相続人の法定相続人が全部で何人いるのか、誰なのかを確認するために必要です。
これは、被相続人が10歳の時点で、被相続人に子供がいないことを確認します。
10歳(小学4・5年生)では、子供がいないのが普通だからです。もっとも、被相続人の出生までの戸籍に関する証明書(除籍謄本など)があれば完璧です。
ですが、例えば、被相続人が20歳の時点までしか戸籍に関する証明書を取得できず、その前の証明書すべて(10歳まで)を用意できない場合があります。
例えば、第2次大戦中、東京などはアメリカ軍の空襲によって役所が破壊され、戸籍に関する証明書も焼失している場合があります。
このような場合は、被相続人の戸籍に関する証明書をそれ以上遡って取得することが事実上できません。
こういう場合は、焼失して取得できない役所で、「その旨の証明書(除籍焼失証明書)を発行」してもらい、かつ、「他に相続人がいないことの証明書」の書類を作成します。これを登記所に提出する必要があります。
そこで、相続登記を申請する際、「他に相続人がいないことの証明書」を作成し、法定相続人が署名、実印を押印して、印鑑証明書を添付します。(印鑑証明書は遺産分割協議書に添付するものと併用します。)
遺産分割協議書により相続登記を申請するときは、遺産分割協議書に「他に相続人がいない」旨を記載することでも問題ありません。遺産分割協議書には相続人全員が署名・捺印しますので。
次を参考にしてください。
台湾籍の方の相続:金融機関から「念書」や「誓約書」の提出を求められたとき
「他に相続人がいないことの証明書(上申書)」の作成例
上 申 書(他に相続人がいないことの証明)
令和 年 月 日
横浜地方法務局 ○○出張所 御中
相続人
(住所)
(氏名) ㊞(実印を鮮明に押印してください。)
相続人
(住所)
(氏名) ㊞(実印を鮮明に押印してください。)
後記、相続による所有権移転登記を申請するに当たり、被相続人○○に関する除籍謄本、改製原戸籍謄本の一部が戦災による焼失のため添付することができません。
被相続人○○の法定相続人が○○及び○○のみであることに相違ないことを上申いたします。
記
登記の目的 所有権移転
原 因 令和 年 月 日相続
相続人 (被相続人 ○○)
持分〇分の〇 ○○
持分〇分の〇 ○○
不動産の表示
土地:
建物:
被相続人が登記名義人に相違ないことの上申書
被相続人の死亡時の住所を証明できないとき、または、登記上の住所から死亡時までの住所の経過を証明できない場合、「被相続人が登記名義人に相違ないことの上申書」を登記所(法務局)に提出します。ただし、被相続人名義の「権利証(登記済権利証または登記識別情報通知)」があれば不要です。
この上申書には、法定相続人全員で署名実印を押印して、印鑑証明書を登記所に提出します。
「被相続人が登記名義人に相違ないことの上申書」の作成例
上 申 書
令和〇年〇月〇日
〇〇地方法務局 ○○支局・出張所 御中
被相続人 ○○○○
相続人 ○○○○
(住所)
(氏名) (実印)
下記登記申請に当たり、被相続人○○○○の登記上の住所である「○○○○」と死亡時の住所である「○○○○」との経過は、
住民票の除票、戸籍の附票の保存年限の経過により証明することができません。被相続人○○○○は、登記名義人に相違ないことを上申いたします。
下記登記申請に当たり、被相続人○○○○の死亡時の住所は、住民票の除票、戸籍の附票の保存年限の経過により取得することができず、被相続人の登記上の住所である「○○○○」と死亡時の住所との経過を証明することができません。
被相続人○○○○は、登記名義人に相違ないことを上申いたします。
記
登記の目的 所有権移転
原 因 〇年〇月〇日相続
相 続 人 (被相続人 ○○○○)
(相続人氏名)○○○○
不動産の表示
○○○○番〇 土地
委任状(相続登記)の例
相続登記と委任状を参考にしてください。
委任状(相続登記)
(委任日→)令和 年 月 日
委任者 B(実際に名義人となる相続人)
(住所)
(氏名) ㊞(認印で可)
私は、下記の者を代理人と定め、後記の登記申請に関する権限および本件登記申請に係る登記識別情報の受領に関する権限を委任する。
受任者 A(実際の申請を行う相続人)
(住所)
(氏名)
記
登記の目的 所有権移転
原 因 令和 年 月 日相続
相 続 人 (被相続人 ○○)
持分2分の1 A
持分2分の1 B
不動産の表示
土地:
建物:
相続登記手続の必要な書類の「有効期限」について
不動産や預貯金など各種相続手続においては、必要書類の有効期限についても考えておくことが必要です。
相続手続先の役所や会社に確認したほうがよいでしょう。通常3か月以内であれば問題ありません。金融機関の手続では、印鑑証明書の期限が通常6か月です。
不動産の相続登記の場合、登記所では、印鑑証明書の3か月の有効期限はありません。
ただし、相続人の戸籍証明書(戸籍謄本)は、被相続人の死亡後に取得する必要があります。
これは、被相続人の死亡後において、相続人が生存していることを証明するために必要です。
したがいまして、戸籍証明書に有効期限の定めがないからといって、被相続人の死亡前に取得した相続人の戸籍証明書(戸籍謄本)は使用できないことになります。
もっとも、被相続人の死亡後に取得した相続人の戸籍証明書(戸籍謄本)であれば、有効期限の定めはありません。
相続登記の申請に必要な書類の有効期限や相続登記に必要な相続証明書の有効期限がない理由を参考にしてください。
相続登記に必要な書類の「通数」について
不動産(相続登記)や預貯金など各種相続手続において、被相続人の戸籍関係書類、法定相続人の書類、遺産分割協議書など共通のものがありますが、それぞれ1通で済む書類もあれば済まない書類もあり、ケースバイケースです。
特に、法定相続人の印鑑証明書は、発行日から6か月の期限を求められる場合もあります。金融機関の手続では、印鑑証明書の期限が通常6か月、登記所では、印鑑証明書の期限はありません。
また、各種相続手続は、順番に行っていくのが普通です。
各種相続手続が多く、順番に手続を行う場合は、すべての相続手続が完了するまで時間がかかることになります。
一度に同時に相続手続を行う場合は、各種相続手続に必要な書類をそれぞれ手続の数だけ用意する必要があります。
この場合、書類取得にかかる費用が多くなりますので、急ぎの場合を除いて、お勧めできません。
一般的な相続で、書類取得にかかる実費はだいたい5,000円から1万円ですが、同時に手続を行う場合、各種相続手続が10件あれば、書類取得に5万円から10万円かかることになります。
このように各種相続手続が多い場合、登記所で「法定相続情報一覧図の証明書」を取得した方がよいでしょう。「法定相続情報一覧図の証明書」は、無料で必要な通数を発行してくれます。
ただし、これ以外の書類(遺産分割協議書、印鑑証明書など)は、相続手続先の数を用意する必要があります。
通常は、各種相続手続を順番に行うのが無難です。